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テレビCMを凌駕しつつある口コミマーケット

DSとWiiの市場の最近の話題は「定番の旧作が強すぎる一方で、新作が売れない」ということです。DSでは『Newマリオ』などの常連タイトルが上位を占め続けるかわりに、新作がトップ10に入るのは難しくなっています。またWiiでも『Wiiスポーツ』が非常に強く、発売週をふくめて毎週『Wiiでやわらかあたま塾』よりも売れています。

今回は「定番の旧作が強い」件と「新作が売れない」件について、それぞれ掘り下げてみます。


新作ソフトが売れにくくなってる件について

タイトル数が少ないWiiはまだいいのですが、タイトル数が急増しているDSでは、新作タイトルへの注目が分散したり、棚の置き場所に困るという問題が起きています。

棚に置く際にパッケージが見えるように置くか、背表紙が見えるように置くかで、小売店での印象はだいぶ違いますが、スペースが減ってくると、そう置かざるを得ません。また売れる常連タイトルが棚の良い位置を占め続けると、新作ソフトとの兼ね合いを考えなければいけなくなります。

結果的に会社のブランド力、過去の実績、タイトルのインパクトなどで、売上が決まってしまい、名前の認知されていない会社のソフトは消費者に認知されないまま、消えていくことになりかねません。

こうした問題は、ロングラン市場が誕生したからこそ生まれたもので、良い解決策を模索していく必要があります。ゲーム各社のマーケティングは、さらに工夫が求められるでしょう。


口コミがテレビCMを凌駕しつつある

今となっては慣れっこになってしまいましたが、「旧作タイトルの週間売上が新作を上回る」という事態はよく考えると不思議な話です。というのは、通常ゲームソフトのテレビCMは、新作中心に流れるからです。

つまりテレビというマスマーケティングの初期段階である「認知」は、新作>>>旧作のはずで、発売から何十週間も経った時点では、旧作は新作より圧倒的に不利なはずなのです。ということは、テレビCM以外のもっと低コストな経路から、ソフトの認知が行われ、購買動機を掻き立てられ、購入している人たちが非常に多いのです。

すなわち口コミです。
口コミによる販売がテレビCMによる販売を凌駕している、というのがDSとWiiの市場で起きている現象です。マスプロモーションの崩壊については、去年かなり話題になりました。(参考:マスプロモーション衰退後の世界(前編)

初期段階では、テレビCMによって日本全国に大量の「情報」をばら撒く必要がありますが、ある程度の期間撒いたら、あとは口コミに乗るかどうかが重要になります。撒かれた「情報」がそのまま消えてしまうか、人々が口から口へ伝えていくかは、結局はゲームの内容によります。

したがってゲーム制作者がソフトの売れない理由をテレビCMのせいにするのは、まったくもって的外れです。プロモーション費用が多ければ、初期段階での「認知」は大規模に展開できますが、その後根づくかどうかはソフトの内容が大きいのです。

内容をもう少し細かく見ていくと、「クオリティ」と「話題性」と「大衆性」の3つがポイントです。ネット上でよく、出来が良いのに売れないと言われるソフトがありますが、それは「クオリティ」が高く、「話題性」と「大衆性」が低い場合が多いです。

「大衆性」というのは小説や漫画の世界では普通に用いられますが、ゲームではあまり用いられない言葉です。しかしボクはこれがかなり重要だと思っています。出来がいいのに売れないというソフトには、大抵「大衆性」が欠けていると感じています。しかし今回は深掘りするのはやめて、また今度ふれましょう。


ハード販売の増加とソフトの売れ方

データ不足なので仮説になると最初にお断りしておきます。
DSはハード販売が非常に好調です。ゴールデンウィークでは週間20万台を越える売上でした。ところでハードを新しく購入している人は、いっしょにどのソフトを買っているのでしょうか? おそらくランキング上位常連の旧作タイトルだと思います。

