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リーダー不在、ユーザー存在。

大胆な予想だが……

ひさしぶりにあれれさんが更新されていると思ったら、これはまた、ずいぶん大胆な予想を書かれてますね。
ゲームのマボロシ:Xbox事業に関するうがった憶測

『Halo』シリーズを手がけるBungieがマイクロソフトから独立したのは、そこそこ大きなニュースでした。それ単独なら、欧米のゲーム企業ではよくある独立話にすぎません。
(参考:Life is beautiful:Haloを作ったBungie StudioがMicrosoftからスピンアウトした件について

けれども『プロジェクトゴッサム』の開発元Bizarre Creationsがマイクロソフトからアクティビジョンに買収されたり、『インフィニット アンディスカバリー』がスクウェアエニックスから販売されることになったり、『Shadowrun』の開発会社が閉鎖したり、という事象が続くと……。別の図面が見えてくるのでは? というお話です。
そう、今回のハードウェア問題で、前世代に引き続き今世代でも赤字事業になることがほぼ確定してしまった家庭用ゲーム機事業から、マイクロソフトは手を引きたがっているのではないか、と推測することが可能なのです。さすがに撤退は無いにしても、事業としての規模を小さくしたがっているのではないか、ということです。
XBOX事業の責任者、ピーター・ムーア氏がE3後、突然辞めたこともあり、確かに一定の説得力を感じます。当時はXBOX360の不良騒動についての引責辞任という見方が強かったのですが、もし本当にマイクロソフト中枢がゲーム機事業への関心と情熱を失いつつあるのなら、ムーア氏がXBOX事業を見限ったのかもしれません。


負けた勢力に「撤退論」が出てくるのはいつものこと

しかしゲーム業界では、負けたプラットフォームホルダーに「撤退論」が出てくるのはいつもの出来事です。かつてのセガ(ホントに撤退したけど)、ゲームキューブ時代の任天堂、最近のソニーと、お約束のように「撤退、撤退、撤退」コールが巻き起こります(笑

本当に撤退するケースもありますが、案外持ちこたえる所が多いんですよね。ゲームキューブ時代、任天堂はレアを手放し、シリコンスタジオやファクター5など、欧米の優秀な開発スタジオが任天堂を見限って、離れていきました。当事者でない限り、真意は不明です。が、当時は「シェアを大幅に落とした任天堂ハードに魅力を感じなくなった」「高性能路線から逃げ出した任天堂に失望した」という見方が多かった、と記憶しています。

そういう状勢で、「任天堂は据置ゲーム機を撤退する。往生際が悪く、据置ゲーム機事業を続けても、欧米でのいっそうのシェア低下は避けられない」という予想は、かなり強固なものでした。

もちろん、皆さんご存知のように、今となっては笑い話。日本の開発スタジオを中心にした任天堂ソフト群は、欧米でも快進撃を続けました。Wiiは日本以上に北米で安定して売れており、世界シェアトップに立ったばかりか、北米単独でXBOX360を追い抜かすのも時間の問題になりつつあります。欧米のパブリッシャーは、昨年末のWiiの成功を目の当たりにして、方針転換を決定しました。
まあ撤退論なんてものは、所詮そんなものです。


リーダー不在のゲーム業界

まー、そういう話が出てくるのは、要するにマイクロソフトが次世代を担うリーダーとして役割を果たせていないからでしょう。シェアは伸び悩み、高性能&ネットワークゲームサービス路線も、一部のコアゲーマーを除けば、支持されてるとは言いがたい。

一方でソニーは首位の座から転落し、少なくとも数年は土下座外交を続けて、ソフトメーカー各社の支持率回復に務めなければいけないでしょう。では任天堂はどうかというと、東京ゲームショウ不参加を始めとして、今の時代のリーダーとして振舞いにくい点が目立ちます。そもそもソフトメーカー各社にとっては、もはやゲーム機メーカーをリーダーとして仰ぐ時代ではない、という思いが強い。

政治はさて置き、ゲームデザインについてはどうか?
今年、国内で最も話題になったのは、XBOX360の『アイドルマスター』と『Forza2』です。しかしそれも、マイクロソフトが計画したものではありません。ユーザーが勝手にYouTubeやニコニコ動画で盛り上がったからです。

ゲーム制作者が予想もしてない方向で、範囲で、ユーザーが楽しんでいるのであって、メーカー側が主導したわけではありません。そもそも全ユーザーのうち、XBOX360を買ってる人なんて、ごくわずかです。そして実は、業界そのものリーダー不在よりも、ネットにおけるリーダー不在の方が顕著なんですよね。


