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奈須きのこの新境地!『DDD』 Decoration Disorder Disconnection
DDD(奈須きのこ)
amazon bk1
『月姫』『Fate』のシナリオライター、奈須きのこの最新小説。同人小説『空の境界』は荒削りな魅力がありましたが、今作は経験を積み、より技術が洗練され、読みやすく、とっつきやすくなっています。
■これまでとは違う雰囲気の作品
軽口を叩くような軽妙な文体、ファンタジー設定の少ない世界観、飄々とした主人公、悪魔的なパートナーなど、従来の奈須きのこ作品とかなり雰囲気が異なるため、逆に熱心なファンほど違和感が大きいかもしれません。
過去の作品の主人公はいずれも高校生で、正義感が強く、良くも悪くも青臭い部分がありました。けれども主人公の石杖所在(ありか)は二十歳の青年で、少年漫画めいた熱さはほとんど感じさせません。漆黒の義手義足をつけた、ベッドの上の住人迦遼海江(かいえ)にしても、これまでの主人公のパートナーとはかけ離れた、冷笑的なふるまいの似合う悪魔的な人物です。
奈須きのこの『月姫』は、ギャルゲー的な日常世界と少年漫画的な異能バトルをあわせ持ち、その後のノベルゲームとライトノベルに強い影響を与えました。『DDD』にはそのどちらの要素もなく、まさしく新境地と評する以外ありません。
講談社のファウストに掲載された作品でもあり、講談社ノベルス、いや西尾維新の『戯言』シリーズの影響を感じる部分が散見されます。そういう意味では、講談社ノベルスは読んでるけど、ギャルゲーチックな奈須きのこ作品はどうも肌に合わないなーという人に、オススメです。
『月姫』も『Fate』も『空の境界』も同一の世界観を共有していたのですが、『DDD』はその辺が曖昧です。いつもの奈須きのこワールドではないかもしれません。魔術や吸血鬼、サーヴァント等のファンタジー要素が作中にほとんど出てこないため、オタク的な要素の羅列についていけなかった人にも入りやすいと思います。
■悪魔すなわち人の弱さの物語
感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、アゴニスト異常症患者、俗に言う「悪魔憑き」が蔓延している世界。そこは人の弱さが可視化された世界なのかもしれません。しかしそれは決して、人の弱さに対する優しさを描いた物語ではありません。
この物語がこれから先どのように展開していくかは不透明ですが、まだ序章に過ぎないのは確か。人物が出揃ってきたところで、さあこれからどうなるか。1巻の巻末には年表がつづられていて、発表済みと未発表のエピソードが掲載されています。2巻はComing Soon...との事ですが、本当に早く読みたいものです。軽妙でクール、皮肉と冷笑とささやかな甘さでつづられる、人間の弱さと悪魔の物語を。
amazon bk1『月姫』『Fate』のシナリオライター、奈須きのこの最新小説。同人小説『空の境界』は荒削りな魅力がありましたが、今作は経験を積み、より技術が洗練され、読みやすく、とっつきやすくなっています。
■これまでとは違う雰囲気の作品
軽口を叩くような軽妙な文体、ファンタジー設定の少ない世界観、飄々とした主人公、悪魔的なパートナーなど、従来の奈須きのこ作品とかなり雰囲気が異なるため、逆に熱心なファンほど違和感が大きいかもしれません。
過去の作品の主人公はいずれも高校生で、正義感が強く、良くも悪くも青臭い部分がありました。けれども主人公の石杖所在(ありか)は二十歳の青年で、少年漫画めいた熱さはほとんど感じさせません。漆黒の義手義足をつけた、ベッドの上の住人迦遼海江(かいえ)にしても、これまでの主人公のパートナーとはかけ離れた、冷笑的なふるまいの似合う悪魔的な人物です。
奈須きのこの『月姫』は、ギャルゲー的な日常世界と少年漫画的な異能バトルをあわせ持ち、その後のノベルゲームとライトノベルに強い影響を与えました。『DDD』にはそのどちらの要素もなく、まさしく新境地と評する以外ありません。
講談社のファウストに掲載された作品でもあり、講談社ノベルス、いや西尾維新の『戯言』シリーズの影響を感じる部分が散見されます。そういう意味では、講談社ノベルスは読んでるけど、ギャルゲーチックな奈須きのこ作品はどうも肌に合わないなーという人に、オススメです。
『月姫』も『Fate』も『空の境界』も同一の世界観を共有していたのですが、『DDD』はその辺が曖昧です。いつもの奈須きのこワールドではないかもしれません。魔術や吸血鬼、サーヴァント等のファンタジー要素が作中にほとんど出てこないため、オタク的な要素の羅列についていけなかった人にも入りやすいと思います。
■悪魔すなわち人の弱さの物語
感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、アゴニスト異常症患者、俗に言う「悪魔憑き」が蔓延している世界。そこは人の弱さが可視化された世界なのかもしれません。しかしそれは決して、人の弱さに対する優しさを描いた物語ではありません。
「俺が訊いてるのは、どうして悪魔に憑かれるかってコト」『DDD』は過去の作品と異なり、「悪魔憑き」という異常事態も表面的には科学的な説明がなされています。魔術の一言で片付けられたりしないのです。あくまで精神病の一種として説明され、理解され、処理されていく、どこまでも科学的な説明が付与されていきます。まさしく非常に「現実的な」世界です。人の弱ささえ、そのように語られるのが現代なのですから。
「なにそれ。つまんない。言うまでもないじゃん、本物だろうが偽物だろうが、悪魔がとり憑く人間は決まってるじゃない。連中、昔っから心の弱い人間が大好きなんだから」
「悪魔という概念は弱さの全肯定でね。弱さを温床にするんだから、全力でその弱さを育てあげる。見失っていただけの社会性を、完全に失わせてしまうんだよ。陳腐な例で言えば、恋人がいなくなったら生きていけない、なんて人がいる。これは訪れる悲観に対する予防線にすぎないんだけど、悪魔憑きの場合は本当に自殺してしまう。悲しいから死にたい、けど死ぬのは怖い。それがまっとうな人間のバランスだ。けど、彼らの場合は違う。”悲しいのはイヤだから死ぬしかない”っていう、未来に対する怖れが皆無なんだ。本当に怖い人間っていうのはね、培ってきた過去も未来もどうでもいい、”現在”しか見えていないっていう人のコト」
この物語がこれから先どのように展開していくかは不透明ですが、まだ序章に過ぎないのは確か。人物が出揃ってきたところで、さあこれからどうなるか。1巻の巻末には年表がつづられていて、発表済みと未発表のエピソードが掲載されています。2巻はComing Soon...との事ですが、本当に早く読みたいものです。軽妙でクール、皮肉と冷笑とささやかな甘さでつづられる、人間の弱さと悪魔の物語を。
タグ:奈須きのこ
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