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音楽で会話するバンド小説 『さよならピアノソナタ 2』
さよならピアノソナタ 2(杉井光)

天才ピアニストなのにピアノを弾かなくなった蛯沢真冬をギタリストとして迎え、ついにバンドメンバーが勢ぞろいした民族音楽研究部。自称革命家の部長、神楽坂響子の思いつきで、海へ合宿に行くことに。
バンド<フェケテリコ>
ベース: ナオ。音楽評論家を父にもつ。
両親は離婚して、父親とは友達感覚でつきあっている。
ドラム: 相原千晶。ナオの幼なじみで、武闘派。飲むと親父になる。
ギター: 蛯沢真冬。ツンデレ。世界的な指揮者を父にもち、自身も天才ピアニストだった。
事情があって、ピアノは弾けない。
ヴォーカル: 神楽坂響子。革命家と恋に生きる女。過去に3つのバンドに入り、すべて解散。
今度こそ自分のバンドを立ち上げる。女の子の胸をもむのが好きな女。
はりきっている千昌、思い悩んでいる神楽坂、微妙に溶け込めてない真冬。まだ出来たばかりのバンドだけに、合宿でも波乱が起こらないはずがない。彼らの不器用さは歯がゆくもある。空回りする想いや、寂しさの爆発や、言葉にできないもどかしさや、失う事への怖れ。そんな諸々は、容易に若い少年少女をバラバラにしてしまう。
しかし言葉や思いがすれ違っても、音楽は響きあう。空中分解しかけても、もうバンドをやめようと思っても、あの曲が流れれば、誰かが弾き始めれば、自分も弾いてしまっている。彼らは音楽で会話するのだ。
バンドと青春と恋愛、いかにも王道のテーマだが、それがゆえに難しい。音楽によって、若い彼らの気持ちが電流が走るようにたちまちシンクロしてしまう瞬間をみごとに描き切っている。うんちくが少し鼻についた1巻と比べて、明らかにうまくなった。
ナオと真冬のボーイミーツガールから、バンド・ストーリーへ変化し、人物の描き込みも一段と深みを増した。特に、強引なリーダー役、神楽坂響子は1巻の時点では「暴走型先輩」という類型の域を出ていなかったが、弱さや不安が見えてきたことで、奥行きのある人物になった。過去に3つのバンドを経験し、いずれも解散に至った彼女が不安を抱えるのは当然だろう。今度こそ最高のメンバーを自分の手で集めた。だから生まれる悩みもある。
合宿の夜の1シーンは、彼らの関係を劇的に変えてしまった。
ややこしい問題ではある。革命と音楽だけなら、世の中はシンプルだったはず。でも女だもの、恋もする。3人の少女と1人の少年が一緒にいる辛さはある。しかしそれでも音楽はシンクロするのだ。
もう1人、千晶もえらく魅力的な女になった。「いい女」大賞は彼女だろう。
「戦闘員」は伊達じゃない。武闘派ドラマーが他のメンバーを信じて、戦い続けてくれたからこそ、彼らは再び響きあえた。
まだ問題は残ってる。けれども、まずは初めての合宿、初めてのライブ(オープニングアクト)を終えた。革命の夜明けは近い。
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天才ピアニストなのにピアノを弾かなくなった蛯沢真冬をギタリストとして迎え、ついにバンドメンバーが勢ぞろいした民族音楽研究部。自称革命家の部長、神楽坂響子の思いつきで、海へ合宿に行くことに。
バンド<フェケテリコ>
ベース: ナオ。音楽評論家を父にもつ。
両親は離婚して、父親とは友達感覚でつきあっている。
ドラム: 相原千晶。ナオの幼なじみで、武闘派。飲むと親父になる。
ギター: 蛯沢真冬。ツンデレ。世界的な指揮者を父にもち、自身も天才ピアニストだった。
事情があって、ピアノは弾けない。
ヴォーカル: 神楽坂響子。革命家と恋に生きる女。過去に3つのバンドに入り、すべて解散。
今度こそ自分のバンドを立ち上げる。女の子の胸をもむのが好きな女。
はりきっている千昌、思い悩んでいる神楽坂、微妙に溶け込めてない真冬。まだ出来たばかりのバンドだけに、合宿でも波乱が起こらないはずがない。彼らの不器用さは歯がゆくもある。空回りする想いや、寂しさの爆発や、言葉にできないもどかしさや、失う事への怖れ。そんな諸々は、容易に若い少年少女をバラバラにしてしまう。
しかし言葉や思いがすれ違っても、音楽は響きあう。空中分解しかけても、もうバンドをやめようと思っても、あの曲が流れれば、誰かが弾き始めれば、自分も弾いてしまっている。彼らは音楽で会話するのだ。
バンドと青春と恋愛、いかにも王道のテーマだが、それがゆえに難しい。音楽によって、若い彼らの気持ちが電流が走るようにたちまちシンクロしてしまう瞬間をみごとに描き切っている。うんちくが少し鼻についた1巻と比べて、明らかにうまくなった。
ナオと真冬のボーイミーツガールから、バンド・ストーリーへ変化し、人物の描き込みも一段と深みを増した。特に、強引なリーダー役、神楽坂響子は1巻の時点では「暴走型先輩」という類型の域を出ていなかったが、弱さや不安が見えてきたことで、奥行きのある人物になった。過去に3つのバンドを経験し、いずれも解散に至った彼女が不安を抱えるのは当然だろう。今度こそ最高のメンバーを自分の手で集めた。だから生まれる悩みもある。
合宿の夜の1シーンは、彼らの関係を劇的に変えてしまった。
ややこしい問題ではある。革命と音楽だけなら、世の中はシンプルだったはず。でも女だもの、恋もする。3人の少女と1人の少年が一緒にいる辛さはある。しかしそれでも音楽はシンクロするのだ。
もう1人、千晶もえらく魅力的な女になった。「いい女」大賞は彼女だろう。
「戦闘員」は伊達じゃない。武闘派ドラマーが他のメンバーを信じて、戦い続けてくれたからこそ、彼らは再び響きあえた。
まだ問題は残ってる。けれども、まずは初めての合宿、初めてのライブ(オープニングアクト)を終えた。革命の夜明けは近い。
「きみが生まれる前にも音は鳴っていた。きみが死んだ後も鳴り続けるだろう。だから大丈夫、ちゃんと耳を澄まして。弾いていなくたって、さっきまで鳴っていた自分の音が聞こえるはずだよ」
「同じバンドの仲間なのに。あたしと真冬は、カッティング二回するだけで、ハイハット四つ踏むだけで、なに演るのかお互いにわかるようになったんだよ? たった一月で! その気になれば五時間でも六時間でもジャムってられるのに、真冬はっ」
千晶はかがみ込んで、ぼくの肩を殴った。力のない拳で。
「真冬は、ナオのことしか考えてなくて、そんなの、そんなの哀しいよ」
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