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ケータイ小説の徹底解剖 『なぜケータイ小説は売れるのか』
なぜケータイ小説は売れるのか(本田透)

ケータイ小説の作品論として、現時点で最高の本。
他の「ケータイ小説解説本」がおもに現象(サイトでアクセス数を集めていた小説を出版したら、すごく売れた)を取り扱っているのに対して、この本は徹頭徹尾、作品の内容に特化している。
筆者の本田透がライトノベル作家で、小説を書く人だからかもしれない。ビジネス以前に、どうしてあれだけたくさんの人がケータイで小説を書いたのかを実に見事に説明してのけた。
本書の情報量の多さには心底圧倒された。それは、本田透がケータイ小説の海に素もぐり40メートルして持ち帰ってきた情報だからだ。市場動向のような、現象を書き連ねただけの本では決して得られないものがここにある。
序章 ケータイ小説七つの大罪
ケータイ小説でよく書かれる、典型的な7つの特徴を簡単にまとめている。3分でケータイ小説の内容がわかるという言葉に嘘は無い。さすがの「まとめ」力である。
第一章 ケータイ小説のあらまし
ケータイ小説の歴史を最初から現在まで、ていねいに辿っている。特筆すべきは、第一次ブームである『Deep Love』(Yoshi)と、魔法のiらんどを起点とした第二次ブームの『天使がくれたもの』(Chaco)の違いに意識的な点。ケータイ小説家のあり方(スタイル)が変わったのを明確に指摘したのは、本田透が初めてかもしれない。
第二章 ケータイ小説市場の最前線
ケータイ小説に関わる編集者や作家へのインタビューを元にしており、現場の生の声が伝わってくる。ケータイ小説本はAmazon等のネット書店ではなく、コンビニなどで売れており、都会だけでなく地方都市で売れているらしい。その話は以前聞いたことがあったが、そこからケータイ小説の「リアル」がなぜ求められるようになったかに切り込んでいるのがすばらしい。
第三章 ケータイ小説の内容
『Deep Love』『天使がくれたもの』『恋空』『赤い糸』の代表的な4作品を取り上げ、内容を細かく分析している。本書のハイライトであり、最も読み応えのある部分。膨大な数の読者がどうしてケータイ小説を読むのか、何を求めて読んでいるのかが、ほんの少しわかった気になれる。数百円でそれがわかるなら、安いものだ。なにしろこの4冊を全部買って読んだって、わからない人はいるだろうから。
第四章 ケータイ小説を巡る言説
昨年末の「ケータイ小説(笑」は印象的だった。
筆者は(PCの)ネットでケータイ小説を叩く意見が多い理由を解き明かしている。また『文學界』のような文芸誌がケータイ小説に言及し始めた出版事情まで明かしており、野次馬的な観点でも面白い。
第五章 なぜケータイ小説は売れるのか
あの「電波男」の筆者がケータイ小説をここまで肯定的に捉えている事にビックリしたし、その姿勢には敬意を払わざるを得ない。あれだけ多数の人間が物語を書くようになった、という事実を真正面から受け止めきっている。そう、クオリティの問題ではないのだ。本田透自身が物語作家に憧れて、(評価が高いとは言えないが)実際に作家になった人間だからこそ、物語を書く無数の少女達に共感できたのかもしれない。
僕はケータイ小説を「小説のカラオケ化」と捉えていたが、その認識を強くすると共に、たくさんの人がケータイ小説にこめた思いを知る取っ掛かりを得られた。この本の内容は、今後の議論の大前提、土台となるものだ。「まずこの本を読んでくれ。話はそれからしよう」、しばらくはそう言って回らなければならない。

ケータイ小説の作品論として、現時点で最高の本。
他の「ケータイ小説解説本」がおもに現象(サイトでアクセス数を集めていた小説を出版したら、すごく売れた)を取り扱っているのに対して、この本は徹頭徹尾、作品の内容に特化している。
筆者の本田透がライトノベル作家で、小説を書く人だからかもしれない。ビジネス以前に、どうしてあれだけたくさんの人がケータイで小説を書いたのかを実に見事に説明してのけた。
本書の情報量の多さには心底圧倒された。それは、本田透がケータイ小説の海に素もぐり40メートルして持ち帰ってきた情報だからだ。市場動向のような、現象を書き連ねただけの本では決して得られないものがここにある。
序章 ケータイ小説七つの大罪
ケータイ小説でよく書かれる、典型的な7つの特徴を簡単にまとめている。3分でケータイ小説の内容がわかるという言葉に嘘は無い。さすがの「まとめ」力である。
第一章 ケータイ小説のあらまし
ケータイ小説の歴史を最初から現在まで、ていねいに辿っている。特筆すべきは、第一次ブームである『Deep Love』(Yoshi)と、魔法のiらんどを起点とした第二次ブームの『天使がくれたもの』(Chaco)の違いに意識的な点。ケータイ小説家のあり方(スタイル)が変わったのを明確に指摘したのは、本田透が初めてかもしれない。
第二章 ケータイ小説市場の最前線
ケータイ小説に関わる編集者や作家へのインタビューを元にしており、現場の生の声が伝わってくる。ケータイ小説本はAmazon等のネット書店ではなく、コンビニなどで売れており、都会だけでなく地方都市で売れているらしい。その話は以前聞いたことがあったが、そこからケータイ小説の「リアル」がなぜ求められるようになったかに切り込んでいるのがすばらしい。
第三章 ケータイ小説の内容
『Deep Love』『天使がくれたもの』『恋空』『赤い糸』の代表的な4作品を取り上げ、内容を細かく分析している。本書のハイライトであり、最も読み応えのある部分。膨大な数の読者がどうしてケータイ小説を読むのか、何を求めて読んでいるのかが、ほんの少しわかった気になれる。数百円でそれがわかるなら、安いものだ。なにしろこの4冊を全部買って読んだって、わからない人はいるだろうから。
第四章 ケータイ小説を巡る言説
昨年末の「ケータイ小説(笑」は印象的だった。
筆者は(PCの)ネットでケータイ小説を叩く意見が多い理由を解き明かしている。また『文學界』のような文芸誌がケータイ小説に言及し始めた出版事情まで明かしており、野次馬的な観点でも面白い。
第五章 なぜケータイ小説は売れるのか
あの「電波男」の筆者がケータイ小説をここまで肯定的に捉えている事にビックリしたし、その姿勢には敬意を払わざるを得ない。あれだけ多数の人間が物語を書くようになった、という事実を真正面から受け止めきっている。そう、クオリティの問題ではないのだ。本田透自身が物語作家に憧れて、(評価が高いとは言えないが)実際に作家になった人間だからこそ、物語を書く無数の少女達に共感できたのかもしれない。
僕はケータイ小説を「小説のカラオケ化」と捉えていたが、その認識を強くすると共に、たくさんの人がケータイ小説にこめた思いを知る取っ掛かりを得られた。この本の内容は、今後の議論の大前提、土台となるものだ。「まずこの本を読んでくれ。話はそれからしよう」、しばらくはそう言って回らなければならない。
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