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ちょぉっと真剣に考えてみませんか 『「世界征服」は可能か?』
「世界征服」は可能か?(岡田斗司夫)

大抵の場合、ボクが本を読んだ日と書評を書いた日とブログに掲載した日はズレている。だが今日はホントに今日読んだ本を書こう。新幹線の中で新書を2冊ほど。1冊は『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』で、もう1冊はこの『「世界征服」は可能か?』。
岡田斗司夫の本を買ったのは、実に10年以上ぶりになる。その本は『オタク学入門』。岡田斗司夫が東大でやった「オタク文化論ゼミ」の内容をまとめた本である。当時金は無かったくせに、ついつい授業に出たよしみで買った記憶がある。もう記憶もおぼろげだが、はるばる筑波大学からビデオカメラを持って、まぎれ込んできたツワモノもいたっけか。
当時はゲームに限らず「クリエイター」なんて虚像が一人歩きしていた時代で、いたいけな学生たちが光に群がる蛾のように引き寄せられ……たりはしなかったかもしれないが、少なくともボクがゲーム業界に引き寄せられたのは確かだ。
その翌年から、とある経緯で某ギャルゲーのシナリオをお手伝いする事になったり、まぁ他にも色々な事があり……腐界への第一歩を踏み出したわけだ。してみると、なんというか人生の転機において、岡田斗司夫の本を読んでいることになる。別に来年から世界征服するわけじゃないが(笑
実は今いる会社を辞めようかと真剣に悩んでいる最中なので、本当に「転機」になるかもしれない。本屋でこの本を手に取ったのも、ふと10年前が頭をよぎったからだろうか。気まぐれに理由があるとしたら、そんなところか。(どちらにしろ今関わっている案件が終わってからになるし、本当に辞めたら、ここでも報告するつもりだ。)
*
さて話を戻して「世界征服」である。
やはり文章が上手い。岡田斗司夫といえば、当代きっての戯言遣いの一人だが、その才は10年経った今も健在である。若いオタから嫌われる「年寄りのオタク」を演じるよりも、ずっと似合っている。
この本は、世界征服できるかどうかを読者が岡田斗司夫といっしょにシミュレーションするソフトである。男の子なら誰もが一度は夢見たことがある「世界征服」を大人が大真面目に検討するのは恥ずかしい。けれども現実ではとてもやれない、クソ恥ずかしいことを仮想体験できるのがシミュレーションの醍醐味である。
実際、悪の組織のボスを体験するシミュレーションゲームは、コンシューマーでもエロゲーでも、何本も発売されているが、そのいずれもがこの本の領域に届いてない。コンピュータソフトが紙の本に負けるのは、ちょっと情けない気がするが、仕方ない。
世にある世界征服ゲームが悪の組織のパロディにすぎないのに対し、岡田斗司夫は真剣に世界征服を検討しているのだから。「世界征服」に真剣もなにも無いだろ、と思った人、あなたは遊びを知らない。本気で遊ぶには、真剣に考えなければならないのだ。
岡田斗司夫は、死ね死ね団、夜神月、ピッコロ大魔王、レッドリボン軍、ヨミ様……といった悪の実例を挙げる。まず読者は自分がどんな支配者タイプかを自己診断する。それから世界征服に向けた具体的な手順を1つ1つ、いっしょに検証していく。
組織学としても面白いので、企業の経営者は社員の教育用に購入したらどうだろう? おかしな風評が立つ怖れがあるかもしれないが(笑
最終章において、岡田斗司夫は「悪」とは何かを語り出す。その現在あり得る「悪」の姿は意外である。しかし確かにそれは悪なのだ。この本を読み終えた頃、あなたは善悪について、物の見方が変わっているかもしれない。受け止め方に考え方は色々ある。ただ、まあ、少なくとも読書の時間ぐらい、おもいっきり「悪」を楽しみましょう。

大抵の場合、ボクが本を読んだ日と書評を書いた日とブログに掲載した日はズレている。だが今日はホントに今日読んだ本を書こう。新幹線の中で新書を2冊ほど。1冊は『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』で、もう1冊はこの『「世界征服」は可能か?』。
岡田斗司夫の本を買ったのは、実に10年以上ぶりになる。その本は『オタク学入門』。岡田斗司夫が東大でやった「オタク文化論ゼミ」の内容をまとめた本である。当時金は無かったくせに、ついつい授業に出たよしみで買った記憶がある。もう記憶もおぼろげだが、はるばる筑波大学からビデオカメラを持って、まぎれ込んできたツワモノもいたっけか。
当時はゲームに限らず「クリエイター」なんて虚像が一人歩きしていた時代で、いたいけな学生たちが光に群がる蛾のように引き寄せられ……たりはしなかったかもしれないが、少なくともボクがゲーム業界に引き寄せられたのは確かだ。
その翌年から、とある経緯で某ギャルゲーのシナリオをお手伝いする事になったり、まぁ他にも色々な事があり……腐界への第一歩を踏み出したわけだ。してみると、なんというか人生の転機において、岡田斗司夫の本を読んでいることになる。別に来年から世界征服するわけじゃないが(笑
実は今いる会社を辞めようかと真剣に悩んでいる最中なので、本当に「転機」になるかもしれない。本屋でこの本を手に取ったのも、ふと10年前が頭をよぎったからだろうか。気まぐれに理由があるとしたら、そんなところか。(どちらにしろ今関わっている案件が終わってからになるし、本当に辞めたら、ここでも報告するつもりだ。)
さて話を戻して「世界征服」である。
やはり文章が上手い。岡田斗司夫といえば、当代きっての戯言遣いの一人だが、その才は10年経った今も健在である。若いオタから嫌われる「年寄りのオタク」を演じるよりも、ずっと似合っている。
この本は、世界征服できるかどうかを読者が岡田斗司夫といっしょにシミュレーションするソフトである。男の子なら誰もが一度は夢見たことがある「世界征服」を大人が大真面目に検討するのは恥ずかしい。けれども現実ではとてもやれない、クソ恥ずかしいことを仮想体験できるのがシミュレーションの醍醐味である。
実際、悪の組織のボスを体験するシミュレーションゲームは、コンシューマーでもエロゲーでも、何本も発売されているが、そのいずれもがこの本の領域に届いてない。コンピュータソフトが紙の本に負けるのは、ちょっと情けない気がするが、仕方ない。
世にある世界征服ゲームが悪の組織のパロディにすぎないのに対し、岡田斗司夫は真剣に世界征服を検討しているのだから。「世界征服」に真剣もなにも無いだろ、と思った人、あなたは遊びを知らない。本気で遊ぶには、真剣に考えなければならないのだ。
岡田斗司夫は、死ね死ね団、夜神月、ピッコロ大魔王、レッドリボン軍、ヨミ様……といった悪の実例を挙げる。まず読者は自分がどんな支配者タイプかを自己診断する。それから世界征服に向けた具体的な手順を1つ1つ、いっしょに検証していく。
- 目的の設定
- 人材確保
- 資金調達と設備投資
- 作戦と武装
- 部下の管理
- 世界征服後の諸問題(後継者問題など)
組織学としても面白いので、企業の経営者は社員の教育用に購入したらどうだろう? おかしな風評が立つ怖れがあるかもしれないが(笑
最終章において、岡田斗司夫は「悪」とは何かを語り出す。その現在あり得る「悪」の姿は意外である。しかし確かにそれは悪なのだ。この本を読み終えた頃、あなたは善悪について、物の見方が変わっているかもしれない。受け止め方に考え方は色々ある。ただ、まあ、少なくとも読書の時間ぐらい、おもいっきり「悪」を楽しみましょう。
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