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おおらかさが育てる、ジャンルの3段階の成長

日本のゲーム業界は飛躍し、実用ソフトの市場がさらに拡大!

去年は日本国内のゲーム市場が大幅に拡大して、市場規模が過去最高額を記録しました。今年もソフトメーカー各社の意欲的なタイトルが多数リリースされ、好景気はしばらく続くでしょう。

ベネッセ、ガンホー、学研、小学館……DS向けソフト参入相次ぐ
そんな中、実用ゲームの市場がますます拡大しています。始めは単純に『脳トレ』クローンなソフトが多かったものの、漢字、マナー、いやし、芸術センス、家計簿、女性の魅力など、徐々に扱うテーマが広がってきています。もはや実用ゲームは巨大なジャンルに成長したといえます。

ジャンルの成長する3段階

1つのジャンルが生まれて成長する流れは、「キャッチアップ」「バリエーション」「チャレンジ」の3段階あります。

1.キャッチアップ
ヒットソフトに非常によく似たソフトが短期間に市場に出回る段階です。ヒットソフトそっくりのソフトや、ヒットソフトの良い部分を分析しきれてない、勘所を外したソフトが大半です。

2005年~2006年前半は『脳トレ』クローンが多く、既存のゲームに無理やり脳を鍛える要素を入れたゲームがいくつも登場しました。

2.バリエーション
ニ匹目のドジョウが出回り、市場に似たような作品が増えてくると、単純な模倣では市場で通用しなくなります。商品ごとに「差別化」とユーザー層の違いが明確にされていき、消費者に選択の幅が提供される段階です。

例えば、『お料理ナビ』に対して、高級志向の『まるごと帝国ホテル』や、コミック原作を取り入れた『美味しんぼDS』が登場すると、ユーザーにとっては選択肢が広がりますし、2本目、3本目のレシピソフトの購買意欲につながります。もしソフトが1、2種類しか市場に存在しなければ、物珍しさで売れるだけで、ユーザーは定着しないでしょう。

3.チャレンジ
大きなテーマ、大まかなユーザ一層は共通なものの、色々なタイプのソフトが登場してくる段階です。そうした試行錯誤の中から次のヒットが生まれることで、ジャンルはさらに拡大し、寿命を伸ばしていきます。

実際、女性向けという幅広いテーマが見えてきた中で、色々なソフトがリリースされています。タイトーの『私のハッピーマナーブック』、バンダイナムコの『どこでもラクラク! DS家計簿』『anan監修 女ヂカラ緊急アップ! DS (仮)』などですね。

これは何も『脳トレ』に限った話ではなく、ゲームの歴史をひも解けば、「ジャンル」はこのようにして成長していきました。逆にこういう流れを作れないゲームは、ジャンルを生み出せないか、生み出せても小さな物になってしまうのです。


似たようなソフトが出てくることが単純にマイナスなのではない

例えば、約10年前のPS1バブルにおいて、『パラッパラッパー』(96年12月)は音ゲーという巨大なジャンルを生み出しました。模倣があり、派生があり、新しいユーザーを獲得し、巨大なジャンルに急成長しました。開発するにあたっての技術的な壁が低かった事も大切なポイントです。

FPSは93年の『DOOM』の世界的なヒットがきっかけで、巨大なジャンルに育ちました。FPSの場合は技術的な壁があったのですが、ゲームエンジンが外販されたり、公開されることで、低コストで似たようなゲームを作ることができ、ジャンルの成長に大きく寄与しました。最初は似たゲーム、次に似ているけれど違うゲーム、そして派生的なゲームが発売され、多数のソフトの洪水の中から、新しいソフトが生まれていったのです。

似たようなソフトが出てくることは、必ずしも先行者利益を損ないません。ジャンルが成長することで、ユーザーに選択の幅が広がり、その結果、ユーザーが増加し、定着していくのです。


パクられもしないソフトは寂しい

逆に似たようなソフトがあまり出なかった例を挙げましょう。
約10年前、『マリオ64』というゲームが発売されました。全世界1000万台の出荷を達成した、箱庭系3Dアクショングームの原典といえるソフトでした。

しかし後に続くソフト会社がほとんどなく、ジャンルとして十分な大きさに成長できませんでした。当時N64の開発が難しく、任天堂の施策がソフトメーカーから支持されなかったこともあり、キャッチアップしようとした会社が少なかったのです。また当時、3DアクションゲームはFPS同様、技術的な敷居が高かったのです。

