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そして小鳥たちは夜の世界から飛び立った 『ダークエルフの口づけ 4』

ダークエルフの口づけ 4川人忠明

アマデオ編、完結。
読み始めるにはいいタイミングかもしれません。

富士見ファンタジア文庫、それもソードワールド物という表面に騙されてはいけない。
ここまで腹黒い人間ばかりの小説も、なかなか珍しい。

まず主人公のベラからして、大嘘つきである。たぐいまれなる剣の腕をもつ、美しいエルフの保安主任の正体は、ダークエルフの里から送り込まれた密偵。魔法の耳飾りで肌の色を変えたこの女は、かつて冒険を共にしたパーティを皆殺しにして、過去を葬っている。人を殺しても顔色ひとつ変えない冷徹な女だ。

悪女は1人ではない。
2人目は百顔のラミア。ある時は社交界にて美しさを讃えられる男爵夫人、そしてまたある時は盗賊ギルドの幹部の一人。その名のとおり老婆にでも、少女にでも、誰にでも化ける神出鬼没な魔女である。

3人目はララサベル公爵家の第一公女にしてラフエンテ伯爵妃、クララ。母ゆずりの美しく、優しげな容姿を持ちながら、その心は冷酷な陰謀家。いずれ公爵家の栄華をその手中に収めるに違いない。
「貴方はわたくしを恨んではいないと言いましたけれど、もしそれが本当の心を偽ったものなのでしたら、どうかむかしの貴方に戻ってくださいね。出会ったばかりの頃、本当に貴方は美しかったのですよ。とても澄んだ瞳をしていて。純粋で。まるで、神様にお祈りをするように人を殺せる人だと思いましたもの。あの子のもとで、貴方はその美しさを失ってしまったようですけれど、またわたくしに仕えてくれるというのでしたら、きっと取り戻してくださいね。わたくし、楽しみにしていますわ」
 まるで罪のない純真無垢な乙女のように、クララは笑った。

この巻では、警備兵のアマデオと公爵家の第二公女エビータを中心に残酷な陰謀が動き出す。とりわけエビータには悲劇が待ち構えている。2巻の頃から仕込まれた罠。あの事件も所詮は、この仕掛けを隠すための派手な演劇に過ぎなかったというわけか。まったくどこまでもタチが悪い。

公爵家の暗部に関わる事件だけに、関係者同士の愛憎も浮かび上がってくる。クララの妹エビータに対する思い、ベラの元部下アマデオに対する思いは複雑だ。闇に生きる女にとって、愛と憎しみはとても近しい。対象への執着という点では同一だ。対義語は無関心。彼女たちにとって無関心な人間の命など、数十数百集まろうと塵にもひとしい。そして執着する相手は、念入りに慎重に騙すのだ。この女たちは人を愛するにも憎むにも、そういうやり方しか知らないのだから。

アマデオとエビータ。腹黒い連中ばかりがひしめく国で、人を疑う心を持たない、純朴すぎる二人が長生きできるはずが無い。ベラがそう感じた通りだろう。

悪党達の騙し合いはこれからも続く。混沌の王国ファンドリア。その国では「いつもだれかがだれかを騙していて、いろんな陰謀が企てられているの。それなのに、だれもが自分だけは騙されていないと思っていたりする」。


参考:美しいファンタジーの皮をかぶった悪漢小説 『ダークエルフの口づけ』

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