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走る生徒会長 『学校の階段 8』

学校の階段 8櫂末 高彰

学校の階段を駆け上り、駆け下り、校内を駆け回る「階段レース」に青春を燃やす「階段部」の部員を描いたシリーズも、ついに8巻。ここまで続いたのは、奇抜な設定にもかかわらず、骨太な青春スポ根小説に仕上がっているからだろう。

生徒会長選挙が終わって、「走る生徒会長」になった幸宏は、すべての部をサポートするという公約を実現すべく、さっそく行動を開始した。そして階段部も山上桔梗院との再試合をひかえて、対山上の練習にはげんでいた。幸宏の対戦相手は羽佐間勝一。中学時代、バドミントンの全国大会で準優勝した身体能力の高さをもち、今回の試合にのぞむ気迫も尋常ではない。

生徒会長と階段部のかけもちは厳しい。でも陰ながらサポートしてくれる人達がいる。表立っては何もしてない風を装う、まわりくどいやり方。不器用なのだろう。しかしそういうもんだろう、とも思う。言葉にしなければ、何もないわけじゃない。人の想いって、いろんな形で伝わるはず。

その一方、伝わらない想いもある。
羽佐間父子の間には明らかに言葉が欠けていた。天馬グループへの復讐のため、文武ともに英才教育をうけて育てられてきた勝一。自分の人生を「馬淵家の宿命」として諦めていた勝一にとって、幸宏との階段レースは人生の決断を賭けた勝負だった。

「変えようと思えば変えられる」という幸宏の何気ない一言が衝撃だった。面白い、ならば自分の人生も、自分を縛ってきた過去も変えられるのか。馬淵家の宿命に従うか、そこから逃げるか。階段のぼって、おりて、廊下を走って、人生決める。

そうそう、男ってさ、一見つまらないことで、人生の重大な選択を決めちゃうもんなんだよ。馬鹿だよ。でもそんなもんだよ、男の子なんて。
 まだ終わらないかっ。そうこないとね!
 羽佐間は、自分が笑っていることに気づいた。こんな極限状態で、自分は笑っているじゃないか。とうとう頭がおかしくなったのか。息が苦しくて両脚の筋肉が悲鳴を上げているのに、頬が緩んで仕方ない。
 まだ、いける!
 幸宏は手応えを感じた。視えている。階段の壁、手摺、床、天井に滑り止めまで。全てのものが「視えて」いる。刹那の判断で足捌きを修正し、羽佐間に張りつく。突き放される気がしなかった。どんなに羽佐間が鋭い切り返しをしてみせようと、すぐに追いつく。それが前もってわかる。心臓が胸を圧迫するように鼓動を刻み、脚だけでなく腕も肩も、背中の筋肉まで限界を訴えているのに、痛みをまるで感じない。頭の中で、ただ「走れ」という信号だけが優先されている。
 羽佐間は、ひたすらに未完成のVターンを繰り返した。
 幸宏は、感じ取れる全てのものを駆使して駆け上がった。
 そして全てのピースが一瞬で正しい位置に填まるように、ゴールのイメージが脳内に映し出された。

勝負の果てに勝一がたどりついたのはどんな決断か。そして遅れてきたメッセンジャーが手渡す、父の言葉。何年もかかって、ようやく届く想いもある。いつもながら、このシリーズは実にさわやかな終わり方をする。そこが人気の理由でもある。

そんな青春ストーリーの一方で、恋愛絵巻も見逃せなくなってきた。御神楽さん、大奮闘。彼女らしい攻めの連続で、いちばん出遅れていたはずが一気に最前線へ。ネットの感想をみていると、応援するファンも増えたようだ。幸宏を包囲する四人の少女、希春姉さん、美冬姉さん、三島真琴、御神楽さん。そちらも今後の楽しみのひとつ。


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