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姫変態と変態姫 『修道女エミリー 鉄球姫エミリー第二幕』
修道女エミリー 鉄球姫エミリー第二幕(八薙玉造)

1巻で終わるタマじゃねーよな、やっぱり。
あの悪口雑言、鉄球王女エミリーが帰ってきた。
病弱な弟王ガスパールと文武に長けた王女エミリー。
国が国王派と王女派に割れることを恐れたノーフォーク公爵の陰謀により、エミリーは自分の城を襲撃され、家臣を失った。ただ一人生き残った侍従のセリーナを連れて修道院に入った彼女は、王位継承権を放棄した。国が割れる怖れは消え、平和が訪れたかに見えた。
しかし新しい陰謀が動き出していた。
2巻ではもう一人の主人公が登場する。グレン・ジョゼフ・ノーフォーク。エミリーを殺そうとしたノーフォーク公爵の三男であり、護衛騎士になるべく修練を続けている熱い少年である。
素直で、感情が表に出やすいグレンは、父や兄達のように政治には向かない。ならば、武で家を助けよう。けれどもグレンの体格は小さく、豪傑になって勇名をとどろかすような力は無かった。絶望した少年に光を与えたのは一人の老騎士だった。
『盾』のマティアス。かつての内乱で、数百の兵を一人で討った生ける伝説。鉄球姫に忠誠を誓った、騎士の中の騎士。そしてグレンは護衛騎士をめざす。いつかきっと、自分も姫を守ると誓って。
……………………まあ、憧れの気持ちが少々行き過ぎた変態騎士ではあるが。
対する姫も変態ユニークな人物だ。なにしろ、グレンに対する第一声が「お前、小さいな。正直、別の部分も小さいのだと、妾は予想したぞ」である。
憧れを一撃で粉砕されたグレン君には哀れみを禁じえない。
グレンは自分の父がエミリー殺害を企んでいることを知らない。想像したことさえ無い。まっすぐ過ぎる。陰謀家からすれば、彼はただの阿呆なのかもしれない。確かにシュールな光景だ。家臣がほぼ皆殺しにされた襲撃事件。その元凶の息子がのこのこやってきて、「あなたを守り抜く」と宣言するのだ。タチの悪いジョークと言うほかあるまい。
グレンは確かに阿呆だろう。しかし騎士というのは所詮、阿呆な生き物である。国を左右する大貴族の考える事などわからない。けれどもたかが策士風情に、騎士を計れるはずもなし。
親の企みを子は知らず、子の力を親は知らず。
どれだけ復讐してもしたりない公爵の息子を前にして、鉄球姫は何を思うのか。
憧れをこっぱみじんに打ち砕かたグレンは、父親の真実を知ってどうするのか。
二人の伝説はここから始まる。
関連
貴様も、貴様も、貴様も、頭蓋を砕かれろ! 王道の罵倒、卑猥の姫様 『鉄球姫エミリー』

1巻で終わるタマじゃねーよな、やっぱり。
あの悪口雑言、鉄球王女エミリーが帰ってきた。
病弱な弟王ガスパールと文武に長けた王女エミリー。
国が国王派と王女派に割れることを恐れたノーフォーク公爵の陰謀により、エミリーは自分の城を襲撃され、家臣を失った。ただ一人生き残った侍従のセリーナを連れて修道院に入った彼女は、王位継承権を放棄した。国が割れる怖れは消え、平和が訪れたかに見えた。
しかし新しい陰謀が動き出していた。
2巻ではもう一人の主人公が登場する。グレン・ジョゼフ・ノーフォーク。エミリーを殺そうとしたノーフォーク公爵の三男であり、護衛騎士になるべく修練を続けている熱い少年である。
素直で、感情が表に出やすいグレンは、父や兄達のように政治には向かない。ならば、武で家を助けよう。けれどもグレンの体格は小さく、豪傑になって勇名をとどろかすような力は無かった。絶望した少年に光を与えたのは一人の老騎士だった。
『盾』のマティアス。かつての内乱で、数百の兵を一人で討った生ける伝説。鉄球姫に忠誠を誓った、騎士の中の騎士。そしてグレンは護衛騎士をめざす。いつかきっと、自分も姫を守ると誓って。
「何を言うんですか、兄上! これは妄想じゃないし、いつ何時でもしてます! 俺には見えるんだ。師が語られた、エミリー様の姿が! それは白銀の大鳥の如く!」…………。
「その妄想を押しつけたせいで、妹のアンジェリカ様が酷くかわいそうなめにあっていること、僕は知ってるんだがな。グレン」
「何を言ってる。ノーフォーク家に生まれた妹に、然るべき教育を、上品かつ凛として、高貴な眼差しで俺を貫くかのような……俺を射殺すかのような! そんな姫君に育つように。言うなれば姫教育を施しただけだ。あんなに凛々しくて強く麗しい姫に育って、アンジェリカも幸せだろう」
「弟よ……。そのおかげでアンジェリカが健やかに育っていることには礼を言いたい。でもね、やはり限度はあるんじゃないのかい?」
パーシーの顔が引きつる。
「いえ。これは然るべき教育。すなわち、姫教育です。もう、ラゲーネン全土に施行するしかないんじゃないですか。姫教育令とか」
……………………まあ、憧れの気持ちが少々行き過ぎた
対する姫も
憧れを一撃で粉砕されたグレン君には哀れみを禁じえない。
グレンは自分の父がエミリー殺害を企んでいることを知らない。想像したことさえ無い。まっすぐ過ぎる。陰謀家からすれば、彼はただの阿呆なのかもしれない。確かにシュールな光景だ。家臣がほぼ皆殺しにされた襲撃事件。その元凶の息子がのこのこやってきて、「あなたを守り抜く」と宣言するのだ。タチの悪いジョークと言うほかあるまい。
グレンは確かに阿呆だろう。しかし騎士というのは所詮、阿呆な生き物である。国を左右する大貴族の考える事などわからない。けれどもたかが策士風情に、騎士を計れるはずもなし。
親の企みを子は知らず、子の力を親は知らず。
どれだけ復讐してもしたりない公爵の息子を前にして、鉄球姫は何を思うのか。
憧れをこっぱみじんに打ち砕かたグレンは、父親の真実を知ってどうするのか。
二人の伝説はここから始まる。
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