Latest Entries
卒業生の残した傑作 『CARNIVAL』
CARNIVAL(瀬戸口 廉也)

美少女ゲームのシナリオライター、瀬戸口 廉也氏が引退を表明されたようで、非常に残念です。瀬戸口ファンの筆頭ともいえる、Something Orangeのkaienさんも、「卒業」を惜しむと共に、このまま「幻の作家」として消えていかないかを心配されてますね。
今後のご活躍をお祈りするほかありませんけど、ファンとしては小説家へ転身してくれるとありがたいのですが。海猫沢めろんに続いてほしいです。
今回取り上げるのは、瀬戸口氏が書いた初めてにして、唯一の小説。
作者がシナリオを担当したゲームの「続編」「完結編」にあたるお話で、ゲーム本編のノベライズではない事にご注意を。どういう経緯で、この続編を書くことになったかは知りませんが、かなり珍しいケースだと思います。
まずは本編のあらすじを説明しましょう。
典型的ないじめられっ子だったマナブは、昔から嫌なことがあると、記憶を失ってしまう事がありました。高校生になっても、先輩のエイミとミサワに執拗にいじめられていましたが、ある日いつものように呼び出されて屋上にいくと、幼なじみのリサが先輩2人に抗議していました。逆上したミサワが彼女に掴みかかったところで、マナブの記憶は途切れ、ミサワは首を掻っ切られ、リサは気絶していました。記憶が無いため、曖昧な供述しかできない彼は警察に逮捕されてしまいます。
彼は警察の隙をついて逃亡し、幼なじみの家に身を寄せます。弱い自分に嫌気がさした彼は、生まれ変わろうと決意し、まずは自分をいじめていた先輩の生き残りであるエイミに復讐することにします。復讐者であり、逃亡者であるマナブが向かい合う、彼自身の真実と過酷な現実とは……。
その真実はぜひご自身の目で、確かめてください。初作品だけに荒削りではあるものの、人間が信じあうことの困難さや、心に傷を抱えた若者が苦しみながら生きていくさまを、鮮烈に描ききった傑作です。このゲームはダウンロード販売されており、2800円とたいへんお安いです。
ギュッと!:『CARNIVAL』
小説『CARNIVAL』はゲームの7年後の物語です。
失踪したリサの弟が主人公で、いなくなった姉の消息を追い、7年前の事件を調べ始めますが、おそろしく救いが無い。ゲーム本編では、やや強引でも、最後はさわやかにまとめていたのに。
かすかな希望を見せておいて、7年後はこうなるって突きつけるとは、正直驚きです。ゲームでは抑えていたものを小説で噴き出させたのか、それとも作者の暗黒面がますます活性化してきたのか。心を抉り出すような、とてつもなくトンガったものを読みたい人にだけお薦めします。
関連
2作目にあたる『SWAN SONG』は本数が出回っておらず、現在中古で約3万円と非常に高いため、よほど気に入った人以外にはお薦めできませんが、最新作『キラ☆キラ』はまだ普通に手に入ります。


美少女ゲームのシナリオライター、瀬戸口 廉也氏が引退を表明されたようで、非常に残念です。瀬戸口ファンの筆頭ともいえる、Something Orangeのkaienさんも、「卒業」を惜しむと共に、このまま「幻の作家」として消えていかないかを心配されてますね。
今後のご活躍をお祈りするほかありませんけど、ファンとしては小説家へ転身してくれるとありがたいのですが。海猫沢めろんに続いてほしいです。
今回取り上げるのは、瀬戸口氏が書いた初めてにして、唯一の小説。
作者がシナリオを担当したゲームの「続編」「完結編」にあたるお話で、ゲーム本編のノベライズではない事にご注意を。どういう経緯で、この続編を書くことになったかは知りませんが、かなり珍しいケースだと思います。
まずは本編のあらすじを説明しましょう。
典型的ないじめられっ子だったマナブは、昔から嫌なことがあると、記憶を失ってしまう事がありました。高校生になっても、先輩のエイミとミサワに執拗にいじめられていましたが、ある日いつものように呼び出されて屋上にいくと、幼なじみのリサが先輩2人に抗議していました。逆上したミサワが彼女に掴みかかったところで、マナブの記憶は途切れ、ミサワは首を掻っ切られ、リサは気絶していました。記憶が無いため、曖昧な供述しかできない彼は警察に逮捕されてしまいます。
彼は警察の隙をついて逃亡し、幼なじみの家に身を寄せます。弱い自分に嫌気がさした彼は、生まれ変わろうと決意し、まずは自分をいじめていた先輩の生き残りであるエイミに復讐することにします。復讐者であり、逃亡者であるマナブが向かい合う、彼自身の真実と過酷な現実とは……。
その真実はぜひご自身の目で、確かめてください。初作品だけに荒削りではあるものの、人間が信じあうことの困難さや、心に傷を抱えた若者が苦しみながら生きていくさまを、鮮烈に描ききった傑作です。このゲームはダウンロード販売されており、2800円とたいへんお安いです。
ギュッと!:『CARNIVAL』
小説『CARNIVAL』はゲームの7年後の物語です。
失踪したリサの弟が主人公で、いなくなった姉の消息を追い、7年前の事件を調べ始めますが、おそろしく救いが無い。ゲーム本編では、やや強引でも、最後はさわやかにまとめていたのに。
かすかな希望を見せておいて、7年後はこうなるって突きつけるとは、正直驚きです。ゲームでは抑えていたものを小説で噴き出させたのか、それとも作者の暗黒面がますます活性化してきたのか。心を抉り出すような、とてつもなくトンガったものを読みたい人にだけお薦めします。
関連
2作目にあたる『SWAN SONG』は本数が出回っておらず、現在中古で約3万円と非常に高いため、よほど気に入った人以外にはお薦めできませんが、最新作『キラ☆キラ』はまだ普通に手に入ります。

スポンサーサイト
コメント
>ゆとり世代 さん
ですねえ。
本人がそもそもエロゲーのシナリオを書くことに執着が無さそうです・・・・。
ですねえ。
本人がそもそもエロゲーのシナリオを書くことに執着が無さそうです・・・・。
kaienさんも述べていらっしゃいますが、何かこのまま文章とは無縁の世界に行って帰ってこないような印象です。
>SWAN SONG
何故再版が行われない!
日々、嘆いてます(涙)
つい先日再版の噂が出てきましたけど……どうなんでしょうね……。
http://www.close-channel.net/archives/2008/02/swan_song.php