リーダー不在、ユーザー存在

最近パッとしないWiiは、メーカー側が積極的にWiiチャンネルなどをアピールしてましたが、どれだけ浸透しているかは疑問です。現状のWiiが「毎日電源を入れる機械」だとは到底思えません。実際、売れているソフトも、週末に家族や友人と遊べるパーティゲームが大半で、毎日遊ぶタイプのゲームではありません。

そもそもゲーム機の世界は、接続率が100%ではないのが当たり前で、いまだに「接続率」を競い合っています。接続率というのは、一般的には累計接続率のこと。つまり1度でもネットにつなげば、それでオッケー。ファームウェアを更新する時だけネットにつないでいるユーザーも、毎日ネットにつないでいるユーザーも一緒にされていて、それでは実態はわかりません。

ネットサービスなら、アクティブなアクセス数や平均利用時間で評価するのが当たり前です。接続率なんて指標が話題になる事自体、ゲーム機が遅れている証拠です。まぁゲーム機からのネット利用時間を仮に集計できたとして、その結果は推して知るべし。かなり悲惨な数字になるのは容易に予想できます。

ゲームソフトに関して膨大なノウハウを持つ任天堂でも、ネットサービスでは主導権を握れていない。おそらく利用時間でいえば、ニコニコ動画の圧勝で、ゲーム機メーカー3社は地にひれ伏すほかないでしょう。
ネットにおいて、サービスを選択するのはユーザーで、メーカーの主導権は明らかに弱い状態です。


本当の焦点は利用時間

しかし少なくとも今後2〜3年で、ゲーム機メーカーや業界が直接脅かされる心配はありません。何故なら、ニコニコ動画とリアルの購買は、ほとんど結びついてないからです。ニコニコでどれだけ『アイマス』が流行っても、売上にはたいして貢献してません。要するに、利用時間とお金が結びついてないんですね。時間をお金に換える変換式が非効率すぎるのです。

では、利用時間は大きな意味を持たないのでしょうか?
いえ、ボクは大きな「資産」だと思います。ただし現時点で「換金」しても、儲かりません。今は利用時間を維持し、拡大し続けた方がよい時期。いずれ、より効率のいい変換式が出てくれば、あっという間にビジネスの構造は覆るでしょう。そんなに遠い話だとは思いません。

表面的には、普及台数や売上高で競争がおこなわれていますが、本当のポイントは「利用時間」にあります。例えば、Wiiの累計普及台数はあんなに多いのに、「Wii失速」と書くと、意外に反響が大きかったのはどうしてか? たぶん、利用時間が少ないという実感をお持ちの人が多かったからでしょう。

いまだに1年前のソフトばかりが売れているWii市場。商品が長く売れるのはいいことですが、一方で最初に買った人たち、半年前に買った人たちは、いま何をしているのでしょう? 半年、1年にわたって、ずっと同じソフトを遊んでいる?

まー、おそらくそうではないわけです。
利用時間という点では、Wiiはまだまだ安泰とは言いかねます。というより、据置ゲーム機はどれも、利用時間では惨敗してる、と思います。今はまだそれでも大丈夫。でも次の時代には、利用時間をお金に換えられる仕組みがどんどん発達していきます。

目先のシェア動向だの、表層的な「撤退論」だのに、心奪われても仕方ないんじゃないかな。

コメント

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ニコニコ市場の売上については、ちょっと勘違いしてました。
アフィリエイトサイトとしてみると、大規模ではありますね。会員数しては340万人のサービスとしては、大きいとは思いませんが。1文丸々削除して修正しておきました。

ニコニコ動画は面白いし、だから平均滞在時間も驚異的に長いわけですが
>時間をお金に換える変換式が非効率すぎる

最大の課題はここなんですよねえ
圧倒的な滞在時間を有しながら現状そこから利益が出ない
ここをどう見るかが人によって真っ二つに分かれるんですよね
解決策がそんなに遠い話でないと見るか、はるか遠くにあると見るか
ちなみに自分はいまのところ前者と後者の中間くらいの立ち位置で見てます
まだ1年も経ってないサービスなのでどんどん変化していくでしょうから、今のうちに結論は出せませんが

