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やっと、会いに来てくれたのね、『文学少女と慟哭の巡礼者』

文学少女と慟哭の巡礼者野村 美月

この巻が書かれるために、この作品は書き続けられていた。そう信じて疑わない傑作。これまで引かれていた伏線の多くが収束し、とある少女がいよいよ舞台の上にあがる。

主人公の心葉は中学3年の春、井上ミウというペンネームでデビューした覆面天才美少女作家。本はまたたく間にベストセラーになり、映画化やドラマ化もされ、とんとん拍子に社会現象になった。若い天才作家は将来を嘱望され、次々と新しい物語を生み出していくはず、

だった。

作家になるのと引き換えに、最愛の少女「美羽」を失った彼は、ショックで自宅に引きこもった。やがて高校に通い始めるが、他人との関わりを避ける消極的な性格になっていた。小説も2度と書かないと決めた。しかし自称「文学少女」天野遠子に出会うことで、少しずつ明るさと強さを取り戻していく。

実際、心葉はずいぶんと成長してきたと思う。
1巻の頃はあんなに泣き虫な少年だったのに。
遠子先輩のためのおやつとして、三題噺を書いてあげる日々。心の友と呼べる相手が見つかり、同級生の怒りんぼの少女とは距離が縮まった。

順調と言っていい毎日。
しかし過去は、心葉に忘却を許さなかった。
友人から一歩近づいた琴吹ななせが突然、入院した。見舞いに行った心葉は、1人の少女と再会する。心葉の過去を支配した彼女、今なお忘れられない彼女。

彼女との別れは人生を破壊するほどの衝撃だった。
ならば、彼女との再会で揺るがないはずがない。だからこそ彼女との対峙は、どん底から立ち上がり、再び歩き出した心葉にとって避けられない出来事なのだ。

彼女の存在がほのめかされて以来、僕はその登場を待ちわびていた。心葉に対する異常な執着は垣間見せられたけど、これまでほとんど謎に包まれていた。彼女がどんな外見で、どんな人柄なのか。髪型も、目の色も、肌も、言葉遣いも、息遣いさえ、想像した。その輪郭に触れたくて、仕方がなかった。おそらくこのシリーズの読者は皆、そういう気持ちだったんじゃないかな。

だから特に触れない。
「ヤンデレ」の一種とも見なせるが、西尾維新の生みだしたヤンデレの系譜とは完全に異なる。自分で自分を追い詰めていく人間の心理を描くのが巧みな野村美月だからこそ、描き得た少女である。

未読の人はぜひ5巻まで、ゆっくり読み進めてほしい。
そして、彼女に会ってやってほしい。彼女はずっと待っているのだ、心葉を、読者を、あなたを。
「やっと、会いに来てくれたのね」
きっとそう言うはずだ。

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