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これが沈む太陽と昇る太陽の違いか。

数年前はともかく、いまやアップルと任天堂を比較するのは残酷なジョークにすぎません。

iPod→iPhone→iPadという風に次々と新しい市場と商品カテゴリーを生み出してきたアップルと、携帯機と据置機という過去のカテゴリーに固執し、おまけに据置機の衰退に対して効果的な手段を打てなかった任天堂。

新しいアイデアが画期的な商品となって結実し、そこに新しいビジネスモデルが加わる。それを成し得たのがアップルであり、過去のビジネスに囚われて最大のチャンスを逃がしたのが任天堂です。その落差こそが経営の差であり、登り続ける太陽と沈んでいく太陽の違いです。

両社の違いを見ると・・・・
  • 市場創造: アップルは新しい製品カテゴリーを次々に生み出してきた。DSの立ち上げ時の発言「3本柱」構想もただの口先で、任天堂は「携帯」「据置」の2つのカテゴリーに固執してきた。任天堂のユーザー拡大戦略は結局、既存マーケットの中でのユーザー層拡大にすぎず、カジュアルユーザーは取り込めても、ゲームファンは分化していった。
  • エコシステム: 全世界の多数の開発者を取り込む事で、アップルは巨大なエコシステムを構築し、決して無視できない巨大な市場を生み出した。一方、任天堂はユーザー層の分化に対応できず、サードパーティの離脱を招いた。
  • 優位性の継承: iPod touch、iPhoneのエコシステムを継承したiPadは当初の予想を超えた市場を生み出したが、任天堂は開発コミュニティの引き継ぎができなかった。
  • オープン性: アップルは完全にオープンな会社ではないが、既存のゲーム機メーカーよりもずっとオープンであり、その利点を最大限活用してきた。任天堂は悪い意味での「自前主義」に陥り、Wiiチャンネルはサービスが短期間で揃わなかったし、つまらない物ばかりだった。
  • 他社との役割分担: アップルはプライドの高い会社だが、組むべき相手とは躊躇せず組むし、相手を立てる時は立てる。エコシステムにおける役割分担が明確だからだ。任天堂は役割分担が不明確で、自分で何でもできると勘違いしている。そのため3DSでは、サードパーティの市場を維持するために自社ソフトの投入を抑制するなどと公言しており、馬鹿げている。その結果3DSがどうなったか? 愚かで傲慢な企業は色々なものを失う。


さてDeNAが決算を発表しました。
[jp]DeNAは売上1,000億円超のソーシャルゲーム企業に。Mobageアプリ版は5月に登場
ソーシャルゲーム企業としてめざましい成長を遂げ、売上高で2倍以上、経常利益で2.5倍以上に拡大しています。また2014年度の売上目標が4000億~5000億円、営業利益目標が2000億円と、野心的な目標を掲げており、積極的に海外事業への投資を続けています。

ここでDeNAと任天堂の決算を比較してみましょう。

売上高で約10倍、営業利益で約3倍の開きがあります。売上高は約1兆円で、2007年の水準まで低下しています。営業利益は前年度の半分以下で、1710億円程度。しかしこの差も、2014年度には逆転されている恐れがあります。3DSやWii後継機がDSとWiiほどの伸びを達成できなければ、DeNAに追い抜かれる可能性も。

無論、DeNAにも死角はあり、スマートフォンへの移行においては優位性を喪失する恐れもあります。DeNAは2、3年ごとに新しい事業の柱を生み出し、開発や経営のリソースをそちらに躊躇無く移してきた企業です。ミニゲームで集客し、アバターで稼ぐビジネスから、ソーシャルゲームで収益をあげるビジネスに転換し、さらにPCオンラインゲームや携帯ゲーム機ユーザーからユーザーを奪う戦略を明確にしています。

彼ら自身がハードを生み出さないため、新しい市場領域を生み出すという点では制限が多いのも事実です。しかし2014年度の目標売上高や営業利益を達成するまでは、その点は問題にならないでしょう。ゲーム機メーカー各社が古いビジネスに固執して、ユーザーを失っていった分を、ソーシャルゲーム企業が取り込んでいきます。