  旧作タイトル: ハードの新規購入者が多い。
  新作タイトル: ハードをすでに所有している人が多い。

Wiiも、DS程ではないにせよ、なかなか堅調な売上ですから、同じような傾向がある、と思われます。今Wiiを買っている人は、おそらく『Wiiスポーツ』を知り合いの所有者と一緒に遊んだか、知り合いから薦められたのだと思います。そんなふうにテレビCMではなく、口コミがきっかけでWiiを購入しているのなら、Wii本体とあわせて『Wiiスポーツ』を買っていくのは自然です。

旧作タイトルを遊んだユーザーが別のユーザーを誘うため、ゲーム機本体と共に、旧作タイトルが売れていきます。その場合は、信頼感の積みあがっている旧作のほうが新作よりも優位にあるといえます。信頼感は累計効果が働くのもポイントです。

そうやって売れていくタイトルは限りがあります。常連タイトルはある程度までは単調増加しますが、一定を超えると口コミ効果が分散してしまうからです。古い常連タイトルのかわりに、新しい常連タイトルが加わります。

ゲーム各社にとっては、自社のタイトルを常連タイトルの枠の中に押し込むことが重要な販売戦略になります。例えば『レイトン教授』はうまく入り込んだのかもしれませんね。


ハード販売が飽和した時に何が起きるか?

さて上記の仮説にしたがえば、次の大きな変化はゲーム機の販売が飽和した頃に起きるはずです。今は毎週10万台のDSが売れていて、単純計算で毎週10万本の新規需要が発生している計算になります。

しかしDSも1600万台を越えて、年内には2000万台を突破する可能性があります。普及がさらに進むと、さすがに販売カーブが落ちてくるのでは、という見解もあります。『ドラクエ9』もあるので、ハード販売が落ち着くのは来年でしょうか。その時には市場の様相がまた大きく変わるはずです。

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テーマ:▼ゲームの話 - ジャンル:ゲーム

コメント

もう既存ルールで説明できなくなってるゲーム市場
>DSとWiiの市場の最近の話題は「定番の旧作が強すぎる一方で、新作が売れない
「今までの法則」では説明できない違和感・・まさに市場の転換期ですね、「新法則」が見え隠れしてる

未開拓地を探る鋭い考察
考察①>口コミがテレビCMを凌駕しつつある
考察②>ハード販売の増加とソフトの売れ方
今までの法則では説明できない違和感、、それに対するさまざまな鋭い意見や考察。
「新ルールの宝庫」ですね、ワクワクしてしまいます


今の国内では
特に、ゲーム業界やネット市場で「今までの法則では説明できない違和感」がたくさん発生してきてる感じがします。

ネットでは、「消費者参加型のネットビジネス」が流行ってるそうです。で、、その視点でネット業界を見るとそこにも面白い珍現象が。日本とアメリカ(この2カ国しか状況を知らない)では「今までのルールでは説明できない現象」が多発してます

ネットの主流である10代20代は、ブログや掲示板、動画サイトなどに投稿や書き込みをしない傾向があるそうです。ただ見ているだけの傾向が強いみたいです。実は書き込みや投稿の主流は「35歳~60歳」なんだそうです、消費者参加は圧倒的に35歳以上が多いらしいです。日米ともに実はネットでも書き込みや投稿の主流は35歳以上なんだそうです

これも上記のゲーム市場の問題と同じで、珍現象を「ズバッと快適に説明できるリクツ」がありません。市場分析が難しくなってる分、鋭い視点とセンスで新法則を考え付いた人が、市場の利益をごっそりもってけちゃうかもしれない超混沌時代

市場の動きが早い上に消費者の趣向が分散してしまって、ゲーム関係者にとっては本当に泣きそうな状況かもしれません
でも
部外者にとって今のゲーム市場とネット市場、面白すぎです

