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ゲームのノウハウを使ってどんな新しい種を育てるか。

社内ブログでも書いた話なので、こちらでも(より詳しく)書いておきましょう。チラシの裏に書けよってな話ですが。

育てた実を使って、次の種を育てる話

404 Blog Not Found「才能に関して知っておくべき二つのこと」
この中で、割と行けそうな選択肢というのは、はじめのうちは才能を「横にのばす」、すなわち「いろいろ試してみる」のに時間を裂き、その中でものになりそうな種を今度は「縦にのばし」、そこで実った「種」を少しずつ違う土壌で「育てる」というやり方。面白いもので、一度でもある「才能」が「実を結ぶ」と、その実からとれた種をまくとまた違う「才能」が育つ。私自身、自分に利殖の才能があるなんてことは知らなかったが、それは「プログラミング」という「才能」を育てて得た実があったから気がついたこと。
色々やってみるという点でいうと、ボクは今の会社に入ってから、最初の4年間を3Dプログラマーとして、次の1年間をテキストライターとして過ごし、企画に転向してから今年で4年目。どこまでを「実」とするかは人それぞれ基準があるんでしょうが、プログラマーとしての経験値は企画になっても十二分に生きてる実感があります。

このままゲームという畑で才能を育てていくか。あるいは、これまでに育てた「実」を使って、新しい畑で種を育てていくか。なかなか悩ましい。

何故なら、ゲームという畑では、どちらかというと、これから収穫期に入りつつあるからです。組織の中で中堅になってくれば、裁量は増してきます。まぁ未来はわからないけど、そこそこ満足できる所には届くでしょう。

それに、何だかんだ言ってゲーム会社の「売る力」というのはすさまじい。全世界に市場があり、1億を越えるユーザーがいて、無数のショップに商品を置いてもらえる棚があります。ゲームは非常に恵まれたメディアです。成熟した産業は、やはり成熟したなりのメリットがあります。


仕事を楽しむ能力は必要だが、厄介

今一番やりたいことではないとしても、ゲームを作るのは楽しい。楽しくて、結果も返ってくる状態なのだから、いいじゃないか。そうも思います。けどなぁ。5年前に3Dプログラムから離れた時もそうなんだけど、楽しい仕事の誘惑を断ち切らないと、新しい可能性は開けてこない。

「仕事を楽しむ」能力というのは厄介なものです。そのおかげで社運のかかった案件のような泥沼戦地をくぐり抜けてこられたのですが、一方で組織に縛られます。まっ、その辺の葛藤は自分で結論を出せばいいことですが(つか、ほとんど出してるんだけど)。

ま、それと言うまでもなく、ファミコン世代ゆえのゲームへの愛着(未練)も厄介ではありますが。


まだ名前の無い新世界

さて、では何をしたいのかというと、飯の種をそのまま書くわけにはいきませんから、思いっきりボカしますが、要はこちらのコメント欄にあるような話なのです。
ニコニコ動画は、狭義のコンピュータゲームにとって最大の敵ともいえます。膨大な演算能力の「コンピュータ」に対する膨大なユーザー数が生み出す「人力」。あれは明らかにコンピュータでは出来ない世界ですから(ニコニコ動画で出現する単語を学習させて、人口無能的なアプローチで擬似的に表現することは可能かもしれませんが、それはオリジナルがあってこそ可能なことで、新しい何かはそこから発生しません)。

「ニコニコ動画」は、狭義の「コンピュータゲーム」の範囲を超えた、新しいインタラクティブな娯楽ですけれども、ゲームデザイナーに当たる人間が存在しない(ニコニコの開発者がサービスを定義しきっているわけではないですから)という点で、コンピュータゲームの制作者にとって驚異的(脅威的)です。
ゲーム会社のネットサービスがなかなか成功しないのは、コンピュータに人を誉めさせるノウハウと、ネットの「人力」エンターテインメントのノウハウが全然異なるものだからです。例えばWiiチャンネルにも感じることですが、ゲーム屋はついつい「さわってうれしい反応」「プレイヤーを誉める演出」を作りたがります。そこがノウハウの発揮される場所だからです。

