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男らしく読め 『桜庭一樹読書日記』

桜庭一樹読書日記桜庭一樹

サクラバカズキがどれだけ編集から愛されているかがすごくわかる本。
もちろん僕も大好きだ。たぶん多くのファンも、この変な女が大好きなはず。作品以上に本人が愛されている作家だと思う。売れてなかった時代にも、あとがきの面白さには定評があった。そのサクラバが書いた読書日記、面白くないはずがない。

サクラバは外見に似合わず、空手道場に通って、けっこう強い。筆名からして男っぽいが、動揺すると一人称が「俺」に戻る。しょっちゅう実家に帰って、一年の半分を新宿歌舞伎町で、もう半分を鳥取で過ごしているようであり、日記のほとんどは編集にいじられたり、両親の言葉に翻弄されたり、変な友人と遊びに出かけた話で構成されている。

あっ、もちろん本の話がかなりの比重を占めている。ちゃんと読書日記している。彼女の本好きは文章の隅々から伝わってくるし、だからこそ編集から愛されてもいるのだと思う。本好きどうしの共感!

変な友人の多いサクラバも、相当変な人であり、大半のエピソードが変で面白い。面白いといっても、哂いの類ではなく、温かい視線で見守ってあげたい気持ちになる。父にゴンスケ(実家で飼ってるドーベルマン似の黒い犬)と呼び間違えられて、部屋の隅でたそがれていた話なんて、体育すわりでひざを抱えている可愛らしい映像が浮かんで、なぐさめてあげたくなった。言い換えれば、すげえ萌える。作品のキャラより萌える作家は希少である。

しかしそういう実体験的なエピソードを引用するのはやめておく。
萌えキャラに会うため、ぜひ本を買ってほしい。ここではサクラバの主張を引用しよう。
 帰宅して、なにを読もうかなぁと積み本を眺めていたら、なにか急に、怖くなる。東京に戻ってきたので新刊がいくらでも手に入るのだが、いや、自分の本も出たときは新刊なのだが、新たに出る注目の本ばかり追いかけると、まるで流行りのJ-POPを消費する若者のような心持ちで読んでしまう気がして、手が止まる。
 こういうことを繰り返したら、作家も読者も聞き分けがよく似通った、のっぺりした顔になってしまうんじゃないか。みんなで、笑顔でうなずきあいながら、ゆっくりと滅びてしまうんじゃないか。駄目だッ。散らばれッ! もっと孤独になれッ! 頑固で狭心で偏屈な横顔を保て! それこそが本を読む人の顔面というものではないか? おもしろい本を見せておいて「でも君には難しすぎるかもね」なんて口走って意中の女の子をムッとさせろ! 読もうと思っていたマニアックな本が、なぜかすでに話題になっていたら、のばした手を光の速度でひっこめろ! それぐらいの偏屈さは、最低限、保たなくては……。みんな、足並みなんか、そろえちゃ、だーめーだー……。古い本を! 古い本を! むかしの小説を! 読まないと死ぬゾ。

!の連呼。
力強く、男らしい文章を書こうとしている感じで、徐々にテンションが上がっていく。でも本当の男が書くような、力強すぎる気持ち悪さはまったく無い。言葉選びとたとえのユーモアさ。かわいらしい声を張り上げて、小さな拳を振り上げているようである。

そして、「最低限、保たなくては……」で、はじめて「……」。テンション下がった。声が枯れたのか? 頑張れ、という応援したくなる。「だーめーだー……」。力が抜けていく。ハラハラする。しかし次は再びテンションが上がって、!!!の3連打。拳を振り上げて、声を張り上げて。よしっ、フィナーレ! ……あれ? 「読まないと死ぬゾ」。って、「ゾ」ってなんだよ、「ゾ」って。まいった、萌える。

僕はこのくだりを読んで、壇上で講演するみやび様の姿(左上の画像)が思い浮かんでしまった(画像にマウスを載せてみよう)。しかしこれもサクラバの一面にすぎない。サクラバの魅力は本書の全編にあふれている。

ちなみにこの日記、東京創元社のWebミステリーズ!で連載されていたもので、現在は「続・桜庭一樹読書日記」が掲載されている。


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コメント

はじめまして

日記を読んでると、桜庭一樹の人柄というか、編集者の人たちとの良好な関係もここ数年の成功の秘訣だったのかなあ、なんて思います。執筆する上でのヒントも結構編集者との会話から得たりしてるみたいですし。

24日放送の情熱大陸ではそこらへんが垣間見えるかな、と期待してます。空手の道着を着てたのもちょっと気になりますが……瓦割りでもやるのかな?(笑)

>megyumi さん
編集さん達から愛されてるのがよく伝わってきますよね。
会社の玄関に入れなかったエピソードは申し訳ないけど、笑ってしまいました。

> 空手の道着を着てた
空手作家として全国デビューですね!

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