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悪漢小説の書き手が送る 『世界の中心、針山さん』
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奇人変人悪人超人大集合!!
斧男という都市伝説、ヤクザに拾われた魔法少女、突如として悪を討つ使命に目覚めた光の勇者、数奇な運命に導かれた彼らは、どういうわけか、所沢に住むごくごく平凡で人の好い針山さんの周りに集まってしまうのでした。(1巻)
タクシー強盗の都市伝説、悪の組織に改造され続けて最強になってしまった戦闘員、善悪の見境のつかない死霊術士と殺し屋、正義の味方の変身ヒーロー、彼らもまた、奇妙な運命にひかれるままに、針山さん一家の周りに集まってくるのでした。(2巻)
成田良悟ほど悪党を書くのが大好きなライトノベル作家は他にいないでしょう。作品には、実に多数の悪党、悪漢が登場します。顔を背けたくなるような外道もいれば、ただただ奔放に生きる悪漢もいれば、自由人としての小悪党もいれば、いつのまにか正義からこぼれ落ちてしまった悪党もいますし、大人には残酷なのに子供にだけは優しい悪者もいます。
彼らは実に個性的で、奔放で、魅力的です。どの作品も、ひとクセも、ふたクセもある連中が集まった、面白い悪漢小説に仕上がっているのです。というのは、どれだけ多数の悪が書かれようとも、嫌悪感を抱かせるようなヤツはほとんど出てこないからです。
本当の下種、外道は当然その報いを受けるのです。悪の美学というと、やや語弊がありますが、悪党にもやっていいこと、悪いことはあるのですね。この世に正義を体現する存在はいませんが、下種な輩に一発ガツンとお見舞いする、気持ちのいい悪党はどこかにいるものです。
成田作品に登場する子供はしばしば、身の丈を越えた力をもった結果、ねじくれた生き方をしています。中には、善と悪の区別をもたずに、ひたすら残酷な仕打ちを続けていた子供もいます。
しかし彼ら、無知ゆえの無邪気ゆえの悪は、大抵はもっと力のある「大人の悪党」と出会って、ガツンとやられたり、優しくされたりするうちに、自分の過ちに気づくのですね。とてつもなく恐ろしい目に遭うことも多々ありますが、そういう子供が無慈悲になんの意味も無く、物語から抹消されたりはしないのです。
悪党なりに生き様があり、論理があり、美学があります。悪を悪と理解しない悪党はかっこよくないのです。だから成田作品には、じつにかっこいい悪党が多いのですね。
代表作はアニメ化が発表された『バッカーノ』シリーズですが、まだ完結していません。シリーズが長いので、取っつきやすくはないでしょう。そういう点では、作者が色々なギミックを好き放題に取り入れている、この連作短編『世界の中心、針山さん』は入りやすいと思います。
タグ:成田良悟 世界の中心、針山さん
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