でも「人力」エンターテインメントってのは、それを機械じゃなくて、人にやってもらうのですね。同じコンピュータを使うのでも、似て非なる発想なのですよ。ゲーム屋はカオスを恐れて、コントロールしたがり、まぁMMORPGが良い例ですが、適度な状態を長く続けるのが難しいのです。

この新しい娯楽には、ちゃんとした名前も業界もありません。ネット業界の人たちはケータイ系SNSや動画投稿サイトやセカンドライフと呼び、ゲーム業界の人たちはMMORPGとかhomeとかWiiチャンネルとかXBOX Liveと呼んでますが、どれも現時点ではまだ「業界の断片」です。

したがって、ゲームの世界においてEAや任天堂といった企業が抱えこんでいるノウハウのような物も、まだ無いわけです。少なくとも「ゲームデザイン」に相当する概念は無いし、体系化もまったくされてません。漫画でいうところの手塚治虫や石ノ森章太郎も、アニメでいう宮崎駿や押井守も、ゲームでいう堀井雄二も宮本茂も、存在しないのです。

そもそも、そこに新しい娯楽の世界が存在するという事自体、かつてコンピュータゲームが出現して進化したように、急速に何かが生まれ出ようとしてる事自体、まだきちんと認識されてないのかもしれません。

あえて先行している人たちを挙げるなら、「ニコニコ動画」の彼らです。あのサービスを支えている技術が重要なのではなくて、カオス状態の文化を生み出すノウハウ(勘?)が素晴らしい。2chで育てた「種」を新しい畑でみごとに育てました。


ゲームのノウハウを使ってどんな新しい種を育てるか

こちらの記事で書いたように、ゲーム会社にとって「ゲームで稼いだ金があるうちに、次の金脈を掘る」は重要な課題です。あるいは「ゲーム開発のノウハウを利用して、次の市場を作り出す」と言い換えてもいいでしょう。しかしそれは個人にとっても、同じことです。ゲームで得たノウハウを使って次の金鉱を掘りにいけるのですから。

じゃあ、どこからどういう攻め方をしたらいいのか。
例えば、ネット企業か、ゲーム企業か。既存の枠組みを経由していくとすると、その2つが主要プレイヤーです。

ボクは2年ほど前に「ゲームとWeb2.0」について熱心に書いていて、当時そういうスタンスのブログは珍しかったから、興味を抱いたネット業界の人たちからアプローチされたんですよ。で、まぁ幾人かと会って話をしてみたんですね。ごく一部の人と話しただけで判断して申し訳ないけど、当時のボクの印象はこの意見と同じだったんですよ。
ネット系の企業ってあんまり面白くないところが多いんですよ。ゲームとか小説とかって、割と面白いものを作りたいクリエイター達が面白いモノをつくっていくんですけど、ネットってなんかお金を儲けたいネット企業がいて、その人達が上場するための材料を作るじゃないですか。だから、出てくるものが面白くないんですよ。
で、この2年ほどをふり返ると、その判断はまあまあ適切でした。ゲーム業界のアプローチも遅々としたものだけど、堅実な歩みがあったと言えなくもないから。

それが去年の年末時点の認識。
ところが今年に入って、ニコニコ動画が出てきたでしょう。いきなり突っ走って、どんどん未知の領域を開拓していくじゃないですか。こりゃ既存のゲーム会社からのアプローチでは間に合わないな、と。

もう1から作るしかないかという思いがね、日増しに……(笑 それはそれで、面子をそろえたり、お金を調達してきたりと、時間のかかるアプローチなんだけども。急がば回れ、とも言いますしね。この場合はどういう意味になるのやら。
と、グダグダなところで終わります。

コメント

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ご賛同どうもです。
確かにゲーム会社はまだまだ化ける余地はあると思います。経営レベルと開発マネージメントと現場の考えていることがすれ違っている感があって、総合力がまだまだ発揮されつくしてない印象はあります。経営レベルの方針と開発現場の生み出す商品の向いてる方向が合ってる、うまくかみ合ってるのは、任天堂ぐらいじゃないでしょうか。

