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『紅の豚』が好きな人へ。ひと夏の恋と空戦の物語 『とある飛空士への追憶』

とある飛空士への追憶犬村小六

2月下旬に発売されて以来、ライトノベル書評サイトを中心にクチコミで広がり、DAIさん帝国さんや、マンガがあればいーのだ。さんのようなコミック紹介サイトにまで波及している大傑作。

「貴様にひとつ、重大な任務を託したい」
「次期皇妃を水上偵察機の後席に乗せ、中央海を単機敵中翔破せよ」

身分の低い傭兵飛空士シャルルに下された命令は、前代未聞の敵中突破指令だった。
西方大陸を支配する神聖レヴァーム皇国と、東方大陸を支配する帝政天ツ上が戦争を続けている時代。数十年にわたって優勢を維持していたレヴァーム皇国は、天ツ上の熾烈な反攻をうけて、東方大陸における橋頭保を失いつつあった。

すでに敵国に制空権を奪われつつあるなか、取り残された皇子の婚約者ファナを乗せて、1万2000キロという長大な距離を翔破する。じつに単純明快で王道の物語である。

レヴァーム人と天ツ人の血を引くシャルルは、子供のころから差別をうけつづけ、貧民窟のなかでも最底辺の暮らしを送ってきた。かたや、大貴族デル・モラル家の一人娘であるファナは、文字どおり人形のように大切に保護され、莫大な資金を投じてうつくしく飾り立てられてきた。本来なら出会うはずのないふたりが、戦時中の切迫した状況ゆえに出会うことになった。

ありえない程の身分の違い。しかし地上のしがらみは、空へ上がれば関係ない。空にはたったふたりだけなのだ。敵機の追撃を振り切り、海上をさまよう決死行のなか、シャルルとファナのあいだに少しずつ恋心がめばえていく。

2つの大陸をへだてる海上、空の上でのみ許された、夢のような自由の時間。しかしそれはあまりに短い数日間だ。敵勢力圏から離れねば、ファナの命は無い。しかし進めば進むほど、ふたりの時間は終わりに近づいていく。いっそこのまま、2つの大国や戦争を忘れて、どこか遠くへ逃げ出したい。そう願いながら、ふたりは味方の待つ目的地をめざして飛んでいく。

ふたりの恋の結末やいかに。
ラストシーンの美しさは印象的で、ジブリに映像化してもらいたいという声が出るのもうなずける。黄金の空にダンスをおどる水上偵察機サンタ・クルスと、少女から大人へと一段あがったファナの横顔。ふたりの想いはその時、たしかに形になったのだ。それは同時にひと夏の恋の終わりでもあった。

もう1つの柱である空中戦も迫力があり、サスペンスに満ちている。
たった1機で敵の大艦隊の追撃をふりきる中盤の空中戦、そして終盤の敵との一騎打ちはページをめくる手が汗ばむような面白さがある。『紅の豚』や『エースコンバット』がシリーズが好きな人には迷わずお薦めできる。

2008年前半の最大の話題作といってしまっても間違いないだろう。ためらわずに傑作といえる。
去年の『人類は衰退しました』に続き、『とある飛空士への追憶』を送り出したガガガ文庫、おそるべし。


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コメント

大プッシュですね、新しく読む本を探してたので明日本屋で探して見ます。ガガガ文庫って新しい
気がするんですが大きい本屋とかじゃないと見つからないですかね?(すいませんラノベ詳しくないので)

>gen さん
本屋にもよりますが、大きな方が確実でしょうね。

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