任天堂は(『DOOM』を生み出した)id Software とは違い、ゲームエンジンを公開するような施策を取らなかったため、少数のフォロワーのクオリティは『マリオ64』と歴然の差があり、売上が伸びませんでした。そのせいで、さらにフォロワーは減っていきました。

任天堂と協力体制にあったレア社が精力的に箱庭系3Dアクションゲームをリリースしましたが、『マリオ64』のフォロワーといえる『バンジョーとカズーイの大冒険』が発売されたのは98年12月、じつに2年半も後なのです。


情けは人のためならず。おおらかさも必要

音ゲー、FPS、箱庭系3Dアクションの3つのジャンルを比べてみました。作りやすさは多数のフォロワーを生み、その中から新しいソフトが生まれることで、ジャンルが成長していきます。逆に作りにくさはフォロワーを少数に限定し、ジャンルの成長を阻害します。

ジャンルの成長は先行者にも大きなリターンをもたらしますし、巨大ジャンルの誕生はプラットフォーム競争に重大な影響を与えます。PS1とN64のハード競争は、流通政策の違い、メディアコストの違い、『FF』と『ドラクエ』の争奪戦だけで決まったわけではありません。音ゲーの他にも、ホラーゲームが成長したのも、PS1時代です。新しいジャンルが生まれることで、シェアを激動させる程の巨大な市場が創出されたのです。

ジャンルの成長を促進するには時として、ゲームエンジンを外販するような「おおらかさ」が必要です。N64当時、任天堂は自分達のアイデアが他社にパクられる、と強く主張していました。自分達のアイデアを守るのは当然です。しかし、過剰に言い過ぎ、大らかさを欠いたため、むしろ任天堂は孤立を深めていきました。

ところが最近では、コーエーの『まるごと帝国ホテル』に自社タイトルの名前を貸して協力するように、「おおらかさ」を発揮しています。もしかすると、任天堂はこの10年で、何かを学んだのかもしれませんね。

ヒット作が出れば、どのみち後に続くソフトは出てきます。中途半端に似たり寄ったりのソフトが乱発されるよりも、健全な多様性が生まれるように積極的に協力した方が、最終的なメリットは大きいかもしれないのです。情けは人のためならず。「おおらかさ」は他者を利するだけでなく、回りまわって自分に返ってくるものです。id Softwareや任天堂に限りません。あらゆるゲーム会社はこうした歴史的な経験則を忘れないでほしいのです。


残念な議論も目につく

にも関わらず、ゲームの世界では伝統的に、過剰に「似たようなソフト」を叩く悪習が残っています。違う特徴をもったソフトでも、共通部分ばかりに目を向けて、パクリ、パクリと騒ぐのです。悲しいことに、ネットのごく一部にそういう人達がいらっしゃいます。

本のような他のメディアと比べて、ゲームは伝統的に不寛容な見方が強い、とボクは感じています。眉間にしわを浮かべて、共通点を探し出し、鬼の首を取ったかのごとく、「このパクリ野郎が!」と叫び声を上げる。ちょっと異様な光景が展開されがちです。

出版の世界では、かなり前からレシピ本ブームですが、『調理以前の料理の常識』があり、『クッキングパパのレシピ366日』があり、多様性が広がっています。そうした本の著者やファンは「このパクリ野郎が!」と、口から唾を飛ばしてわめき合っているのでしょうか? 

レシピゲームを出しただけでパクリと批判されるのなら、ゲーム業界の今の実用ソフトブームは、出版の世界から見れば、業界を挙げてのただのパクリではないですか? しかし出版の人達がそういう批判をしたでしょうか?

もしかしたらそういうケースもあるのかもしれませんが、ボクはお目にかかったことはありません。もちろん本の世界にも、盗作批判はあります。けっきょくは程度問題なのです。ただし、成熟したメディアには、類似性よりも個性に目を向け、多様性を許容する風土があります。

ゲームの歴史も、ファミコンから数えて20年以上。そろそろ1ステップ、文化的成熟をしてほしいのです。今よりもう少し多様性を許容し、共通点を神経質に探すよりも、それぞれの作品の個性に着目する豊かな文化が育まれてほしいのです。それがゲーム業界の次の10年、20年の発展につながると思います。

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テーマ:ゲーム製作 関連 - ジャンル:ゲーム

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