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ゲーム開発者の中にあるWindows Vista待望論

Windows Vistaがもうすぐ一般向けにも販売されますが、ここまで不評な状態でスタートするWindowsは初めてかもしれませんね。延期に次ぐ延期、バカ高い要求スペック、大幅に縮小した新機能、種類が多くてわかりにくいエディションなど、Windows Vistaは実に不満点が多いです。まさに「OSのイノベーションのジレンマ」を体現したようなOSです。
西川和久の不定期コラム「Windows Vistaを好きになれない理由」

しかし一方で、洋ゲーを遊ぶPCゲーマーは好意的に受け止めているようです。美少女ゲーム(3D系を除く)はかなり低いスペックでスムーズに動作しますが、FPSなどの海外ゲームはハイスペックを要求する物が多いので、ハイスペックを要求されても苦になりません。Game ExplorerやDirectX10、Ready Boostなど、むしろVistaのゲーマー向け機能に期待する声が聞かれます。
おそらくマイクロソフトも、早い段階でVistaに乗り換えるのはゲーマー層だと判断しているのでしょう。ゲーマー向けのアピールには余念がありません。PCにもXBOX Liveを提供することで、XBOX360との連携も強化されます。


ゲーム開発者の中にあるWindows Vista待望論

PCゲーマーに限らず、日本のゲーム開発者の一部でも「Vista待望論」が高まっています。
というのは、次世代据置ゲーム機の普及スピードが遅いからです。高性能路線のXBOX360とPS3は共に、前世代機に比べて、普及に時間がかかると言われていますし、発売直後の売れ方を見ても大いに頷けるところです。

するといくらマルチプラットフォームとはいえ、2機種だけでは心もとない。当然PCも視野に入ってきます。けれどもPCでの開発経験が乏しい日本のゲーム開発者にとって、性能差や機能差を埋めるのはうっとおしい作業ですし、XBOX360やPS3と大きな性能差がある環境には作りたくない。

Vistaは性能面で「足切り」をしてくれますし、ゲーム向けの機能がいくつも盛り込まれています。また勉強熱心な技術者がシェーダー等の技術をキャッチアップする際には、DirectXを使うことが多いので、本格的なゲームは組んだ事が無くても、少しは触った事がある人は割といるんですね。日本のゲーム開発者にとってVistaは乗っかりやすいプラットフォームです。

欧米のゲーム開発者が高い技術力を維持している背景には、PCでは半年、1年ごとに性能と機能が更新されることがあります。勉強熱心で技術力の高い人間なら誰でも、「日本もPCでも開発していればなあ……」と考えたことは1度や2度はあるはずです。PCゲームが好きじゃないボクでさえ、3Dエンジンのプログラムをしていた頃はそう思った事があります。

経営面でも「ロイヤリティーを取られない」「プラットフォームホルダーの制約を気にする事なく、自社で好きにビジネスを展開できる」「マルチプラットフォームの選択肢が増える」「オンラインを前提にしたゲームを出しやすい」「技術力を維持できる」といった、実に多くのメリットがあります。Vistaをきっかけに、PCゲームのラインナップを増強してみようか、と検討している会社は結構あるんじゃないかな。

まぁ「プロセッサ性能至上主義が崩壊した」と書き続けてきた人間からすれば、Vistaに好意的になる理由は1つも無いのですが。とはいえ、性能至上主義が崩壊したとしても、技術力を維持しておきたいという経営的な課題からすれば、Vistaが使えるプラットフォームになってほしい心情はわかります。

Windowsの場合、なんだかんだで乗り換えざるを得ないので、普及はしますからね。それ以外の選択肢は店頭から無くなるし、古いのを使い続けようとしても壊れますから(笑


マイクロソフトの戦略のぶれが気になる

XBOXを立ち上げるに際し、マイクロソフトはPCゲーム→ゲーム機の流れを後押ししました。特にXBOX360では「PC版を360に移植する」よりも「360向けに作ったゲームをPCに持っていく」方が楽になっている、と言われています。