ドワンゴは元々ネットゲームの会社という指摘はおっしゃるとおりですね。
ニワンゴのように2chと絡む形を取ったことや、他のゲーム会社とはポジションがかなり異なることもあって、エントリーの中では”どちらにも属さない”という位置づけで書きました。

あと、別にそこまでネット企業を悪く思ってはいません。元気な業界だなあと感心してます。
多くのネット企業は娯楽を生み出す風土も文化もほとんど無いと感じてますが、それは役割の違いかと。そもそも開発における人員構成が全然違いますからね。デザイナー(Web業界にもいますが)やサウンド、テキストライター等々、異種の才能が適度な比率で混在しているのがゲーム業界の強みであり、人材の厚さかな、と。そこが多くのゲーム会社でまず第一に「コミュニケーション能力」を求めている理由でもありますね。

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えーっと、メールでお返事しておきました。

気がつくと、このエントリー、ボク以外は匿名ばっかりじゃないですか。
他の人はやり取りが読まないですね。
ぜひ想像していただいて、どきどきしてください(笑

(冗談はさておき、投稿欄の「管理者にだけ表示を許可する」にマークをつけて投稿すると、ボク以外には読めなくなります。また管理者のボクがどうやっても公開することは不可能です)

んー。なかなか考えさせられる記事でした。
諸事情から、(私は例のごとく、関係者ではないので、公開でw)手短にコメントします。
まあ、前回のコメント(
http://gamenokasabuta.blog86.fc2.com/blog-entry-252.html
につけたコメント)では、私なりにDAKINIさんがどう考えているのか知りたかったので、ああいう書き方をさせてもらった部分はあるのですがw

で、いくつか思ったことを。

☆「娯楽としてのネットという視点」

確かに、既存のネットベンチャーにはこの視点が抜けてますね。
あの『はてな』も、面白い物より、役に立とうとする物を作ろうとしているところがくそ真面目だと思いますね。

☆「娯楽のパラダイムシフトについていけない世代」

「オタクor子供達の娯楽の中心が、アニメから、ゲームにシフト」した瞬間というのがありました。アニメ業界の人たち(?)は、まだゲームのことを恨んでいるような感じがするw

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070702/aniken.htm

> 氷川さんはこの原因について、80年代に登場した“ファミコン”がキッカケになっていると分析する。「放送という公共性のあるものを受信しているテレビには、それで楽しむためには“何時何分にテレビの前に座る”必要があった。しかし、ビデオやファミコンの登場でその図式が崩壊した。その証拠に、それから数年後に、夕方の特撮ドラマの戦隊物や、アニメの再放送枠が全滅し、文化の共通性やリサイクル性が崩壊した。

多分、「今回の」パラダイムシフトについていけない世代が、「ネットがゲームをだめにした」というんでしょうねw

☆「課題の多さ」

ニコニコは、2chというコミュニティの母体があったから、うまく行った面はあると思います(その面では、ニフニフ動画という無様な失敗例もありますが)。また、ネットというメディアの特性上、商売も難しい(私の前のコメントにもその辺は匂わしていますが)。少なくとも、初期のゲーム業界のように何でもかんでも売れるというわけではない。

・・・まあ、DAKINIさんが動いたならば、その辺は目算がついたんだな、と判断することにしますよ。
どういう選択をなされるにせよ、楽しみではありますね。野次馬としては。(思ったより長くなってしまった・・・)

>bin3336 さん

>多分、「今回の」パラダイムシフトについていけない世代が、「ネットがゲームをだめにした」というんでしょうねw

ふーむ。ですね。
まぁここ数年の「過剰なゲーム性」の削減によるゲームの遊びやすさの増大、という現象でさえ、「DSやWiiのせいでゲームがだめになった」と考える人はいるようですからね。おそろしい。

ましてや、これからさらに進むであろう、ネットの娯楽の浸透による「いわゆるゲームの破壊」は、どう解釈されていくのか。面白いですね。

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