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いいじゃねえか、傷の舐めあいで 『カッティング ~Case of Tomoe~』

カッティング ~Case of Tomoe~翅田大介

タイトルとイラストから、鬱系リストカット小説を連想する人も多いと思うけど、それは前作のほうで、こちらはリストカットは関係なし。まあ最初は鬱系なんだけど、最後までそうじゃないんで、ご安心を。
このシリーズは単巻で完結しているんで、お薦めしやすいのもいい。

5歳の時に親に棄てられ、叔父の家で育てられた紅条ケイイチロウと、彼のクラスに突然転校してきた、妹を名乗る紅条トモエの二人が主人公。自分には何の価値も無いと感じている少年と、彼を憎むことで生きてきた少女が出会えば、そりゃあ痛々しい展開が待っている。

と彼女が外側から傷つけられたのは確かだろう。内に篭もるのも自然なことだ。自分で自分を騙して、自分の価値を貶めていく「自傷」をくり返すのも、無理はない。互いによく似ている二人が惹かれあうのも当然だ。憎悪とは他者への強い関心であり、内に閉ざした心と外をつなぐ鎖なのだから。

物語の中にあってさえ、この二人の関係は万人に祝福される類のものではないだろう。肯定するにしたって、青臭すぎる。だがそこがいい。ぞんぶんに臭みを味わってほしい。ライトノベルと呼ばれる青春小説は、青臭さを楽しむものだ。
「……傷を嘗め合う様な関係になる。傷を癒す事なんて、一生できない。むしろ傷付けあうことしかできない。そんな関係、惨めなだけよ」
「傷を舐め合うことは、本当に惨めな事なのか? 誰だって傷を抱えてる。喪失を抱えて生きている。この世の誰もが、その傷と喪失を埋めようと四苦八苦して生きている。けどそれは、傷を舐め合うのとどう違うんだ? むしろ、まったく同じ事なんじゃないのか? だって結局、傷は埋まりっこないんだから」

この小説、実はSF的なギミックが用いられているが、無くても良かったんじゃないかという気がする。仕掛けは古典的で、今さらその部分に描くべきテーマは無いだろう。まぁ事件の一つも起こさないと、収まりが悪かったのかもしれないが、もっと青臭いドタバタを書いてほしかった。

作者が本当に書くべき部分は、この物語の後にあると思う。そこまで書ききってしまうと、もはや「ライト」ノベルではなくなってしまうかもしれないが。そういう意味では、このシリーズは鬱系「BOYS BE…」という捉え方が妥当かもしれない。

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