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オタク青春小説ブームの幕開けか 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』

俺の妹がこんなに可愛いわけがない伏見つかさ
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫 (1639))
かーずSPさんとアキバBlogさんが登場していることで話題になった本。正直に告白しよう、半分はネタ目的に買いました。もう半分はかんざきひろの可愛い女の子のイラスト目当てで買いました。しかし意外や意外、意外と面白いのであった。
「このままじゃいけないって……何度もやめようって、思った。でも、どうしてもやめられなくて……だってね、ブラウザ立ち上げると、はてなアンテナに登録してあるニュースサイトが、毎日あたしに新たな情報を伝えて、色々買わせようとしてくるんだよ? ……うう、かーずSPとアキバBlogめ……」
おしゃれでモデルのバイトをやるほど美人な妹・高坂桐乃と、普通が大好き一般人の兄・京介は、仲が悪かった。超人と凡人、兄妹の差は歴然で、妹が普通な兄を嫌っているのも無理はない、と京介は思っていた。ところがある日、ちょっとした偶然で、妹の重大な秘密を知ってしまう。

なんと彼女は、妹を攻略するエロゲーと魔法少女が大活躍するアニメが大好きなオタクだった。

桐乃は秘密を知った京介に「人生相談」を持ちかける。
一般人の京介は妹の口にしている単語の半分も理解できないまま、不本意ながら彼女のために奔走する。妹の部屋で妹から妹を攻略するゲームを押しつけられる兄。しかし18禁版と全年齢版の違いについて、嬉々としてエロゲ語りする妹は、垢抜けた格好で彼を見下すいつもの彼女と違って、やけに殊勝に見えた。

オタトークにつき合わされ、エロゲーを押しつけられ、疲れるのは確か。でも頼られた京介は悪い気はしない。人生相談が終わったとたん、「もう用は済んだから。そろそろ出てってくんない?」とツンケンモードに戻る妹は、やっぱり可愛くないと京介は思うのだけど。

世間体とオタ趣味の落差に葛藤しながら、それでもオタクな自分を含めて自分なんだ、捨てられないんだ、と好きな気持ちを曲げない桐乃は共感がもてる。オタ趣味を理解できないながら、京介も同じ気持ちだろう。なんだかんだ言っても、京介は妹の「人生相談」に根気強くつき合っていき、妹もふだん冷たく罵倒している兄を頼り続ける。

まったく異なる生き方で、互いに歩み寄ろうともしなかった兄妹が少しずつ相手を理解していく。現代オタク的なディティールがあちこちに散りばめられているものの、そうした装飾にかかわらず、物語の骨子はまっすぐで、骨太の青春小説に仕上がっている。

また、登場する女の子たちが結構いいやつ揃いで、誰も彼もが魅力的。オタコミュの管理人の沙織・バジーナは見た目と言動はともかく、細やかな気遣いのできる人間だし、幼なじみの麻奈実はすんげえいやしキャラである。地味+人がいい+いやし=「おばあちゃん」属性を兼ね備えており、こんな娘をゲットしている京介はうらやましいぞ、こら。

おっと、本音が。
ともかく、話題性が先行しているが、本当に「意外と面白い」のだ。ぜひご一読を。


平凡な主人公がひょんなことから「高嶺の花」のような美人の女の子の秘密を知ってしまい、オタ趣味を隠すのを手伝いながら、秘密を共有する共犯意識から徐々に距離を縮めていく、という構図は、おなじ電撃文庫の『乃木坂春香の秘密』と同一である。

しかしパクリではない。帯には乃木坂春香が登場し、桐乃とお友達になりたい、と発言している。あとがきを読めば、企画原案は『乃木坂春香の秘密』の担当編集の三木一馬氏である。意図的に「似て非なる」作品をつくったわけで、そのうち春香と桐乃が共演するコラボ小説も出てきそうだ。

この小説を楽しめるのはオタクであろう。
主人公が一般人で、オタクな女の子の秘密を守ってあげるという小説をオタクが読んでいる。こう書いてみると、不思議な構図である。もっとストレートに、ヒロインが一般人で、オタクな少年のオタ趣味に理解がある、という図式ではいけないのか。

いけない。何故なら読者はヒロインと男の子の両方に感情移入して読んでいるからだ。
オタな自分を少年ではなく、ヒロインに投影して読んでいる。この図式は最近よく見られるようで、百合小説ブームの頃から一部で指摘されていたし、ヤンデレブームの頃に多くの評論をネットで見かけた。『School Days』の誠に対する罵倒の数々も、女の子の側、あるいは第三者の視点に立つから出てくるもので、今時の読者はかなりメタ的な視座に立って読んでいる。

(一般人とオタなヒロイン、オタな自分を女の子に投影する読み方という点では、『涼宮ハルヒ』もそうだろう)


なんだか、オタ小説(=オタな主人公またはヒロインがオタク的な自意識や世間とのギャップに葛藤する小説)が増えてきている気がする。とりわけ、主人公の少年が「理解者」の側に立つフォーマットが多いようだ。

『ハルヒ』はやってる事は「妄想」「電波」「オタク」すべて揃っているが、オタクという匂いを限りなく感じさせず、あえて80年代的な文芸部室感の中にとどめていた。ハルヒの世界では「オタク」は禁句であり、SOS団がやってる事がどれだけオタク的でも、彼らがそう指摘される恐れは皆無だ。

田中ロミオの『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い ~』は、邪気眼とスクールカーストに焦点をあてた生々しい側のハルヒであり、「もしハルヒが現実にいたら」のifを描いた小説である。そこには「オタクだとバレたら迫害される、クラスで孤立する」という奇妙な信仰が存在する。

実際にそこまで酷い目に遭うとは到底思えない。だが信仰は強固であり、「オタクを一番熱心に叩いているのはオタク」「オタクの被害妄想は激しい」という法則をあらためて確認させられる。その辺ははてな界隈をしばらく見ていれば、ウンザリするほど観測できる。

その信仰をデフォルメちっくに利用したのが『乃木坂春香の秘密』であり、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』である。彼女達が抱いている「バレる」事への恐怖は過剰すぎるが、過剰であればあるほど、主人公の少年の立場は強固になる。もはや世界を救う必要も、重大な過去のトラウマから救うカウンセリングも必要ない。ただ秘密を守るだけで、彼女との関係性は維持される。

もちろんその関係は、ある種の不健全さをはらんでいる。したがって少しずつ、彼女を周囲に受容させていく過程が必要になるのではないか。「唯一の理解者」から「最大の理解者」へ。ふたりの関係は変化していくはずだ。


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コメント

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 見事に何処の書店でも全滅でした(8件位しか見てないですけど)
生徒会の一存とか、人類は衰退しましたでも同じ現象が見られましたが、ガガガより富士見の方が増刷のレスポンスが早かった気がします。
電撃の動きはどうなるか注目のしたいですね

>乾き犬 さん
そういう時のAmazon神です!
すでに「通常4~5日以内」になってるので、ネットでも要注意ですね。

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> http://sora.nicomi.com/
> 「07/30: でんきじるし 黒らじお公開しました。」をクリックしてくださいませ。
おおっ。
心が温まるいいお話ですね。

それに6ページのらじおちゃんと黒らじおちゃんの絡みもいいですね・・・・(←穢れた大人の視点

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アマゾンから、注文確認メールが届きました。
来月中旬から下旬に発送とのことです……orz

>モトラ さん
>来月中旬から下旬に発送
在庫ステータスが3~5週間になってますね。
やはり各地で話題になってる分、入手しにくいですね(汗

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