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華のあるバイオレンス小説。少女が銃を欲するまで 『黄色い花の紅』

黄色い花の紅アサウラ

 私に言い返せる言葉はない。言う通りだ。
 泣きそうだ。でも、泣きたくない。この人、この男の前で泣きたくない。
「……そうだろ、お嬢?」
 今、あなたはなんて眼で私を見ているんだ。なんだその見下す眼は!? 心の中ではいつもそうやって私を見てきたというのか。笑顔の仮面の裏に隠したそんな眼で私を見てきたのか。
 ちくしょう! ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう! 悔しい、悔しいよ……死ぬほど悔しいよ。何なんですか、あなたは。何なんですか、私は。
 迷惑だったら言ってよ。邪魔だったら殴ってよ。好きなようにすればよかったじゃない。何で、何で今の今まで黙っていたの。言えばわかるよ、何で我慢するの、あなたは。
 私の知らないところで勝手に何もかも決めて、事が起こって、終わってからその次第を聞かされても私はいったいどうしたらいいの。原因が私だったら、それで私はいったいどうしていたらよかったの? 今、私はどうすればいいの?
 わからないよ、もうわけがわからないよ。いったい、どうして……。

スーパーダッシュ文庫小説新人賞の大賞受賞作。
『バニラ』の紹介で書いたとおり、この小説は若干、荒削りな所がある。銃器のうんちくが多すぎるのだ。作者の銃器への過剰な愛情が全編にわたってあふれている。これでも受賞原稿から銃関係の記述を削除しているらしいから、最初はどれだけ多かったのか。まさに銃器ラブである。

しかしそれでも、この小説が面白いのは確かだ。
銃器マニアには問答無用で買えと言いたいが、そうでない人にも強くお薦めしたい。なぜなら銃とは力だからだ。非力な人間にも、引き金を引くだけで人を殺す力を与える暴力装置、それが銃だ。

第2作『バニラ』が、主人公の2人の少女が暴力を手にした後の物語であるのに対し、デビュー作『黄色い花の紅』は1人の少女が暴力を欲し、暴力を手にし、暴力を行使するまでの物語である。

主人公は紅花だが、この小説は二部構成を取っている。
第一部は組長の娘を護衛する仕事を請け負った白石奈美恵の視点で進み、第二部は守られる側の紅花の視点で進む。視点のバトンタッチには必然がある。

奈美恵はかつて裏社会とはまったく無縁の世界に生きていた。しかしある時、理不尽な暴力に巻き込まれ、拳銃を手にし、自ら理不尽へ反撃した過去をもつ。そして今、奈美恵に守られた紅花は同じように、暴力を欲し、暴力を手にし、暴力を行使する。彼女たち二人が暴力を欲した理由は似ているのだ。

バイオレンス小説は読者を選ぶジャンルだが、女性視点で進行することもあり、あまり読んだことの無い人にこそ、ぜひ読んでほしい。不謹慎かもしれないが、「銃と少女」はやはりミスマッチの美しさを感じる。

何より魅力的なのは、激しい感情の高ぶりだ。この小説を貫く、理不尽と戦う意思は、鮮烈に、美しく描き出され、読者を強く引き込んでいくはずだ。

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:黄色い花の紅  アサウラ  

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