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ヤンデレものの新種? 新ヒロイン、狂気のデビュー 『泣空ヒツギの死者蘇生学』

泣空ヒツギの死者蘇生学 (相生 生音
泣空ヒツギの死者蘇生学 (電撃文庫 あ 26-1)
ヤンデレブームも一段落して、さて次は・・・・と油断していたら、ヤバいヒロインの小説がやってきた。早くもクチコミに乗ったか、現時点で「通常3~5週間以内に発送」となっており、品薄警報発令中。ヤンデレスキーは早く確保を。

人生初のラブレターをもらって、意気揚々と指定された場所に向かった氏姓偲(しかばね・しのぶ)は、何者かに後頭部を一撃され、あっけなく人生を終えることになった。ゲームオーバー。しかし終わらない。死んだはずの偲を目覚めさせたのは、謎の黒ずくめの少女・泣空ヒツギ。死者を蘇生させる異能をもつ少女は、いつも不機嫌な態度で、偲を「実験」につき合わせる。

ここまでのあらすじを読むと、あたかも『灼眼のシャナ』の亜流のように思えるはずだ。実際、序盤は西尾維新の影響をうけて変な名前の登場人物が多い「ただの学園異能」の体裁を取っている。しかし騙されてはいけない。凶悪度でいえば、今年ナンバーワンといって間違いない。

前半はリーダビリティが悪く、少しグロめで、文章の癖も強い。未熟さも目立ち、不必要に分厚くもなっている。だがそうした欠点を補って余りある、この作者ならではの「毒」と「闇」がある。

新人とは荒削りの原石であり、その尖ったエッジはまぎれもなく小説という名の凶器なのだ。

ヤンデレとはすなわち「執着」の物語であり、1つのパターンとして、失う事への過剰な恐れが狂気の根幹を形成する。アニメ版『Shuffle!』の芙蓉楓(空鍋)や『School Days』の桂言葉がその代表例で、彼女たちの抱える不安や恐怖は暴走し、反転する。

メタ的に見れば、自分が選ばれなかったという選択肢=運命に対する反攻であり、世界すべてを敵視する、否、世界すべてを自分の都合の良い視点で再構築する行為に他ならない。

自分と周囲の人間関係のみを重視し、世界を矮小化して再構築するという点で、セカイ系からの流れも感じなくもないが、世界そのものと対峙する彼女たちはとても強く、同時に脆い。その危うさにこそ、彼女たちの狂った美しさがあるのだろう。

儚いものは美しく、狂えるものは美しく、危ういものは美しい。
この小説のヒロインたちは誰も彼もがちょっとねじくれているが、最たる人物は「彼女」だろう。

彼女は泣き叫ぶ負け犬であり、恋愛の敗残兵であり、幸福からの失楽者であり、人生の落伍者であり、現実からの逃亡者であり、現実から逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて、運命を否定して否定して否定して否定して否定して否定して否定して否定して否定して否定して否定して否定して、ゆえにどこまでも強くなる。

かつて男の主人公は逃げることを許されなかった。逃亡は弱さであり、タブーだったからだ。逃避と弱さを描いた『エヴァ』でさえ、逃避とは弱さでしかなかった。

ヤンデレにおいて、逃避は強さであり、否定は武装である。
女って、怖ぇ。
そして美しい。

ぜひ魅了されてほしい。


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