さてDeNAと任天堂の違いも一応見ておきましょう。
  • 既存ビジネスからの脱皮: アップルにも言える事ですが、DeNaもまた過去のビジネスモデルを捨てることをためらいません。DeNAはさらに過激で、本当に捨ててしまいます。DeNAと千趣会の合弁企業「モバコレ」の株式譲渡はその一例です。こういった大胆さはベンチャー企業らしいですね。
  • エコシステム: エコシステムという点では、公正取引委員会に調査に入られるあたり、DeNAにはいくつかの問題点がありますが、敷居の低さにおいては、既存のゲーム機とは比較になりません。また敷居を下げることの重要性を強く認識しています。一方で任天堂はゲーム機業界の常識にとらわれ、「最初は断る任天堂の優しさ」に見られるような、中小企業が参入しづらい状況を恥ずかしげもなく放置しています。支援ではなく、門前払いするあたりが姿勢の違いのあらわれです。それを問題とも思わないライターも不思議な感性ですね、いま振り返ると。
  • 積極的な買収と提携: DeNAに限らずIT系ベンチャーは自社で作れるかどうかではなく、「時間を金で買う」ために他社を買収し、提携していきます。自社でも1年あれば作れるかも知れないが、他社を買えば半年でできるなら半年という時間を買う、という経営感覚を古い大企業に要求するのは正直難しいでしょう。


さて、アップルと任天堂、DeNAと任天堂を比較してきたわけですが、逆にいえば相違点にこそ停滞を突破する鍵があると考えられます。
  • 市場創造: 「据置」「携帯」以外の製品カテゴリーに取り組む。
  • エコシステム: 開発の敷居を下げる。マイクロソフトはXNAにより、SCEはPSS構想により、既存のサードパーティと草の根開発者を併存させる努力をしている。
  • 優位性の継承: (驚き重視戦略を取っているため、極めて難題。たぶん無理でしょう。)
  • オープン性: マイクロソフトやSCEに比べても改善の余地が大きい。
  • 他社との役割分担: 3DSにおける現状を見る限り、本質的な組織的傲慢さは度しがたく、かなり難しい・・・・。ゲームファン向けのソフトを任天堂が作ったり、販売する必要性は薄いわけで、得意な会社と組んでいくのが大切。
  • 既存ビジネスからの脱皮: (脱皮するチャンスはすでに失われている。まず3DSとWii後継機を普及させてから・・・・。)
  • 積極的な買収と提携: ガンガン買うべき。当然すぎる。ネットサービスに関してはスピードを重視して「自前主義」を改めると公言しているが、E3までに発表できるかどうかで、スピード感が見える。

もはや限界突破のチャンスは失われ、これから数年は失地を挽回することに労力を割かなければいけない状況です。それを経営の愚かさというはたやすいものの、期待した方が愚かなのでしょう。

Wiiのゲーマー市場とサードパーティ市場の展開も、3DSも「言わんこっちゃない」ですしね。

まあこの苦境を乗り越えることが重要です。あのソニーの出井氏だって、前半は名経営者として賞賛されていたわけですよ、今では戦犯扱いですが。「中興の祖」か「戦犯」か、結論はこれからの10年で出るんですよ。残酷だな、世の中は。



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コメント

とは言え閉鎖的である種の傲慢な態度は任天堂の社風ですから、一朝一夕で変えるのは困難でしょうね。創業年数一桁の会社ですら場所によっては「我社の習慣に合わない」と平然で言い放つことがあります。任天堂ほどの年数と大成功体験がある大企業の社風が変わるのはもっと追い込まれないと。社長の首をすげ替えて外部の人間を招聘したくらいでは恐らく改まらない。変わっているなら64,GCの冬の時代に変わっているはずで、そうなっていないのが何よりの証拠。

ジョブズ復帰以前のAppleは既存のビジネスモデルにこだわっていたり、中小のアプリ開発に冷淡だったとかハード・OSがクローズ志向で自前主義だったなどと、今の任天堂と似ている部分が多くありました。
もし同じような道を辿るならこの先任天堂はもっと追い込まれて、Apple同様競合他社から援助を受ける程に落ちぶれて始めて復活の兆しを見せる… そんな空恐ろしい予感もします。

以前、「2年後には勝負が見えているでしょう」とおっしゃっていた記憶がありますが、やはり2年はかからなかったですね。DeNAもグリーも案件の良し悪しはあれど、とにかく「考える前に行動する」くらいのスピード感と切迫感で動いています。買収の成否はいつの時代ものちの歴史を待つしかありませんが、おっしゃるとおり、このスピード感こそが勝敗にとって今まで以上に(任天堂に限らずどのプレーヤーにも)重要な時期でしょう。これはバブルでもなくドッグイヤーでもなく、これが今の定常スピードなのです。

任天堂、捨て身になってfacebookでも買いますか。スピード重視、買収と投資に手をこまねかない、と言い張るには具体的な案件がそれなのかどうかはともかく、それくらいの覚悟を見せなければね。消費者市場にも資本市場にも、そしてなによりも業界にも少なくとも「任天堂は変わった」と直感で理解してもらえるような、象徴性も含めた経営判断とエクスキューションが必要です。

