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伝騎ファンタジーの旗手が送る、世界一熱い野球バトル 『DDD 2』

DDD 2奈須きのこ

奈須きのこといえば、伝騎バトルの旗手。
直死の魔眼をもつ両儀式の戦いを描いた『空の境界』、吸血鬼同士の戦いを描いた『月姫』、魔術師と英霊のバトルロイヤルを描いた『Fate』。いずれも超一級の異能バトルである。この『DDD』シリーズもその例外ではなかったはずだが、この巻で描かれるのは熱血野球バトルそのものだ。

野球部を引退した高校生を中心に広がった賭け野球SVS(ピッチャーとバッターの一騎打ち)。主人公の石杖所在(ありか)は、再会した旧友・霧栖弥一郎に言いくるめられ、SVSに参加する事になる。しかしちょうどその頃、SVSの公式選手が次々と殺される事件が若者たちの間で話題になっていた。

連続殺人犯の名はシンカー。賭け野球のバッターの前に現れ、生死を賭けた勝負を申し込む。打たれたら投手の負け、三振したら打者の負け。シンカーに負ければ、超速球のデッドボールに頭蓋を打ち砕かれてしまう。

2回直角に曲がる変化球を投げるシンカーは無論、常人ではない。アゴニスト異常症感染者、俗称”悪魔憑き”。悪魔憑きの過去を調べるうちに、所在は2人の天才野球選手の運命のすれ違いを知る。

かつて果たされなかった約束。
もはや決して叶わない夢。
実現しなかった天才同士の対決。

最後まで交わることのなかった二人。だが、そうなった時、終わりの終わりに、所在のはじめての悪魔払いが始まる。
 理由の分からない怒りが右腕に魔を宿す。
 殺意がひび割れる全身を強制的に維持させる。
 怒り。怒り。怒り。正体のない怒り。個人に向ける事のない憤怒こそ彼の原動。
 時速百五十キロの変化球は、今度こそ打者のバットをかわしきる。
 外角高めから低めに高速に沈むシンカー。今まで外角低めに滑っていたボールとは比べようのない落差。
 かすかなチップ音。
 それを、あの打者は本当にギリギリではあったが、たしかにバットに掠らせていた。
「オイ――――本気かよスラッガー」
 気を失うほどの怒りと喜び――!
 爆発し炸裂する二つの感情。
 最高だ。あの打者は最高だ。文句なしのスラッガー。今まで何人も切って捨ててきた紛い物とは格が違う。憎らしい。なんて憎らしい。こんなヤツがどうして今まで出てこなかったのか。出てきてくれなかったのか。ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう。そう思うと余計に憎くて罵倒したくなる。ああ、本当になんで――もっと早く、自分がこんなひどい投手に成り下がる前に、やってきてはくれなかったんだ。分からない。どうでもいい。今は怒りと喜びがあるだけだ。最高の球を掠らせた相手への敵意と、その性能に惜しみない賛歌を贈る。

この小説の主人公は、従来の奈須きのこ作品からすれば、かなりの異端である。かなりクールで、飄々としているようでいて、いざという時は、けっこう熱いことをしてみせる。しかしいずれのエピソードでも、まだほとんど主人公らしい事をしていない。活躍するのは彼以外の登場人物ばかり。この巻でも本当の見せ場は、2人の天才野球選手が持っていく。

悪魔憑きどころか、悪魔そのものの海江との友情も、行く末が見えない。いまだ物語は始まってないような気さえする。にもかかわらず、この異様な熱さはなんだ? だが次の巻では、所在を中心に激しいバトルが繰り広げられるのは間違いないだろう。なにしろ、いよいよアレが出てくるのだ。全員死亡(ゲームオーバー)でもおかしくない、結末の見えない展開へと加速していく。


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