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妖精さんは衰退しました 『人類は衰退しました 3』

人類は衰退しました 3田中ロミオ

こう来たか!
1巻は妖精さんの愛くるしさにいやされる妖精さん観察記。
2巻は自己と他者の認識をめぐる、どこまでもSF的なSF。
そして3巻は妖精さん密度が下がった、とても人間的な冒険記。

タイトルを「妖精さんは衰退しました」に変更した方がいいのでは?
というぐらい、この巻では妖精さん密度が下がってしまう。人類が衰退して現人類たる妖精さんも居なくなってしまえば、いったいなにが残るのか。どこまでも現実的な寂しい未来だと想像はつく。

人類のすべてを記録に残すヒト・モニュメント計画が発動した。貴重な電気が供給されたクスノキの里では、”夏の電気祭り”が開催され、国連のえらい局長やご老人たちは大ハリキリ。一方、妖精さんは里を去っていく。

お別れののち、主人公の「わたし」たち一行は都市遺跡の調査に向かう。これまでになく、念入りに装備を整えて。妖精さんがいないだけに、本当に死んでしまうかもしれない。
【0F】
○解説
 冷たく過酷な現実です。
 起こるべきことが起こります。
 事故や病気に気をつけて、天寿をまっとうできるよう頑張りましょう。
都市遺跡をさまよう「わたし」と助手さんがどれほどシビアな目に遭うかは実際に読んでみてほしいが、1巻、2巻とは段違いのシリアス度である。普通に冒険して、普通に死にかける。従来の1冊あたり2話の構成ではなく、丸ごと1冊つかって冒険してる点からも、危険度の高さがうかがえるはずだ。

現代よりもさらに進んだ科学を持ちながら、人類はどうして衰退してしまったのか。都市遺跡に踏み込んだ主人公たちは、結果的にその謎に迫っていく。それは妖精さんの出現とも関係がありそうな話で、とても興味深い。知的好奇心をそそられる。調査団の年老いた学者たちはもちろん、読者だって好奇心をおさえられない。

知るためには冒険だって辞さない。危険もかえりみない。少々の犠牲もやむを得ない。隣人の犠牲も……。見知らぬ誰かなら、後腐れなく。それが人類の正しい姿なのだろう。文明の発展と知の探求は人類史において常にセットだった。けれども、そうじゃない選択をした時がかつてあった。そうじゃない選択をした人がかつていたのだ。

選択が良かったか悪かったかはわからない。しかし「わたし」は選んだ。かつて人類の誰かがしたように。「……なにより、わたしは調停官ですから」の台詞には、ほれぼれしました。


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