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怒涛の新章突入! 人が人に残すもの『薔薇のマリア』

薔薇のマリア 5 SEASIDE BLOODEDGE十文字 青
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新しい巻を開くたびに新しい物を見せてくれますね。今までとは打って変わった、大変ユニークな構成です。舞台はサンランド無統治王国の首都エルデンを離れて、海の街ジェードリ。街には”何か”が起きつつありました。いくつもの視点を通して、その”何か”は不気味に進行していきます。

■多数の視点で語られる物語

街を牛耳るマフィア、街外れの館に住む貴族風の謎の男、狂信的な宗教騎士団、虐殺された神殿の生き残り僧主、暗黒大陸出身の少女と白い王、売春婦と孤児達の一家。……じつに多数、20人弱の人間の視点で事件が語られるため、街に生きる一人一人の異なる思惑、さまざまな人生、たくさんの想いがぶつかり合い、混じり合う様子が立体的に浮かび上がります。
この巻の冒頭から終わりまでに、どれだけ視点が変化していくか、列挙してみましょう。
  1.  ルカ
  2.  マリアローズ
  3.  リク
  4.  ルカ
  5.  アルファ
  6.  カルロ
  7.  パオロ
  8.  ジョルジュ
  9.  チーロ・パンカロ
  10.  マリアローズ
  11.  ニーノ・パンカロ
  12.  ハーヴェイ
  13.  ロム・フォウ
  14.  ステラ
  15.  ローラ
  16.  ヘンリー
  17.  ウーゴ・パンカロ
  18.  ラッチャ
  19.  エンツォ・パンカロ
  20.  イビツ
  21.  チーロ・パンカロ
  22.  ニーノ・パンカロ
  23.  ウーゴ・パンカロ
  24.  ルカ
  25.  カルロ
  26.  ニーノ・パンカロ
  27.  チーロ・パンカロ
  28.  リク
  29.  マリアローズ

主人公であるマリアローズたちが登場するのはたった3回で、それも馬車でジェードリに向かうまでの様子を描くだけ。なんとこの巻ではエピソードは終結せず、マリアローズたち一行がジェードリに到着した時点で次の巻に続くのです。
(6巻からは再びマリアローズたちを中心に物語が進みます)

この巻はファンの間で賛否両論が分かれています。『薔薇のマリア』を買ったはずなのにそうじゃない小説が書かれているのですから、当惑するのは当然です。

■人が人に残す、幸福の原形

しかしこの構成には大きな意義があると思います。おそらく作者は「街そのものと街に生きる人々」を描こうと思ったのでしょう。マリアローズたちはこの街の住人ではないため、あえて彼らの登場を減らすのも当然の選択です。とはいえ、シリーズを通して語られているテーマそのものは共通しています。

『薔薇のマリア』は、孤独な人間(特殊な事情をもった者や、普通の人間ではない者)が絶望の中でなんとか生きていく、仲間を見つけて、支えあって生きていく物語です。

この巻では、孤児たちを拾って育てている売春婦ローラの一家、そしてマフィアのパンカロ・ファミリー、2つの擬似家族が登場します。擬似家族的な集団は、モリー・アサイラム(孤児院であり病院)や、ZOO(マリアたちのクラン)など、これまでも描かれてきましたが、「親」の存在がより明確になっているのが特徴です。もちろん「父親」はエンツォ・パンカロ、「母親」はローラです。

たぶん作者が最も描きたかったのは、擬似家族の絆と、彼らに対する最大の試練でしょう。その試練がなんなのかは、実際に読んでみてください。個人的には、『薔薇のマリア』の中でも屈指の出来だと思いますし、最も心打たれました。ジェードリ編は6巻でも終わってないのですが、作者が最終的に2つの擬似家族にどんな結末を与えるのか、非常に楽しみです。作家の力量が問われるところでしょう。
「幸福の原形、か」
「貴様も言っただろう。人は、血以外のものも後世に残すことができるからこそ、人だ。幸福の概念もその一種だ。幸福は血では伝えられぬ。親が子に――必ずしも親子である必要はないが、人が人に幸福の原形を植えつけることで、次第に輪郭が整い、はっきりと感じられるようになる」
「私の子らには、それを持たん者が多い」
「幸福の影踏みだな」
「どういう意味だ」
「哀れな糞餓鬼どもは、それが幸福だと思い追い求める。なんとしても手に入れようと思う。だが、ふれるたびに、するりと逃げてしまう。手ざわりがない。それは幸福そのものではなく、幸福の影にすぎないからだ」
「それでも、彼らは影を踏みつづけるだろう」
「そうだ。貴様の影を踏む」


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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:薔薇のマリア  十文字青  

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