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正義と悪の家族 『世界平和は一家団欒のあとに 2』

世界平和は一家団欒のあとに 2 拝啓、悪の大首領さま (橋本 和也

ライトノベルにおいて、正義の味方と悪の大首領が主人公の物語は1つのジャンルを形成している、といっても過言ではない。それだけパロディの対象としてありふれているんだろうね。ちなみにエロライトノベル(ジュブナイルポルノ)でも変身ヒロイン物は1大ジャンル。大抵のオタクは、ガキの頃に何かを刷り込まれてるんですよ、きっと。

さて「世界平和」というタイトル通り、この小説の主人公は正義の味方。特殊な能力をもち、世界を危機から救う役割を押しつけられた星弓家は、望むと望まざるとに関わらず、世界の危機に巻き込まれ、いつのまにか世界を救っている。

1巻につづき、2巻も家族モノだが、焦点が当たるのは正義の味方の星弓家ではなく、星弓軋人が倒した「かつての悪の組織」の鶴見家。

世界を征服しようと企んでいた悪おやじも、今やただの無職の中年。ワンカップ酒片手に、公園でブランコに揺られる虚脱の日々。母親の優子はそんな夫に愛想を尽かし、長女の銀子は父親を見限って失踪中。末っ子の正志は、尊敬していた悪の大首領の失墜ぶりに意気消沈。鶴見家は離散の危機にあった。
後ろめたさを感じた軋人は、鶴見家のきずなを取り戻す手助けを始める。

自分の手で妹を殺めた過去に苦しむ軋人が、家族の中での居場所を再発見する1巻と比べると、深刻さは薄く、かなり気軽に読み終えられる。まとまりもいい。星弓家の紹介は済んでいるし、役割の曖昧だった柚島も、役どころがハッキリしている。しかし一方で、主人公の軋人自身にはあまり葛藤がなく、巻き込まれたトラブルを解決するだけという役割に終始しているため、家族モノとして引き込むような面白さは薄い。

正義の味方の一家の次は悪の組織、というアイデアは、ありがちだが悪くない。でも他の家族はしょせん、他人にすぎない。主人公が状況を客観視できてしまう。家族モノの王道はあくまで、主人公の家族に相次いで起こるトラブルを、いっしょに力をあわせて解決していく所にある。話が整理されていて読みやすい反面、物足りなさを感じたのも確かだ。

ライトノベルの2巻目は、箸休め的なエピソードが挿入され、シリーズ全体を駆動する伏線が張られるのは3巻目から、という展開が少なくない。次巻は再び星弓家に焦点をもどしてほしい。でなければ、3巻止まりのシリーズで終わってしまいかねない。

星弓家のメンバーも、七美と美智乃を除けば掘り下げが浅く、彩美と刻人はまだまだ転がしようがあるはず。軋奈がらみのエピソードも掘りようがあるし、父親の耕作も全然出てこないままです。ライトノベルでは、親とりわけ父親の存在が薄い傾向にあるが、家族モノを描く以上、それはいけない。

後々のネタとしてストックしてあるのだと思うが、3巻はそのあたりも見せてほしいもの。家族モノは個人的に大好きなジャンルだけに、とても期待している。


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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

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