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女性ジュブナイルポルノ作家の描く、女装男子モノ 『ふたかた』

ふたかたわかつき ひかる

ジュブナイルポルノの世界で有名なわかつきひかるが、一迅社文庫からライトノベルにデビューした。あとがきでも触れられているが、ジュブナイルポルノの作家がライトノベルを書く事例は着実に増えている。しかし大抵は、ペンネームを変えているわけで、そのままの筆名で両方書くのはたしかに珍しい。それだけ、わかつきひかるのネームが大きいという事だ。

実際、発売前から期待する声はちらほら見かけていたし、僕も楽しみにしていた。
結論から先に言えば、期待は裏切られることはなかった。実に秀逸な「女装男子」ものである。

学校の教室にあらわれた、かわいらしい女生徒。教室の生徒たちは、恐ろしいものを見たかのように固まっていた。それもそのはず、彼女は数日前に交通事故でなくなっていたからだ。自分の机に生けられていた花をどかすと、彼女は平然と席に着いた。しかし立ち上がる生徒がひとり。気の強そうな雰囲気のツインテールの少女が死んだはずの女生徒に詰め寄った。「君は男でしょっ」

事故でなくなった姉が幽霊となって、主人公の少年に取り憑いたところから、物語は始まる。医者の診断は解離性同一性障害。いわゆる二重人格である。姉を失った精神的ショックで、二重人格になったとする医者の診断が正しいのか、それとも姉の幽霊は実在するのか。ショッキングで歪んだ設定からスタートするところはエロゲーチックであり、その倒錯感が心地よい。

ジュブナイルポルノ出身だけに、他の女装男子モノと比べて、描写がリアル寄りで細かく、なまめかしい。女装ひとつ取っても、女装しました、パッドを着けました、ではなく、パッドをつける動作や感触など、細部まで書き込んでいる。
「あ、でも、パッドなんて、私、つけ方わかんないよ。どうしよう」
「だ、だいじょうぶだよ。やってみる」
 高志はスクール水着の肩紐をずらして胸を露出させた。そしてパッドを開封し、二つ合わさった肌色のそれを引き剥がして別々にした。
 ぷるぷるの感触は、ゼリーやプリンやババロアのようだった。
 パッドの真ん中を押さえて胸に張り付け、周囲を指で押さえて密着させていく。
 ――大堀さん。ありがとう……。
 内心で、大堀すみれに感謝する。
 巨乳とはいえないまでも、プロポーションの良い優亜は、パッドのお世話になったことがないらしい。
 貧乳のすみれだからこそ、パッドのつけ方を教えてくれることができたのだ。
 ちょっといじわるをされたような気がするが、この際もう忘れてしまおう。
 左右の胸にパッドをつけスクール水着の紐を直すと、遠慮がちな大きさの愛らしい隆起ができあがった。
女性作家だからこそ書ける、生々しいリアリティ。肉体性を求めるかどうかで、作品に対する好みも分かれそうだ。ジュブナイルポルノとライトノベル、一見似てはいるものの、フェティッシュに対する要求度がかなり異なるジャンルである。肉体性を無視するからこそのエターナルフォースブリザードなわけで、「肉体の違和」をライトノベルに持ち込んだわかつきひかるの小説には、ユニークな味わいがあると思う。


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