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相手を「伝わる状態」にするのが肝要 『技術の伝え方』

最近、ゲーム開発者のブログの中で、マネージメントや教育についての論考が増えてきています。というのは、国内のゲーム市場が再び拡大に転じて、ゲーム会社の収益が拡大しているからです。

好景気になれば、若い人間にチャンスを与えて、チャレンジングな試みをおこなう余裕ができます(逆に、不景気な時代には、経営がどうしても保守的になるので、若い人間にチャンスを与えるのが難しいのです)。

事実「キーマンが語るゲームの今!」で、スクウェアエニックスの和田社長も、コーエーの小松社長も、2人とも若手の育成、チャンスの拡大、開発の幅を広げることを方針として掲げています。
さて、それに関連して、今日は『技術の伝え方』(畑村洋太郎)の書評を書きます。

技術の伝え方(畑村洋太郎)

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失敗学のすすめ

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■どういう人にオススメか?
失敗学の畑村洋太郎が書いた、組織における技術の継承のしかたの本です。ゲーム会社に限ったことではありませんが、技術やノウハウの継承が大きな課題になりつつあります。文書化できていること、文書化しにくいこと、そもそも文書化できないこと、色々ありますが、技術を受け継いでいくのは難しい。

会社の中である程度年季を積めば、否が応でも先輩になり後輩を指導していくことになるし、中堅になれば具体的にプロジェクトを運営することになるし、さらにマネージャーの階段を上っていくなら多くの人間の成長を促す立場になります。

そういう事を意識し始めたお年頃の中堅社員から、マネージャーにまで広くオススメできる内容です。あとがきを含めて189ページとかなり薄いため、本を読むのが苦手な人でも大丈夫。厚くないとありがたみが感じられないという人は、まずこの本でエッセンスを読み取ってから、関連書籍に手を伸ばすのもいいでしょう。

■伝える方法ではなく、伝わる状態を
無論、本一冊読んだだけで、知識の継承がうまくいくわけではありません。そもそもこの本は伝える側の安易な「伝えたつもり」を注意しているのですから。
技術というのは本来「伝える」ものではなく「伝わる」ものなのです。結果として相手の頭の中に伝えたい内容を出来させないと意味がないし、そうでなくては伝えたことにはなりません。この時に伝える側が最も力を注ぐべきことは、伝える側の立場で考えた「伝える方法」を充実させることではありません。本当に大切なのは、伝える相手の立場で考えた「伝わる状態」をいかにつくるかなのです。
「伝わる状態」の第一歩は、相手が受け入れる素地を作ることです。それはボク自身の経験(伝えられる側としても、伝える側としても)から言っても納得できます。

人間、最初からあーだこーだ言ったところで、本当にはなかなか身につきません。特に、大人になってまでゲームを作ろうなんて人間は、鼻っ柱もそれなりに強いものです。見込みのある人間ほど、上司や先輩に対して内心「俺はこいつより上手くやれる」と思っているものです。

まずやらせてみて、それで壁にぶつかって悩んだり、失敗して脳みそが反省モードに切り替わった時に口をはさむのが一番効果的です。人間、失敗を自覚した瞬間が一番素直で、最も成長する時です。自分の方から伝えたいと押しつけても、なかなか受けつけてもらえませんから、相手の方から知りたいとやってくる状態にするんですね。

■まかせるガマン強さ
せっかちな性格のボクが日頃から自戒しなければならないのは、結果の評価ですね。口を挟みすぎるのは良くありません。まぁ近頃は、ちょっとはガマン強くなった気がしますが……なかなか難しいところです。

放置しすぎて、大怪我してもらっても困るので、つくづく見極めが大切です。また、はずしてはいけない所と単に自分の好みの所は冷静に分けて考える必要があります。一番難しいのは、その中間のグレーの部分です。とりあえず、自分のクローンを量産してもしょうがない、という意識を、頭の片隅に置いておくべきでしょう。

あくまで個人的な経験にすぎませんが、自分の得意/不得意をしっかり把握して、足りない所を補うように仕事を振った方がうまくいくように思います。自分ではできない事をやれる、思いつかない発想ができるのが他人の個性です。「この人は俺には絶対できないことをやれるんだな」と思っていると、許容しやすくなります。少なくとも、許容しやすくなる気がしますね。

(参考:あるプロジェクトマネージャーの視点「第23回 最近、あなたは職場で人を褒めましたか?」
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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

コメント

ゲームを作ってる人間じゃないんでその辺の感じはわかんないですけど
今までの経験上から言えば
どちらかというと芝村論の方が受け入れやすいかなぁ
とか思いました。

>組織戦信奉者を作るいい方法がある。
>それは優秀で劇的な上の仕事のやり方を実際に見せることである。
>極めて優秀な指揮官の手元で、数日劇的な仕事を見学させれば、
>(そして暇つぶしにお前ならどうすると? と指揮官に尋ねられれば)
>その人物は十中八九、熱心な組織戦信奉者になる。
>劇的な効能を最初に見せることが重要だ。
電撃オンラインのコラムより

私の周りの話ですから統計とかあるわけじゃないんですけど
どうも最近、失敗を受け入れない人が多くて…

 「やってみせて いって聞かせて やらせてみて ほめてやらねば 人は動かず」(山本五十六)のうち、「やってみせて」をまずは重視するという考え方ですね。ある素晴らしい方法論を広めるときには、成功例を示すのは正しいやり方だと思いますよ。

ただ、本人が自覚的かつ継続的に成長していく上では、反省能力が重要になりますから、結局は「やらせてみて」が肝要になると思います。そうでなければ、マニュアルを実行する人間、上司のコピー人間しか量産できなくなってしまいます。短期的にはそれでよくても、長期的にはマズいと思って、このような本を紹介したりしています。

失敗を受け入れないというのは、本人が責任感をもって仕事できていたのか? という点が重要じゃないかと思います。また個人的な印象としては、若いうちの方が失敗を受け入れやすいと思います。表面的には、プライドが高そうに見えても、年季が浅いぶん積み上げた自負が低いためです。なまじっか年季が長い人間のほうが、根本的な部分での反省には至りにくいものかな、と。

また、「やらせてみて」が十分でない場合、つまり十分な自由度が与えられていない場合には、失敗してもそれが自分の責任ではない、と考えるのは当然の心理です。上司の言うことを聞いているつもりなのに、それで失敗して、あげく怒られてしまうのでは、不満や理不尽な気持ちを抱きこそすれ、反省には至らないでしょう。

「失敗を受け入れない」のではなく、「失敗と思っていない」あるいは「自分の責任だと思っていない」。とするならば、まず自分の責任だと自覚させる、それはただ言葉で責任を説いても意味が無く、実際にある程度の裁量をまかせて、はじめて自覚されるものだと思います。

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