任天堂が撤退しなかったのはゲーム専業だから
マイクロソフトがどうするかは知りませんが、家庭用ゲーム事業に執着はそれほどないんじゃないかな。

>keiさん

>ここをどう見るかが人によって真っ二つに分かれるんですよね
>解決策がそんなに遠い話でないと見るか、はるか遠くにあると見るか
ですね。
ただ、解決策がわかってからでは「遅すぎる」わけで、そこが難しい。


>名なしさん
基本的にうちのブログは、何らかの仮名を入れていただくことを前提にしてますので、以後お気をつけください。

>任天堂が撤退しなかったのはゲーム専業だから
ゲーム専業だから、ゲーム事業からは撤退しない。それはその通りでしょうね。
しかしゲーム機事業からは、いつまでも採算が悪ければ、撤退せざるを得ません。ゲーム専業=ゲーム機事業を赤字でも続ける、という図式は成り立ちませんよね。それこそ、セガが証明したと言えますが(ま、アーケード事業がありましたけどね)。

ニコニコ動画については、個人的には正直あまり可能性を感じません。

少なくともここまでのニコニコ動画を見る限り、
「無料で始めてしまったのでエンドユーザーはそれが永遠に無料だと思いこむ」状態で、
収入源を広告に求める、という従来のネットサービスと何ら変わりない構造に見えます。
いくら人がたくさん集まっていても、その利用時間から何か新しいビジネスが
生まれるか、というと、なかなか何とも・・・。

基本的な問題は「無料で始まったものは永遠に無料である」
「形のないものにはなかなかお金を払わない」というユーザーの大きな習性にあって
ニコニコ動画含めて現状のネットサービスは完全にその色に染まって脱却できないでいるように見えます。
これを転換するのはなかなか難しいのではと感じていますし、
少なくとも部外者からは「youtubeと2ちゃんねるが合体した」にしか見えない
ニコニコ動画にそれを転換する力があるようには見えません。

その点携帯コンテンツはうまくやったのかなと。
あれは早い段階から有料前提でやっていたので、課金に抵抗がなく進んだのでは
ないかと考えています。
ネットの音楽配信がなかなか浸透しない一方で、着うたがこれだけの市場になったのが、大きな象徴なのではないかと。

現状で全く想定されていない何か劇的な変化が起きない限り、
少なくとも向こう5年以上は、ゲーム機の主たる脅威は携帯電話であって、
現状のPCのネットサービスがそこに割り込むことは考えがたいと思っています。

まあ「アイマスのアイテム課金に喜々として応じる層」だけを動かして
狭く深いビジネスモデルを構築する、というならできるでしょうが、
それこそ現状の360でもできていることですしね。

>ちょっと気になる さん
> いくら人がたくさん集まっていても、その利用時間から何か新しいビジネスが
>生まれるか、というと、なかなか何とも・・・。

現時点での”堅実な意見”はそうでしょうね。
もっともだからこそ堅実な意見は、革新を後追いすることしかできないのですが。

>少なくとも部外者からは「youtubeと2ちゃんねるが合体した」にしか見えない
まあそのような理解の仕方をされてるのだとしたら、保守的な見解になるのも無理ないですね。ボクには信じがたい見解ですが。

まぁウィキノミクス的な広がりは、これから育っていくものですから、現時点で色々な意見があるのは当然でしょうね。例えば、10年前に、いや5年前であっても、同人ゲームのテレビアニメ化や映画化がおこなわれるなんて、言っても信じてもらえなかったわけで。世の中の変化は、つねに想像を裏切るものです。

ニコニコは自分の感覚だと手軽で盛り上がりがロストしない実況版って感じですかね。
もちろん単純に日本最大の動画サイトですし、楽しい事が好きな奴らが繋がってるって感じがスゴイします。
1つのサイトにそれだけのパワーがあるのはやっぱりすごい事なんでしょうかねー。

>ニコニコ動画は面白いし、だから平均滞在時間も驚異的に長いわけですが
>利用時間という点では、Wiiはまだまだ安泰とは言いかねます。
>据置ゲーム機はどれも、利用>時間では惨敗してると思います
ゲーム関係者のアイディアで、ニコニコ動画のような「仮想擬似共有空間」は作れないんですか?

