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貴様も、貴様も、貴様も、頭蓋を砕かれろ! 王道の罵倒、卑猥の姫様 『鉄球姫エミリー』

鉄球姫エミリー八薙 玉造

あのスーパーダッシュ小説新人賞の大賞受賞作である。
スーパーダッシュからデビューした作家は、クセが強いが面白い作品を書く人が多い。第6回の大賞受賞作家も、その例外ではなかったようだ。

鉄球姫と聞いて、そういえば、ドリル王女とかいたな。武器+ロリ王女って、萌えキャラの定型だよな、そのお仲間なのね……と安直に萌え思考していたら、いきなりドタマをカチ割られてしまった。
 蹴り砕かれ、踏み潰され、醜くひしゃげた兜の内から大量の液体が溢れ出ていた。腹をやられ、吐血しても、あれだけの血液が溢れ出ることはない。流れ出ているものが、血液だけではないことも、わかっている。綺麗な金髪が彼女自身の血に赤黒く汚れていくのが悲しかった。
 頭蓋を砕かれている。そうでなければ眼前の惨状は起こるはずがない。
そのうえ、卑猥な言葉を投げつけられ、罵詈罵倒が降り注いでくる。たまったものではない。この本の中では実際、少なくとも3人はドタマかち割られている。

表紙の絵は「萌え」を意識しているが、それに騙されてはいけない。萌えなど、火にくべてしまえ! とばかりに微塵も見当たらない。全編にわたってアクションが多く、圧倒的に燃える作品である。マリみてだと思って買ったら、中身はバキでした、というぐらいギャップがある。

拷問や虐殺などの残酷なシーンがあり、激しい戦闘シーンが続く。主人公の鉄球姫エミリーの気性は荒く、卑猥な冗談を言い、面と向かって相手を罵倒し、大甲冑を身にまとって、鉄球を振り回している。とても萌えられる相手ではない。そんな素振りを見せようなら、「この粗チンが!」と息子を叩き潰されるかもしれない。
「まぁ、なんだ。貴様が負けた理由をわかりやすく言うと、つまり……そのあれだ。これは、この気持ちを何と表現したらいいのか、マティアス!」
 喜々とした彼女の言葉にマティアスと呼ばれた老人が頭を下げる。
「はい。ただ一言で示すならば、それは粗チンとでも申しましょうか! いやさ、粗チンとしか言いようがない」
「なるほど。それはよい言葉だ。その意味をお前の思うままに述べよ」
「ははぁ。粗チンとはすなわち、粗末なチンチンの意。つまりは、見るも哀れで貧相なチンチンの略。アルバートのチンチンは粗末なチン……粗末なチンチ……ぶはっ! ぶぁっはっはっはっ! まずい、これは笑いが止まりませんな! 哀れだぞ、若人!」
「全面的に理解した。これは妾も哀れまざるをえないな。よし!! 嘲笑するぞ! 嘲ってくれる! さあ、負け犬を指差してやれ!」

ストーリーラインはさほど複雑ではない。筋書きだけ読めば、ここまで単純でいいんだろうか、と思わざるをえない。だが単純は、単調とは異なる。激闘に次ぐ激闘が続くからだ。格闘漫画に精妙な筋書きが不要とはいわないが、本質はそこには無いのと同じようなものだ。

戦いを描くというのは、自分の責任で人が死ぬということだ。積極的な意味では、敵を殺すということであり、消極的な意味では、味方が死ぬということ。戦いは死に物狂いであり、無様であり、恐ろしく、そして何より愚かなのだ。作者はただ残虐なのではなく、戦うことの重さをしっかり書ききっている。

ゲーム感覚というか、異能者どうしの知恵比べ的なバトルが増えたライトノベルにおいて、正面きってのガチ戦闘を書ける作家は希少といえる。ぜひあなたも、頭蓋をカチ割られろ。

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