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夏の暑さに納涼がわりの呪いの本はいかが? 『SHI-NO 呪いは五つの穴にある』

SHI-NO 呪いは五つの穴にある上月 雨音

発売されたのは、夏には少し早い6月15日ですが、そろそろ読むのに丁度良い時季になってきた。夏の暑さに納涼がわりに「呪い」の話はいかが?
ひさしぶりの『SHI-NO』最新刊。
前巻で第1部が終了し、今回はあいだをつなぐ幕間劇。気軽に読めるはずだったが、絡む事件はなんと「呪い」。なんともいたたまれない、不幸の連鎖が始まっていた。

2つの事件を描いた2部構成で、1つは「僕」と志乃が出会ったばかりの頃の、1冊の呪いの本にまつわる事件を描いた「呪怨」。もう1つは呪いの本「リゼィエの日記」を世に送り出した人たちの間でおきた不幸な事件をつづった「呪縛」。

「呪怨」から「呪縛」に至るまでに、「僕」と志乃の関係は少しだけ強くなっている。僕にとって支倉志乃は理解できない存在だった。最悪の殺人鬼に等しい黒い魂を内に秘めた少女。彼女と僕は本来なら、交わるはずのない人間どうしなのだ。

それは今も変わらない。二人が共にいるためには、「僕」が理解できない精神を受け入れるべきなのか、あるいは黒い少女がその魂を殺し、精神を鈍磨させ、抜け殻として生きていくべきなのか。「僕」は前巻にて、そのどちらでもない答えを出した。大きな最初の一歩。

もちろん次の一歩、さらに次の一歩は、何気ない日常のやり取りが作る。些細な出来事の積み重ねである。おそらく、呪詛に絡め取られた人たちは、その些細な何かを欠いていたのだろう。それが何なのかは実際に本を読んでいただいた方が良いだろう。ぞくっとするような転落は、我々の日常のすぐ一歩前にある。

さて、そういう涼やかさとは別に、単純に可愛らしさを求めて読むこともできる。支倉志乃は恐るべき精神の持ち主だが、同時にかわいい黒猫でもある。その外見だけを、生態だけを愛でる。そういう楽しみも許される。猫の内面を知ろうとしないように、本道ではなかろうが、写真集を眺めるように彼女の仕草を、振る舞いを、描写だけを丹念に追いかけるのも、良い。
読書とはその程度には自由な行為だと思う。
 なので、少しちょっかいをかけてみる事にする。
 僕は腕を伸ばして、ベッドの上に広がる長い髪を一房摘んでみた。更にそれをクルクルと指に絡ませて、パッと放す。すると髪は柔らかく指を撫でながら元の形へと戻っていった。それを何度か繰り返していると、ついに我慢できなくなったのか、志乃ちゃんの顔がこちらを向いた。
「……なに」
 まるで幼児に尻尾で遊ばれる老猫のような、面倒くさげな瞳だった。
「いや、別に特に意味はないんだけど……何となく、ね」
「……そう」
「うん、そう」
「…………」
 無言のまま志乃ちゃんは、ウンザリしたような顔でプイッとそっぽを向いてしまった。
 あぁ……これは。具体的な説明は出来ないけれど、意外に楽しいかもしれない。このまま延々と続けて、いつになったら実力行使に出るのか、確かめてみたい気がする。

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

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