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ためらいなく生きてゆけるだけの、生きてゆくのに値する何かになりたい。 『薔薇のマリア Ver3 君在りし日の夢はつかの間に』

薔薇のマリア Ver3 君在りし日の夢はつかの間に十文字 青

マリア(女みたいな男の子)の恋人を自称する我らが変態王子様、アジアンをメインにした外伝作品。
アジアンの仲間たちに焦点が当たり、本編とは微妙に異なるアジアンの姿を浮き彫りにする。クラン<昼飯時>が結成された時のエピソードを書いた「切情編」、初期メンバーが顔を合わせる「事情編」、昼飯時の女性メンバーによるひと騒動「恋情編」に加えて、「余情編」と「純情編」では2巻と3巻の舞台裏、アジアンがSIXの軍門に下るに至った出来事を描いている。

マリアの前ではヘラヘラ笑う、懲りない求愛者のアジアンだが、彼も以前は、自分がそこに生きていていいのか、自信をもてない存在だった。アジアンがマリアに惹かれたのも、精神のあり方にかなり似た部分があったからだろう。
 生きて何ものかになりたいが、それ以上に生きたかった。生きてゆきたい。生きてゆきたいから、ためらいなく生きてゆけるだけの、生きてゆくのに値する何かになりたい。
 この身は所詮、みっともなく生に執着しているだけのあさましいいのちだ。いのちはいのちを喰らう。喰らって生きのびる。いのちはいのちを奪う。蹴倒して生きてゆく。いのちはいのちを壊す。たやすく、呆気なく、やむなく、無造作に、無自覚に、いのちは壊されてゆく。まるでそのためだけに生み出されたものであるかのように。
アジアンが何者なのか、本編では少しずつ、ほんの少しずつ、明かされ始めている。人でないものが人に混じって生きていく。その強烈な孤独感、疎外感。決定的な記述は無いが、おそらくマリアもそうだろう。

広大な地下迷宮の上に建てられた都市エルデン、ウィザードリィ的な舞台に集まった連中は、はみ出し者が多い。凶悪な犯罪者、故郷を追われた者、廃棄された者、快楽殺人者、色魔、……。作者はその1人1人をおろそかにしない。脇役のエピソードを丹念に掘り起こしていく。『Ver1 つぼみのコロナ』では、ただの”アホの子”コロナにも、意外に深い事情があったことが描かれた。

主人公グループ以外の脇役のエピソードは切り捨てていき、新しい展開と新しい人物を登場させていく、少年漫画的な手法とは異なる。少女漫画的ともいえるし、TRPGのリプレイ小説的な手法にも近い。『薔薇のマリア』はそうやって、幾人ものエピソードが積み上がって出来上がっていく。

最後に。
この巻でかっこいいのは何と言っても、借金の取立て屋クラニィ。昼飯時のメンバーが集まるきっかけを作った男であり、超がつく程のお人よし。彼の視点で書かれる「事情編」は、大人の渋みがある。必読。

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