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ちょっとした奇跡の物語 『さよなら、いもうと。』

さよなら、いもうと。新井 輝

名前のとおり妹をメインに据えた小説。
妹といえば、メイドと並んで萌えの最大テーマだが、狙いすぎてて逆に難しい。でも新井輝の手にかかると、こんなに奇妙な小説に化けるのだから、さすがと言うか、呆れると言うか、新井輝フリークにはたまらない味です。

妹のトコが三日前に交通事故であっけなく死んでしまった。妹の部屋に残された日記を読んで、意外な事実を知った。妹はずっと、自分と結婚したいと願っていたらしいのだ。叶うはずの願いを書き綴る妹の必死さをようやく実感する兄。
「……でも、もう途切れてしまったんだよな」

親しい人を失っても、すぐには実感が湧いてこない。ふっと、ふり返ったら、元気な顔でひょっこり現れるんじゃないか、なんて思いもする。数日経ってじわじわと喪失感が襲ってくる事もあるし、何ヶ月も、何年もかかって、本当に心の整理がつく事もある。

手短にまとめれば、高校生の主人公が妹の死を受け入れるまでの話なんだけど、ライトノベルらしく、少しだけ不思議な要素が絡んでくる。

肉親同士のいけない関係というと、『Room No.1301』が思い浮かぶ人も多いだろうけど、それとはまた違った味わい。あらためて考えると、あちらは妹ではなくて、姉小説なんだな。

新井輝作品らしく、登場人物の会話が相変わらず楽しい。彼らの微妙な距離感が会話に現れている。とりわけ、主人公と幼なじみのミノリンと悪友のテツマルの3人の会話が面白い。そこだけを何回読み返したことか。ぶっちゃけ、妹を食っちゃってる気がする。その妙なキャラクターの生々しい存在感も、新井輝作品っぽい要素なんだよね。
「だって、あの水着はミノリンらしいにも程があるよっ」
「……いや、ミノリが着るんだろ? ミノリらしいならいいじゃないか」
「何言ってるんだよ。それならわざわざ買いに来る必要ないじゃないか」
「いや、学校指定のだと格好悪いから買いに来ただけ……じゃないのか?」
「そうだよ。何を期待してるの?」
「僕は何も期待してないよ。ミノリンはミノリンだし」
「だったらいいじゃない、これで」
「でも、それはミノリンらしいにも程がある」
「……だったらどういうのにすればいいの?」
「せめて上下分かれてるやつにしようとか思わないの?」
「……思わないよ」
「ちょっとおへそ見せちゃおうかなとか思わないの?」
「思わない」
「ミノリンは元気のないヒロポンのために、少しくらいサービスしようって気はないの?」
「それはあるけど……それがおへそ見せることなの」
「いやまあ、別にミノリンのへそなんか見たくないけど」
「だったら言うなっ」

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:新井輝  さよなら、いもうと。  

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