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よく読み終わりました。頭を撫でてください 『ムシウタ 00.夢の始まり』

ムシウタ 00.夢の始まり岩井恭平

本編開始より前のエピソードを描いた00がついに登場。
”かっこう”の初めての出撃任務は、特環の局員10数名をあっさり全滅させた虫憑き、”ふゆほたる”の捕獲だった。また時を同じくして、特環の虫憑きたちによるクーデター計画が実行に移される。虫憑きへの対策が不十分だった当時の特環に、彼らを止める術はほとんど無く、唯一動ける戦力は、初めて戦う”かっこう”のみ。

ふゆほたるの捕獲とクーデターの阻止。彼が悪魔として恐れられるようになったあの事件がついに本で読める。それだけで読み逃せないが、書き下ろしの「夢の黄昏」も貴重。特環と対立する組織”むしばね”のリーダー、レイディー・バードが虫憑きになったエピソードであり、これまで他者の視点でのみ書かれてきた立花利菜の内面を初めて描写した中篇。
「全問正解です!」
 やにわに、三ヶ島が大声を上げた。
「うっ――」
 家庭教師にジロリと睨まれ、利菜は頬を引きつらせた。
 とっさに防御態勢をとるが、時すでに遅し。
「よく教えられました! 頭を撫でてください!」
 何歳も年上の女性が、利菜の前に跪いた。椅子に座る利菜のふとももに頭を乗せ、何かを待つようにじっと動かなくなる。
「さあ! 早く!」
「……」
 本当に、なんだかなあ――。
 利菜は顔をしかめながらも、適当に三ヶ島の頭を撫でてやる。
「ああ、利菜さま……貴方は完璧です」
 うっとりと恍惚の表情を浮かべる三ヶ島を見下ろし、嘆息する。
な、なんという百合ワールド!!
確かに岩井恭平は少年より少女たちを描くほうが巧みだが、その技巧がついに(読者の間でひそかに)望まれていた禁断の花園を描き出すのか……!
作者本人が同人誌を書いてどうするーーーー!!






という展開なら、それはそれでありだったけど、残念ながら違う。
『ムシウタ』ワールド最強のカリスマ、立花利菜の恐るべき魅力の一端を描写した部分を引用しただけである。

彼女の特質は、人に頼られることだ。小学生の時でさえ、同級生はおろか、教師がとても子供に話せないような生々しい相談を持ちかけてくる。将来的には、国を動かすクラスの財界人まで、彼女の前にひざを付くのである。生まれた時代が時代なら、傾国の美女になっていたかもしれない。

しかし人から頼られ、人のために居場所を作る人生をいきる彼女はいったい誰に頼ったらいいのか? 彼女の居場所は誰が作ってくれるのか?
……誰もいない。

運命に導かれて出会う、同じ夢を抱いた3人、かっこう、ふゆほたる、レイディー・バードのうち、彼女だけが夢を見失ったのも、無理はない。彼女の笑いは、胸の痛みを押し殺したものだから。

過去編でも、外伝でも、いやいや同人誌やSSでも構わない。
せめて彼女が幸せで笑えますように。

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