まぁ後づけの分析ですから・・・・。何とでも書けます。

> 市場分析が難しくなってる分、鋭い視点とセンスで新法則を考え付いた人が、
> 市場の利益をごっそりもってけちゃうかもしれない超混沌時代

ラインナップ編成や、開発の路線を決めるのは、上層部ですね。経営の領域の仕事です。幸いなことに、上層部の勘と嗅覚が鋭いので、現場としては、割と安心して仕事できてますね。

まぁ戦略がどうあっても、結局ユーザーが手に取る商品を仕上げるのは現場ですから、ディレクター、プランナーであれば、市場を意識しておいた方がいいのは確かです。そのレベルまでいくと、「割と感覚的」な話になりますが。

いい物作れるセンスと売れる物作れるセンスも、全然別ですし。一番売れた作品がその作り手にとって実は満足いってない作品、なんて事もあります。

セオリーとか、統一感とか、世界観とか、コンセプトとか、ターゲットとか、そういう物から少しズレた、ちょっと不純なものの方が売れますね、基本的に。適当に、いい加減にやるということではなくて、完成していったものを少し「崩す」とか「歪める」とか。

ただ、実際にデータを作ったり、プログラムする立場になっていくと、つまりのめり込んでいくと、不純さを嫌がる方向になりがちです。「不純にしようよ」って、言葉で説得できないでしょう(笑 統一しようと考える方が作り手としては論理的だし。だから、「論理的に話すかどうかはさておいて、強引に現場をくつがえせる、過去の実績のある人」が上層部に必要だったりするわけです。上層部の無茶に腹を立てながらも、それをうまく使うことを考えるのが、肝要でしょう。

もっとも100%説得して作れるわけではないし、100%説得できたらそれは1人で作ってるのと変わらなくて、すごく小さい物になっちゃうわけで。実際には、「ここは引いておくか」「ここは押しておくか」の集積ですよね。「自分の中からは出てこないモノ」が出てくるから、集団で作る意味があるのですし。そこが面白い。

まぁたまには、「俺純度」の高いモノも作ってみたいですが。今のゲーム業界(商業)だとなかなか難しいですね。

単純な口コミ、とはちょっと違いますが、Xbox360で行われているゲームのトレイラーと体験版配信は従来の宣伝手法とは全く違う第3の手法ではないですか?

どんな零細な会社でも低コストで、ネットに繋いでいる人に確実に届けられ、更にその動画を見た人や体験版をプレイした人からXboxLiveの知り合い網を通じて口コミが広がり、人によってはBlogや日記サイトでその感想を書くことでそこから更に広がっていく。

もちろん、ハードさえ持ってない人にどう知ってもらうのかという問題は残りますが。
Xbox360が弱いのはこの点ですよねぇ。

> ゲームのトレイラーと体験版配信は従来の宣伝手法とは全く違う第3の手法

うーん、そうですか?
PCゲーム(エロゲー含む)では当たり前なので、あまりそういう印象は無いんですよね。体験版を大量にばら撒けるという点なら、数万~数十万枚のディスクの大規模配布は過去に例がありますし。

XBOX Liveって、新着の体験版があるかどうかも、いちいち見に行かないとわからないじゃないですか。PCなら体験版を公開して、ブログやニュースサイトに紹介してもらって、リンクを踏めばそれでいいですけど。そういう機能は無いですよね。

XBOX360というか、Liveの問題点は、同じような仲間(ゲーオタ)の間での密度は高いんだけど、そこから外に広がっていかないことです。いわゆる口コミ力は全然無いと思います。

結局、商売の判断は数字でやるほかないので。
本当に口コミ力があるなら、どうして360の台数はあんな状態で低空飛行なのか、一瞬盛り上がっても、すぐにずるずる下がるのか。狭いんですよね。タコツボというか。例えば『アイマス』なんかも売上本数では、全然大したことないし、ハード牽引もGOW以下でしょう。

とはいえ、Windows連携がうまく転がれば、面白いことになるのかもしれません。。。。。

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