また北米のPCゲーム市場は縮小傾向にあり、逆にゲーム機市場は拡大しています。単純に考えて、PCゲーマー→ゲーム機ユーザーという移行が起こっているんですね。
PCゲームの縮小傾向の話は一昨年くらいから気にかかっていたけれど(2006-1-8)

ゲームプラットフォームとしてのWindowsがこのまま弱体化してもいいのか。「OK、OK」なら非常にわかりやすかったんです。けれどもマイクロソフトはVistaでゲーム強化を打ち出しました。Windowsを捨てられないんですね。そのために戦略とメッセージがぼやけています。

まぁXBOX360とPCをXBOX Liveで繋げるというのは悪い話ではないんですが。ただ、これもせっかく性能が揃っている360の世界に、不揃いなPCが繋がることで、面倒を増やしてしまう怖れがあります。

それでもXBOX Liveがメインで、プラットフォームはPCでも360でもどちらでもいいんだ、という思想なら、面白い試みだと思います。パッケージソフトとしてのOSやハードで儲けるのではなく、サービスベースのビジネスへの移行だからです。ただ、どうかなあ……結局マイクロソフトは「PCを抜いた世界」を許せないんじゃないか。ボクはそう疑っています。

Microsoft Windows Vista Home Premium 通常版

Microsoft Windows Vista Home Premium アップグレード版

テーマ:★ゲーム業界★ - ジャンル:ゲーム

タグ:Windows  Vista  

コメント

PCって分かり辛いですよね。
自分はVistaになる事による「足切り(底上げ)」に期待しています。
せっかく買ったPCで「このソフトは動きません。」では悲しいですから。
(Vistaの機能には特に期待する点は無し)

普通に購入したVistaPCで
Vista対応ソフトが普通に動く。

こういう流れに期待したいです。
(こう書くと当たり前の事が当たり前じゃないのが
PCの世界なんだなぁとつくづく思います)

反対に言えば、これが徹底できたら
高価格&ハイスペック路線で
ゲームハードビジネスを展開するなら
PCに対しても明確な住み分けを
はからなければならなくなるわけで。

ですねえ。
PCは無秩序なのがいいんだけど、ユーザーには不便ですからね。
米国では
    ウルトラハイエンドPC層(高いグラフィックボード搭載) →先鋭化
    ハイエンドPC層 → XBOX360、PS3
    ゲーマー層  → XBOX360、PS3、Wii
    ライトユーザー層 → PCのWebゲームとかShockwaveとかその辺。
                  わざわざゲーム機買わない人達。
という感じですかね、現状。
日本と最も違うのは、ライトユーザーがわざわざゲーム機を買わないこと、PCは持ってるからPCで遊ぶことですね。実際、任天堂のライトユーザー開拓も、日本に比べて成果がはるかに小さいのは、こうした事情があるからです。

ゲーム機がPCに近づいているのと同時に、PCがゲーム機に近づいているんですよね(メディア処理、高速起動、GPUを生かしたOS、・・・・)。PCのOSは元々GPUが存在する前からあったため、プロセッサ性能を活かしきれないものだったわけですが、マイクロソフトがWindowsの代を重ねるたびに、GPUを生かす方向にもって行きました。

で、おそらくゲーム機もPCも次の世代には中身はほぼ一緒になるんですよ。極端な話、XBOX480はWindows XBOX Editionという位置づけかもしれません。で、PC用のWindows XBOX EditionをPCにインストールすると、XBOX480と同等の機能がPCに備わる。

PCからゲーム機に近づくVistaのアプローチと、ゲーム機からPCに近づくXBOXのアプローチのどちらが先に目標にたどりつけるか。そこは不透明だから、じゃあ両方のルートから山を登ろうというのがマイクロソフトの考えでしょう。で、案の定、Vistaがリリースが遅れたんで、XBOX360はやっておいて良かったよね、という。

2つのルートから攻めていく作戦は、どっちに転んでも、最速で山頂にたどり着ければそれでいい、という力技なんですが、マイクロソフトだから出来る戦略です。他の会社には真似できません。

北米では、どちらのルートの登山もそれなりにうまくいっているので、住み分けが困ったなあ、とゼイタクな悩み。日本では、どっちもうまくいってないんで、さてどうしようという深刻な悩み。

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