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役者はそろった 『鋼殻のレギオス 7 ホワイト・オペラ』

鋼殻のレギオス 7 ホワイト・オペラ雨木シュウスケ

汚染物質が大地を覆い尽くし、人類文明が衰退に入った時代。
人間は自立型移動都市に居住し、来襲する汚染獣の脅威に怯えながらも、細々と文明を維持していた。天剣と呼ばれる12の天才武芸者の1人だったレイフォンが、故郷の都市グレンダンを追放され、学園都市ツェルニに入学したところから物語は始まる。

『レギオス』シリーズの特異な点は、レイフォンの圧倒的な強さにある。武闘都市の頂点にいた彼にとって、アマチュアの学生達はおよそ比較するまでも無い。そもそも学生達はしょせん人の枠内にある。天剣授受者という人外の域に達した存在とは比べようもない。これが少年漫画なら、何事もレイフォンの一騎当千の活躍で終わってしまう。

しかし無数の人の集まった社会にあって、突出した存在は必ずしも益をもたらさない。天才は規格外であり、人外や化物の域であるが、そう思われてはならない。凡人だけで生き残れるほどこの時代の地球は甘くないが、規格外だけで生きることもまた不可能なのだ。

規格外の孤独を描くという点では『薔薇のマリア』シリーズとも被りそうな気がするが、実の所そういう路線には進んでいない。レイフォンはすでに1度人生を失敗しているからだ。かつての人生を後悔し、武芸者以外の人生を歩もうとする。そのための学園都市だった。

だがレイフォンのような異能を放っておいてくれるほど、余裕のある都市はどこにも無い。本人の意思とは関わりなく、戦いの場に連れ出されていく。小隊の隊長であるニーナ・アントークのひたむきな姿勢に突き動かされ、少しずつ、レイフォンは人生をやり直していく。

同じく天才肌で、自分の才能を嫌っていた念威操者フェリ・ロスもレイフォンの様子に感化されて、才能を出し惜しみせずに小隊に貢献するようになっていく。表情の乏しい彼女が二人きりの時にだけ、徐々に感情表現を見せ始める変化は、多くの読者の心を虜にした。この巻の表紙など、『レギオス』ファンの過半数が狂喜したのではないか。

物語は第二部に入って、レイフォンの故郷のグレンダンも絡み始めた。廃貴族といわれる、移動都市の中枢を司る精霊をめぐって、複数の勢力が動き始めている。そしてグレンダンに残ったレイフォンの幼なじみリーリンが預かり物を届けに、学園都市ツェルニを訪れる。

前巻の終わりでツェルニの目前までやってきて、レイフォンと再会するのがこの巻の終わりなのだから、まったく引き伸ばしが過ぎる。しかしようやく役者が揃った。天剣授受者の1人サヴァリスも学園都市に潜伏して、レイフォンと対等に戦える相手がやっと現れた。

学園都市という「温室」が良かれ悪しかれ、揺らぎ出しているのは間違いない。再び立ち上がるのを待つ優しい時間は終わりを告げたのだろう。
「どうしてあなたは他人に心配ばっかりさせるの! どうしてそんな風に我慢ばっかりするの! 直ってない。全然直ってない! そうやって、何でもかんでも抱え込んで、誰が幸せになったのか、言ってみなさい!」
もう1つの焦点は、レイフォンを取り巻く女性達の争奪戦である。
幼なじみで姉弟のように育ったリーリン・マーフェス。小隊長で勝ち気、彼を叱咤するニーナ・アントーク。自分の才能を毛嫌いしているクールな妹キャラ、フェリ・ロス。地味だけど、一生懸命尽くしますのメイシェン・トリンデン。次巻以降の彼女達の駆け引きも、にやにや楽しみたい。

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最強の天才が人生を再開する物語 『鋼殻のレギオス』

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