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ズレを抱えて生きている 『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・ふぉー』

ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・ふぉー新井輝

これで186番目の書評になるが、その間に新井輝作品を取り上げるのはこれで6回目。変態さんが好きなんですねと言われるとチト返答に迷うが、変人さんが好きなんですねと言われると即肯定せざるを得ない。

新井輝の小説を読んで感じるのは、変、奇妙、という感覚である。といっても、登場人物達はそこまで奇妙奇天烈な外見や行動をしているわけでもない。奇抜さでいえば、他のライトノベルに見られる記号的に形作られたキャラクターの方が、よほど奇抜だ。新井輝作品のキャラクターは、そうした類型的な何かからも、どこかズレている。

ズレるというのは、どうしようもないことだ。別にズレたくてズレた人はいない。ただ、あるがままに生きれば、ズレていただけ。幽霊マンションの「あるはずのない13階」に住む少年少女は誰も彼もが、自分がズレている事に悩んでいる。

確かに物語の最初において、他人と違う事は不幸だったり、悲しみのもとだったりする。しかし徐々に彼らは、慰めを、あるいは希望を得ているように見受けられる。

その救いはわかりやすく描かれない。美少女ゲームであれば、主人公の健一が少女と結ばれれば、それで彼女を救えるはずだ。しかしこの作品は、一見そういう構造に似ているけれども、絶対にそういう結末を迎えない。絶対にというのは、各巻のプロローグで5年後の彼らが描かれているからだ。『ROOM No.1301』という楽園が失われることは、読者に予告されており、また住人達も予感している。そこは避難所であっても、永住の場所ではないのだ。


この短編集は相変わらず面白い。今回はシーナ分が足りないのが残念だが、『僕と綾さんと千人の千夜子ちゃん』を始め、本編以上に面白い。健一の深層心理(?)がわかって、ひとまず安心という所だ。冴子が以前言っていたように、健一を救えるのは千夜子だけで、健一も無意識にわかっているのかもしれない。

他の女の子とはやる事やってるのに、何故か公式の「彼女」である千夜子とはキスさえしていない。全てが明るみに出る日は来る。読者には予告されている。でも千夜子は許すのだろう。それも明らかだ。変だ。しかし受け入れるというのは、そういうことなのだろう。

ズレを抱えた人達がお互いに受け入れ合うことで、生きる希望を得ていく。しかし彼らだけで閉じることもない。じっさい登場人物は増えていき、彼らもズレを抱えている様子が描かれる。少数の変わり者だけがズレているのではなく、誰もが大なり小なりズレを抱えて生きているのだ。そうしてこの物語は普遍性を持つに至る。大した起伏も無い物語が本編9巻、短編集4巻、計13巻も続いているのはそのためだろう。



ま、それはともかく、やはり綾さん最強である。
「だからってですね、人を催眠術で眠らせて、その隙にしちゃうってのは……犯罪ですよ?」
「でも、ほら、健ちゃんは始まったらノリノリになるってわかってるし。イカせたら和姦だって雑誌にも書いてあったよ?」


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