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意地っ張りで、とんでもなく不器用で、ひねくれていて、孤独で、諦めが悪い。 『空の境界(中)』

空の境界(中)奈須きのこ

奈須きのこの第1作、『空の境界』の中巻。
この巻に収録されているのは、式が2年間の昏睡状態からめざめた直後のエピソード『伽藍の洞』、そして荒耶宗蓮と対峙する『矛盾螺旋』だ。

アラヤは第1話と第3話の事件に裏で関わっていた人物であり、黒幕といえる存在。奈須きのこワールドにおける「魔術師」らしい魔術師で、『月姫』のネロ・カオスやロア、『Fate』の言峰のような魔術師達の原型である。魔術師は根源の渦に到達するため、血を重ね、研究を子孫に残し、渦に到達できる子孫を作り上げていく。

奈須きのこの描く魔術師は、小物を除けば、善悪を超越している人間が多い。この世界に背を向けて混沌の渦に至ろうとする連中であり、普通の理には従わない。人としては完全に道を踏み外してる。しかし憎めないヤツらが非常に多い。何故なら、その悪あがきが本物だからだ。意地っ張りで、とんでもなく不器用で、ひねくれていて、孤独で、諦めが悪い。
「ヘンな奴らだな。無理ってわかってるのにどうして続けるんだ、お前達は」
「そうだな。魔術師を名乗る連中は大半が”不可能”なんて混沌衝動をもって生まれたか、あるいは諦めの悪い莫迦ばっかりなんだろう」

奈須きのこの描く人物像で、もう1つ特徴的なのは「孤独」である。魔術師はもちろん、両義式やその他の人物も、孤独を抱えている。外因的なものではなく、自ら他人を拒絶している。そう生きざるを得ないのか、あるいは、それ以外の生き方を信じられないのか。

奈須きのこの全作品で、その葛藤が最も強く具現化されているのがこの作品だ。
主人公の両儀式は、式と織という2つの異なる人格をあわせもっていた。陰と陽から成る太極。式と織は2人で完結していた。そう、完璧な世界ではあったのだ。ある意味、幸せ(?)ではあったのかもしれない。黒桐幹也が彼女に近づくまでは。

黒桐幹也の式への気持ち、式の幹也への気持ちは決して間違いではない。
しかし幹也の接近は、たしかに式を追い詰め、彼女の完結した世界を破壊してしまう。では最初から2人は近づかない方が良かったのか。どちらとも言えない。正解は無い。もしあるとすれば、本人達の気持ちだけだ。作者のまなざしは透徹である(冷酷ではない)。


関連
アルファにしてオメガ 『空の境界(上)』

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コメント

ちょうど最近読み終えたんですが成るほど
確かにキャラクター・世界観・設定といい
「月姫」や「Fate」の原型ともいえる部分が多々ありました。

奈須きのこの小説作品は初めて読んだんですが
ストーリー構成がトリッキーだったので若干混乱するところさえ除けば
後は普通に楽しめましたね、「DDD」も読んでみようかと思います。

>Ni.O さん
『月姫』との関連はやはり深いですよね。

> ストーリー構成がトリッキーだったので
なにしろ、同人版だと、各話を時系列にならべた年表がついていたぐらいです。
上巻・第1話にしても、劇中の時間の飛ばし方がわかりにくいですし。

『DDD』もそうなのですが、奈須きのこは時系列を入れ替えるのを好みますね。
ノベルゲームのシナリオとは違った特徴で、新本格の影響を受けているのか、あるいは、ゲームではないけれども何らかの「仕掛け」を入れずにはおれないサービス精神の表れなのか。

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