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26年間の結晶! 官能小説にこめられた文芸とは? 『官能小説の奥義』

官能小説の奥義永田 守弘

著者の永田守弘氏は「ダカーポ」で創刊以来26年間、「くらいまっくす」という官能小説紹介コラムを執筆している。これまでに読んだ官能小説は1万冊を超えるという。まさに官能小説を語るにふさわしい人物であり、その1つの結晶が『官能小説用語表現辞典』である。

『表現辞典』は先月、予想以上に売れたのだけど、購入をためらっていた人も、手軽な新書なら手を出しやすいのでは? このフォーマットなら、通勤電車の中で読むことさえ可能であり、実際僕は通勤電車の中で読んでいた。

この本で筆者が語っているのは「純官能小説」である。純ってなんだ? 純じゃない官能小説ってあるのか? というと、ある。
官能小説は、エンターテインメント小説のジャンルのひとつであり、時代小説、ミステリーと並んで、小説誌は年に三回くらい特集をする。しかし、そこには官能小説専門の作家たちが登場することは少ない。直木賞受賞作家クラスが、ちょっと書いてみましたという感じの小説が並んでいる。なぜ官能小説のプロに注文がこないのか。
具体例をあげるなら、渡辺淳一の『失楽園』、高橋源一郎の『アダルト』、重松清の『愛妻日記』などだ。文学畑の小説家が、1度は書いてみたいと思い、人間の根源的な欲望である性欲に挑戦してみたいと書いたのが、ただの官能小説である。

しかし純官能小説は違う。
読者の性欲を刺激し、オナニーさせる小説であり、さらに重要なのは、人が心の底に持っている淫心をかきたて、燃え上がらせるための小説である。
なんという実用性。
にもかかわらず、純官能小説は他の小説よりも一段低いものとみなされがちだ。何故かというと、エロを刺激すれば、簡単に人を楽しませられると考えられているから。文芸が無くても、エロければ受けるんだろ、と馬鹿にされてるわけだ。

しかし本当にそうなのだろうか?
官能小説はエロに駄文をくっつけただけのシロモノなのか? 文学のような「文芸」は必要ないのか? そうじゃない。純官能小説には、純官能小説なりの「文芸」があるというのが、筆者の信念であり、主張である。そしておそらく、この本が新書として出版される理由(存在理由)もそこにある。

この本の内容は、きわめてわかりやすい。
  • 官能小説の文体の歴史
  • 性器描写の工夫
  • 性交描写の方法
  • フェティシズムの分類
  • ストーリー展開の技術
  • 官能小説の書き方十か条
『用語表現辞典』の筆者だけに、歴史や分類が見事で、これ1冊で官能小説についてざっと一通り知ることができる。筆者の読んできた、名表現、名シーンがたくさん引用されてるから、純エロ本まではいかずとも、ちょっとした興奮は味わえる。これで720円はハッキリいって安い。なにしろ26年間の凝縮なのだから。『表現辞典』の方もあわせて買ってみてもいいだろう。


蛇足
ただし僕が大好きな官能小説は、この本には1冊も載っていない。この本で紹介されているのは、ファンタジー要素の無い、正統派(?)の官能小説ばかりである。ジュブナイルポルノはまったく触れられていない。

誰か、こういう感じでまとめてくれないものか。しかしここまで徹底している評者は、なかなかいないというのが悔しい現実である。他力本願ではなく、自分でといっても、とても読んでいる本が足りない。せいぜい、羽沢向一、黒井弘騎あたりを肴に小一時間語るのが限界である。orz

この本は「量が質を作る」の良い見本である。
筆者のコラム歴26年の厚みと比べれば、ゲームの歴史の浅さを痛感する。批評の基本となる「収集」と「分類」がほとんど未完成だし、ここまで書き続けている人がほとんどいない。継続こそが力だな、とつくづく思う。


関連
欲望の博覧会にようこそ 『官能小説用語表現辞典』

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情報どうもです。
なるほど。文庫版のほうが情報多いのですか。
文庫版のほうを紹介してなかった理由は単純で、ボクが持ってるのが単行本の方だからです。紹介したのは最近ですが、購入したのはかなり前なんですね。

一応、リンクは貼っておきました。
まあアマゾンが勝手にお薦めしてくれますし、著者名をクリックすると一番上に文庫版が出てきてますね。ちなみにうちのブログの売上をみると、単行本と文庫が50対50ぐらいです。そんなものです。

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