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自分自身と向き合え! 『刀語カタナガタリ 第10話 誠刀・銓(ハカリ)』

刀語カタナガタリ 第10話 誠刀・銓(ハカリ)西尾維新

「はっ」
 笑う。
 奇策士とがめは、力なく笑う。
「そんなこと、言われるまでもなく考えるまでもなく、わかっておったよ――あやつの性格は、わたしがもっとも苦手とした人間にそっくりだ。あの物言い、もったいぶった喋り方。ふざけた態度、砕けた態度、そして――何より、わたしに肉体労働を強いるというこの嫌がらせ。七花、これはな、わたしがもっとも苦手とした男が、いかにもやりそうなことなのだよ」
「はあん」
「飛騨鷹比等」
 とがめは言った。
「あやつの性格は、わたしの父親に瓜二つだ」
鑢七花と奇策士とがめの刀集めの旅も、ついに10本目。
刀のありかはなんと、とがめの生まれ故郷、陸奥の百刑場。先の大乱を率いたとがめの父が、七花の父の鑢六枝に惨殺された土地である。無残に荒れ果てたままの原野で、突如出現した仙人・彼我木輪廻がとがめに1つの課題を命じる。

前巻ではとがめが七花を大いに助けたが、この巻ではいよいよとがめ自身の力で変体刀を獲得することになる。七花の精神的成長が主軸になっていた第2部と違い、第3部に入ってから、物語の焦点は明らかにとがめに移っている。刀集めを始めたのがこの女なら、締めくくるのもこの女。彼女の決断と知恵こそが、この物語の、この歴史の結末を大きく左右するのは間違いない。

とがめは目的のためなら手段を選ばない、何でもするし、へこたれない、諦めない。父親の仇を討ち、幕府を支配する。そのためには、父親を手に掛けた虚刀流の力も借りる。まさしく奇策。

目的のために生きる。
数十、数百、数千の人間の幸福を踏みにじろうとかまわない。とがめはそうやって、大乱の後の時代を生き延びてきた。飛騨鷹比等の娘であると疑われただけで、ただの疑惑だけで殺されても不思議ではない、厳しい幕府の追及を逃れてきた。

しかし生きるために目的があるのではないのか。
そういう問いもあり得る。生きることと目的、どちらが先かはわからない。人によって答えは異なるかもしれない。そういえば、あのヤン・ウェンリーも言っていたなあ、人類には2つの思想がある、人の命よりも大切な物があるという考え方と人の命よりも大切なものはないという考え方だ、と。

それって結局、幸せってなんだ? という問いなのかもしれない。
自分自身の過去と向き合ったとがめが、今なにを思い、旅の終わりでどんな決断をするのか。

願わくば、ハッピーエンドでありますように。
あまり心配はしてないんだけどね。一応、そう祈っておく。

残すは2巻。
毒刀・鍍(メッキ)と炎刀・銃。


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