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ゆるーいSF? ファンタジー? 『片手間ヒロイズム』

片手間ヒロイズム小林めぐみ
片手間ヒロイズム (一迅社文庫 こ 1-1)
『人類は衰退しました』のようなゆるい系SFが好きな人にオススメ。
このジャンルの書き手といえば、田中ロミオの他には小林めぐみ。『食卓にビールを』は、人妻女子高生にして小説家の「私」が毎度、宇宙的大事件に巻き込まれる連作短編シリーズで、独特のおっとりしたテンポが魅力的だった。

本作でさまざまなトラブルに巻き込まれるのは人妻ならぬ、恋する女子高生・錫木真理。うひゃひゃと笑ってすべてを受け流していた人妻の「私」に比べると、素直に困ってみせる「私」はまだまだヒヨッコ。でもそこが可愛らしい。

「地球を救う為、インドで仲間を捜してきます」と言い残して失踪した妻。取り残された夫・粟野正義と赤ん坊のえーちゃん。正義さんを好きな「私」はベビーシッターとして身の回りの世話をしている。

鈍感な正義さんは「私」の気持ちに気づく様子はみじんも無いが、恋する「私」にとってまずまず程良い幸せな毎日が続く。徐々に日常が不可思議な出来事に浸食されて、地球滅亡の危機に関わる事件やら、おかしな密室殺人事件やらに巻き込まれていく。
「人間はかつて翼を持っていた! だからこそ、人はあんなにも天使という存在に憧れるのだ、なくしてしまったものを取り戻さんが為に! でなければ、こんなにも背中に肉がつくはずがない!」
「……は?」
 力説する大嶋先生に私は耳を疑った。えーと、なにか今、どうでもいいような、聞き逃したくなる発言をされた気がします。
「えーと……背中に、肉?」
「真理くんはまだ分かんないだろ、若いから。でも、人間年を取ると、必ずや背中に肉がつくの。たとえ見た目のプロポーションは変わってなくても、あくまでそれは前面のみ! 背中には確実に肉が、そう背脂がついてしまうものなのだ! 逆に言えば背脂は大人の証、成体に変態していた時代の名残で退化器官なのサ!」

おばはん大人の女の論理とSFが微妙に入り交じったトンデモ理論!
これがまかり通ってしまうゆるさがたまらない。

前半は『食卓にビールを』のスモールスケール版という印象を出ないが、後半は物語の構造に関わる伏線が散りばめられ、勇者と魔王と魔女と家出した妻の物語がリンクしていく。最終話ですべての謎が解き明かされ、非常にスッキリとオチがつくのは爽快。

悠々泰然とした主婦の「私」に比べて、恋する女子高生の「私」は感情移入しやすく、『人類は衰退しました』の読者にはこちらの方が入りやすいと思う。1冊でよくまとまっているので、ゆる~いSFを求めている人はぜひ手にとっていただきたい。


関連
まったり人妻SF・最終巻。究極のマイペース小説 『食卓にビールを』


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