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この1冊で「化けた」作家 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない桜庭一樹

「本の紹介」カテゴリーがついに100エントリー目!!
50回目と同じく、今回も桜庭一樹を取り上げます。

桜庭一樹といえば、第137回直木賞の候補になったことで、話題になってましたね。ていうか選考会は明日ですか。今回は下馬評としては、ベテラン北村薫が受賞すると言われてますが、候補にあがっただけでもビックリです。
芥川、直木賞候補決まる

『赤朽葉家の伝説』は確かに傑作ですが、この大躍進ぶりは『GOSICK』の1巻を書いてた頃からは、誰も想像つかないんじゃないかな。率直にいって、桜庭一樹って、そんなに売れてなかったし、人気も高くない作家だったはず。

経歴は意外と長いし、その分多作ではあるんだけど、逆に言うとどれもパッとしない状態が長く続いていました。クスブリと言うと失礼ですが、ホントに売れてなかったんだよな。
Wikipedia「桜庭一樹」
1993年、DENiMライター新人賞・受賞(『DENiM』は現在廃刊)。 小説家としてデビュー以前は、『From A』等でフリーライターとして活動していた。 当初は山田桜丸名義でゲームノベライズを行っており、その後、第1回ファミ通えんため大賞佳作を桜庭一樹名義で受賞。 しばらくはオリジナルは桜庭一樹名義、ノベライズは山田桜丸名義で行っていたが、現在は桜庭一樹名義に統一されている。
山田桜丸時代は「食いつないでいる」という感じで、ノベライズが悪いとは言わないけど、小説家としてのステージは上がらない仕事でしょう。

それに山田桜丸といえば、『EVE The Lost One』のシナリオライターでもあり、その評価は「わはははははははははははは……俺のEVEをこんなにしやがって、埋める!」という感じ。その他の作品『マーメイドの季節』もひどい評価なんで、ゲームシナリオでは才能を発揮できなかった、と結論づけてもいいでしょう。

じゃあ桜庭一樹としてデビューしてからはどうか、というと……やっぱり当たってなかった。ファミ通えんため大賞から4年、『GOSICK』でやっと日の目を見た感じです。それにしたって、1巻の頃はお世辞にも上手くない。このまま消えてもおかしくない作家でした。

ところが『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を書き上げてから、その評価が一気にうなぎのぼりに。「追い詰められた少女たちの心情を巧みに描き出す」という評判を掲げ、東京創元社から『少女には向かない職業』を出して文学畑に躍り出ました。

そして『赤朽葉家の伝説』。明らかに、作家のステージを1ランク上げるために、編集が書かせた本でしょう。その目論見は大当たりしました。第60回日本推理作家協会賞を受賞し、直木賞の候補にも。

その「桜庭のぼり」のきっかけとなったのがこの『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』です。「最悪の読後感」でググってみましょう。ほら、この本が出てくるはずです。理由は1ページ目を読んでみればわかります。この救われないエンディングに向かって物語は収束していきます。

本当に最悪なんで、心が元気でない人、疲れている人、感受性が強い人は、一人で部屋にいる時は決して読まないようにしてください。引き込まれても、知りませんよ?

桜庭一樹は『GOSICK』3巻を書いた後に、この本をとつぜん書きたくなり、わりと一瞬で書き上げてしまったらしい。なんか内側に溜まっているものでもあったんだろうか。
本当に書きたいものと実際に書いているものが乖離している時、唐突に全然違ったものを書き出す人がいる。作家が「化ける」のはそういう瞬間なんじゃないか。

とっても読後感が悪いのだけど、この本をオススメするのは、作家が「化けた瞬間」を目撃する希少な機会だからに他なりません。

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コメント

100エントリおめでとうございます

『砂糖菓子』は1年位前に読みました。
たしかに酷い話なんだけど、なんかすごく綺麗な印象があります。思春期の鬱屈とか、ひきこもりとか虐待とか、1つ1つは鬱々しいんだけど、それがスーーっと一直線に収束していくというか・・・空気が終始一貫していてブレないというか。とにかく綺麗だったという印象です。藻屑のミネラルウォーターみたいに。

ちなみに、この人はこれと『EVE The Lost One』しか知らないんですが、ほとんどものごころつく前だったのであまり悪い印象は無いですね。前作の『burst error』もやってないし。「話の筋はよくわからんけどこんなもんか」と思ってましたw

ここの紹介で『レジンキャストミルク』読みたくなりました。これからもがんばってください。

ありがとうございます。

>綺麗
そうですね。おとぎ話的な妙な綺麗さと、現実の残酷さが両方あって、綺麗な残酷さが残る小説でした。「読後感の悪さ」だけを強調するのは、あまりフェアな紹介ではなかったかもしれません。まぁ今回のエントリーは、実質的には「桜庭一樹」の紆余曲折ぶりの紹介ですから、意図的なものではありましたが。

>『EVE The Lost One』
なるほど。
そういう年頃に遊んだのなら、割と楽しめたかもしれません。
というか、どんなゲームでも小さい頃に遊ぶと面白いという経験則はありますね。ゲームやアドベンチャーゲームそれ自体が新鮮という。
確かにburst errorやってないと、訳わからない部分が結構あったんじゃないでしょうか(笑>「話の筋はよくわからんけど

>ここの紹介で『レジンキャストミルク』

面白いのでぜひ。
気がつけば、レジンキャストミルクは割りとどの書評も、変な部分で気合い入ってますね。我ながら。

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