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まったり人妻SF・最終巻。究極のマイペース小説 『食卓にビールを』
食卓にビールを 6(小林めぐみ)

小林めぐみの人妻SFコメディがついに最終巻。
あんなに人気高いのに終わっちゃうなんて残念でなりませんが、最終巻だってのにそんな雰囲気は微塵もなし。最後までこのシリーズらしい締め方でした。また、ひょいっと戻ってきそうな気さえします。
さて、この本はえらく奇妙なんで、どういったらいいんだろう?
女子高生で小説家、若奥様の「私」が毎度、毎度、奇っ怪な出来事に巻き込まれる、SF的な日常を書いた作品です。文芸部のお泊り合宿の双六大会が、いつのまにか「地球とは銀河の中心を挟んで点対称にある星」に存在する『魔』との戦いの舞台になってしまったり(双六編)、恒星のエネルギーを節約するための小学生の自由な発想が宇宙人の軍隊の興味を強くひいてしまったり(太陽電池編)、宇宙スケールのとんでもない事件に巻き込まれるのですが、この人、まったく動じません。
シュールというか、人を食ってるというか、独特のノリの小説です。けっこうSFネタは深かったりするのも「らしい」ところ。究極のマイペースの前には、どんな大真面目も、悪ふざけも、銀河的陰謀も、スーパーの特売も等価なのですね。
「私」による一人称の文体はお気楽調。どんな大変な事が起きても、「やあ~~~ですな」と軽く受け止めてしまいます。何事につけても好奇心旺盛で、妙に聞き上手。突っ込みも「はて」とか「~~~だなあ」と、軽~く流します。不可解な事態も「うーん」の一言で済ませてしまう。そして最後には、いつも楽しそうに「うひゃひゃ」と笑う。
「私」と旦那(26歳)の会話もすごく楽しい。年齢も違うし、SEで忙しくて帰りは遅いし、休出も多いのに、案外うまくいってるのが不思議。ていうか適度に野放しにしてるのが秘訣でしょうか(笑

小林めぐみの人妻SFコメディがついに最終巻。
あんなに人気高いのに終わっちゃうなんて残念でなりませんが、最終巻だってのにそんな雰囲気は微塵もなし。最後までこのシリーズらしい締め方でした。また、ひょいっと戻ってきそうな気さえします。
さて、この本はえらく奇妙なんで、どういったらいいんだろう?
女子高生で小説家、若奥様の「私」が毎度、毎度、奇っ怪な出来事に巻き込まれる、SF的な日常を書いた作品です。文芸部のお泊り合宿の双六大会が、いつのまにか「地球とは銀河の中心を挟んで点対称にある星」に存在する『魔』との戦いの舞台になってしまったり(双六編)、恒星のエネルギーを節約するための小学生の自由な発想が宇宙人の軍隊の興味を強くひいてしまったり(太陽電池編)、宇宙スケールのとんでもない事件に巻き込まれるのですが、この人、まったく動じません。
シュールというか、人を食ってるというか、独特のノリの小説です。けっこうSFネタは深かったりするのも「らしい」ところ。究極のマイペースの前には、どんな大真面目も、悪ふざけも、銀河的陰謀も、スーパーの特売も等価なのですね。
「私」による一人称の文体はお気楽調。どんな大変な事が起きても、「やあ~~~ですな」と軽く受け止めてしまいます。何事につけても好奇心旺盛で、妙に聞き上手。突っ込みも「はて」とか「~~~だなあ」と、軽~く流します。不可解な事態も「うーん」の一言で済ませてしまう。そして最後には、いつも楽しそうに「うひゃひゃ」と笑う。
「私」と旦那(26歳)の会話もすごく楽しい。年齢も違うし、SEで忙しくて帰りは遅いし、休出も多いのに、案外うまくいってるのが不思議。ていうか適度に野放しにしてるのが秘訣でしょうか(笑
「じゃあこれから本物見にいく? 上野動物園でも行って」
「動物園は臭いからいやだー。ぬいぐるみでいいでーす」
「そんなわがままな。動物ってのは臭うもんなんだよ、人間が檻に閉じこめてるのに身勝手なこと言わないの。第一、俺だってあなただって体臭はあるんだから」
旦那は「めっ」とまなじりを上げて窘める。私は口を尖らせて、
「そんな正論言ってたら、いつまでたっても改善されないと思いまーす。因みに自分の体臭は気づかないし、旦那の体臭は気にならないものでーす」
そう言うと、旦那はなにも反論できなくなってしまった。顔を赤らめ、そっぽ向く。うひゃひゃ、照れてますなっ。
こう言っておけば、旦那の機嫌は直り、ビールもたくさん買ってくれることでしょう。つまみにはアンチョビ入りオリーブがよろしいです。家庭円満、平和がいちばん!
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コメント
>この絶妙な軽さを演出し続けるのは書き手からすれば相当負担でしょう
ですね。
「作家体力」が高い人でもなさげなので、いったん小休止ですかね。
そういえば、「食卓にビールを」が出て来たとき、ネットでも「小林めぐみが復活した!」と喜んでいた人たちもいて、HPの低さを心配しつつ、次の作品を「待ってもらえる」稀有な作家なんだと思います。普通は忘れられますからね。
ですね。
「作家体力」が高い人でもなさげなので、いったん小休止ですかね。
そういえば、「食卓にビールを」が出て来たとき、ネットでも「小林めぐみが復活した!」と喜んでいた人たちもいて、HPの低さを心配しつつ、次の作品を「待ってもらえる」稀有な作家なんだと思います。普通は忘れられますからね。
全六巻の理由
小林めぐみさんのオフィシャルサイトの「食卓にビールを6巻」の解説(previewより見れます)に、最初は全7巻の予定でしたが、連載しているドラゴンマガジン増刊「バトルロイヤル」が休刊したため全6巻となった、と書かれています。
ご参考まで。
ご参考まで。
>nicht-sein さん
情報ありがとうございます。
書き下ろしでいいから続けてほしかったなあという気もしますが、
残念ですね。
情報ありがとうございます。
書き下ろしでいいから続けてほしかったなあという気もしますが、
残念ですね。
でも、技量の高さもあって読む時には気にならないけど
この絶妙な軽さを演出し続けるのは書き手からすれば相当負担でしょう。
使われているネタの多さも半端じゃないですし。
人気云々より先に書き手がまいってしまったのかなと思ってます。
小林めぐみは私の一番好きな作家で、本読みの友人にも安心して薦められる人ですが、実力の割に知名度が低いような気がします。
やっぱり、アニメにも実写にもし難い内容なのが災いしているんでしょうか。