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ヤサグレ主人公の超傑作 『ドラゴンキラーあります』

ドラゴンキラーあります海原 育人

多数の男性読者にとって、C★ノベルスは視野外のはずだが、そこから予想外の魔球が飛んできた。『ドラゴンキラー』シリーズは去年の後半、クチコミでライトノベル読者層に広がった、想定外の良作だ。

異能の女性とベテラン男性のバディ物という点では、『ドラグネット・ミラージュ』と同じ構図だが、新人作家の手がける今作は元軍人のココのしゃべりが生き生きとヤサグレており、魅力的だ。

どう表現すればいいだろう?
高校卒業したとたんにハルヒに振られ、借金を背負わされてマグロ漁船に乗った挙句、大陸に渡って流れ流れて中東で何年か傭兵して、米軍の空爆怖いよーとトラウマをきっちり刻まれて、東南アジアでブラックラグーンしているキョンなら、こういう語り口になるかもしれない。

例を挙げるなら、23ページの「女は胸より尻だ」という長い語りは、性的嗜好に退廃とやさぐれが絶妙にブレンドされている。

戦場で受けたトラウマに悩まされながら、便利屋として暮らしていた元軍人のココは、亡命中の皇女アルマと護衛の女戦士リリィと出会う。リリィは竜を素手で殺せる生物兵器ドラゴンキラーだが、人を殺すのを怖がる優しい臆病者で、しかし追手は殺人をためらわないドラゴンキラー2人。普段なら絶対に助けない、係わり合いにならない手合いだが、ココは過去の因縁から彼女達を助ける側に回る……。

リリィとココの悪口雑言のやりとりが気持ちいい。
ココは自他共に認める小悪党で、根性も悪いが、生物兵器ドラゴンキラーを相手に物怖じする事がない。不器用に生きてきたリリィも、ココ相手には遠慮せずに堂々と物をいえる。ココには、皇女を帝国に売り渡さない程度には甘さもあるが、ドラゴンキラーの武力で町を制圧しようと企まない程度には器の小ささも自覚している。
「あなたは、今までどれほどの人間を殺してきた?」
「三十までは数えた。それ以上は馬鹿らしくなって数えてない」
「私は今まで十七人だ。殺した人間の顔は今でも覚えている。今でも思い出すし、夢にも見る」
「つまんねえ話だ」
「あなたもそうではないのか? 戦役のことを思い出すと言っていた」
「そいつはちょっと理由が違う。殺すのも殺されるのも腐るほど見てきたんだ。今更そんなことに拘ってねえよ」
「では」
「拘ってんのは、俺の人生が俺の選んでいないところで勝手に変えられたってことだ。レクスか。一生忘れない名前だ。学もねえ教養も知識も金も力もねえ、そんな役立たずだがな、それでも手前で選んでたんだ。望んで軍隊に入って、殺して給料を貰ってた。それが、あの馬鹿のせいで滅茶苦茶だ。あんただったら許せるか? 俺はそれが許せなくってな。だから未だに拘ってんだが、相手はドラゴンキラーだ。泣き寝入りしかねえ。それで余計に色んなものが許せなくてな、それで今に至る、だ」

2段組で約200ページと気軽に読める長さなのもいい。ライトノベルは人気作ほど長く続く傾向があるが、このシリーズは無駄にキャラクターや設定が増え続けることもなく、3巻で完結していて、手を出しやすい。リーダビリティは高く、新しさもあり、キャラクターも魅力的。クチコミで広がるのも当然の面白さである。


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