2004年の国民の利用実態調査、国民一人当たりの平均利用時間
テレビ:3時間31分
新聞 :33分
ネット:37分
ビデオ:6分で
ゲームはビデオよりもっと利用時間が少ないだろうという結果だったはず
まず分かるのは、ネット時代の現状においてもいまだ圧倒的なテレビの影響力(ただネットも動画時代にはいる前のデータ)

次に分かるのは
「テキスト媒体」の利用時間は新聞や雑誌、ネットなどわりと分散していて
「動画媒体」はテレビに一極集中、利用時間ではビデオ、ゲーム、スカパなどは散々な状態
テレビの利用が多い一番の理由として「テレビを見た次の日、周りのみんなと話題が会うから」
傲慢な見方をすれば「現実世界での情報共有」がテレビの強みなんですよね

YouTubeがもう市場を独占してるのに、後発組でしかも会員性閉鎖システムというデメリットを持ちつつも快進撃を続けるニコニコ動画の好調の理由も
「擬似的情報共有」を味わえるという動画の強みに特化してるとこにある気がします。現に分散してたゲームユーザーが共有をもとめてニコニコ動画に集まってるし。
昼間の主婦や学生と深夜の会社員が「あたかも同じ時間を共有しているように感じれるあの空間」、やってて楽しいですもん

WiiやPS3、Xbox360は
「擬似的情報共有空間」ってできないんですか?
Wiiが利用時間を増やしたいなら「平均利用時間3時間31分のテレビ市場」から奪うしかない
でもこれまでのオンラインゲームのような「単なる情報共有空間」ではコアなユーザーしか取り込めない
ニコニコ動画のような「テレビを上回る擬似的情報共有の空間」を作れば、ネットでもいけるというデータもでてきた

自分は頭悪いからぜんぜん思いつかないけど
ゲーム業界の発想力のいい人たちがあつまれば、もしかするとニコニコのようにテレビを越えるシステムも・・

>Lさん
>WiiやPS3、Xbox360は
>「擬似的情報共有空間」ってできないんですか?

各社とも当然狙ってると思いますよ。ただオンラインゲームが結局マイナーの域を脱し得ないように、なかなかブレイクスルーが出てきてないも実情ですね。少し話が広がりますが、過去のエントリーをお読みいただくと、ゲーム制作者の抱える問題点も見えてくるかと。

ゲームのノウハウを使ってどんな新しい種を育てるか。
http://gamenokasabuta.blog86.fc2.com/blog-entry-259.html
> ニコニコ動画は、狭義のコンピュータゲームにとって最大の敵ともいえます。
> 膨大な演算能力の「コンピュータ」に対する膨大なユーザー数が生み出す「人力」。
> あれは明らかにコンピュータでは出来ない世界ですから(ニコニコ動画で出現する
> 単語を学習させて、人口無能的なアプローチで擬似的に表現することは可能かも
> しれませんが、それはオリジナルがあってこそ可能なことで、新しい何かはそこから
> 発生しません)。
>
> 「ニコニコ動画」は、狭義の「コンピュータゲーム」の範囲を超えた、新しいインタラ
> クティブな娯楽ですけれども、ゲームデザイナーに当たる人間が存在しない(ニコニコ
> の開発者がサービスを定義しきっているわけではないですから)という点で、
> コンピュータゲームの制作者にとって驚異的(脅威的)です。

ゲーム会社の多くは、ゲームデザインのノウハウを持ちすぎてるために、2chやニコニコ動画に連敗している、と言えます。

XBOX Live!なんかは秀逸な失敗例で、あれは相互に接続されているコアゲーマーは満足しても、外になかなか広がっていかない。しかも、アイマスやForza2が示したように、ゲームを遊ばずに、XBOX Liveなんかに参加しないで、外から見ているほうがよっぽど、『効率よく楽しめる』という問題点も露呈しました。ゲームの腕前によって楽しめないなどというリスクもありませんからね。

わたしはニコニコは現状のネットにおける2ちゃんみたいな存在になると考えてます。「業界に大きな収益も生まないけど巨大な集合体」みたいな。考えたら2ちゃんねるも日本最大規模の掲示板であり、いい意味でも悪い意味でもネット世論の中心、みたな顔でありながら、実社会における経済効果はたいしたことがない、というか。
 ニコニコが今のような運営方針であるとしたら、巨大な利益(それこそテレビや広告業界に取って代わるような)は生みだしにくい代わりに細々したブームや需要がそこらじゅうで生まれる「同人誌即売会」みたいな雰囲気になるのではないかと。

 ・・・そういえばニコニコとコミケって似てますね(W.お互い他人のキャラや映像を無断で拝借して映像を作るところとか。コミケから次世代の漫画家が生まれるように、ニコニコから次世代の映像を担う人材が生まれる日も近いかな?

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