あっ、3DSの値下げ、とかじゃダメですよ?w


>マシン語 さん
おっしゃるとおり、任天堂は岩田社長に替わって、変わった事と変わらなかった事があり、後者については今後も時間がかかるでしょう。岩田社長に替わって以降の若手にしても、DSとWiiの成功を体験しているがゆえに、逆に謙虚に振る舞う術を知らないでしょうから、なかなか厳しいでしょうね。

任天堂の強みは、他社に比べて資金余裕があり、他社と違うソフトを研究する時間があり、それを丁寧に磨き上げるまでの開発期間をかけられる事です。独創性的なゲームを作る、作ってきた経験は、一方で「他社とは違う」という自負になり、時として傲慢さにもつながるでしょう。

率直にいって、個々のソフトがそこまで独創的な訳ではなく、たまに大型の独創的なソフトが出ているのが実情です。他社と違って体力があるから、売れないようなソフトでも平然と道楽できる面もある。そういう実情を経営が客観的に判断できていれば、外部と組む重要性には早くから気づけたのでしょうが、成功にともない、開発全体が自らの「独創性」を信仰するようになると、根拠の無い自信過剰な「自前主義」が横行します。

どんなに優れたバッターでも、3割、4割なわけで、全打席ホームランだってありえない。「百戦して百勝とはいかない」のが当たり前です。そういう事がわからなくなってきているように感じますね。

また、岩田社長の開発リソースの運用は劣悪もいいところで、Wiiチャンネルにしても、あんなもの、ローンチは仕方ないにしても、その後は企画や開発はどんどん外部化していくべきものでしょう。DSiや3DSの内蔵ソフトのリッチさも、馬鹿馬鹿しい。内部で実績のある企画やディレクターを配置して、「こんなに豪華メンバーが作ってます。内蔵ソフトと言ってもソフト1本分以上の価値があります!」みたいな事を、「社長が訊く」で語り出す。

才能の無駄遣いでしょ。
その割りに3DSは「らしさ」を感じるソフトが無い、と評価されているわけです。

内蔵ソフトをリッチにするのは愚劣な判断だし、少なくとも自社の企画力を無駄遣いするようなシロモノではない。DSのピクトチャットみたいに1本優れた物があれば充分でしょう。優れてない半端な物を寄せ集めて、価値が生まれるという考えは、マイクロソフトやSCEのような愚かな大企業が好む考え方です。

そんな無駄遣いをした挙げ句に、任天堂ファンには結局、過去のリメイク作品ばかり宛がっている。シュールなジョークを見せられている気分です。

確かにDSとWiiの成功は、自社タイトルの牽引が大きかった。そこに自信をもつのは構わない。しかし強みは、時と共に弱みになり得るのが世の中の企業です。プラットフォームホルダーとしての任天堂にとっては「邪魔」な一面ももっています。まあ開発出身の岩田社長にとって、社内の開発者は強力な味方であり、社内政治を考えれば、気遣いも相当必要なのでしょうが。

まあ、現在の任天堂の問題点の1つは、岩田社長が雇われ社長であり、他の幹部ほどには任天堂社内に権力基盤を持っていないし、しかも唯一の基盤が自社の開発陣だという事です。自分の足元に対して、企画力が無いとか、開発リソースが足りないとか、ブツブツ言うわけにもいきませんしね・・・・。

少なくともネットワークサービスについては、他社から事業部長クラスを抜いてきて、外を使ってガンガンぶん回すほかないでしょう。が、それで内部が収まるのかって話ですよねえ。

> ジョブズ復帰以前のAppleは既存のビジネスモデルにこだわっていたり、中小のアプリ開発に
> 冷淡だったとかハード・OSがクローズ志向で自前主義だったなどと、今の任天堂と似ている
そうですね。
長所と短所は裏表ですから、なかなか難しいのですが、経営側がしっかりハンドリングしないと駄目でしょうね。


>ぶらりん さん
facebookの企業価値は、上場前の段階で、約500億ドルと言われています。任天堂の株式時価総額は2.7兆円程度。facebookからすれば、任天堂はもはや「格下」の企業であって、そんな敗北者に買収されたいとは思わないでしょう。仮に1兆円程度積んだとしても、マーク・ザッカーバーグが首を縦にふるはずがない。むしろソーシャルの価値をその程度にしか見積もれないのか、と失笑されるのがオチですね。

ゴールドマンサックス他がFacebookへ5億ドル出資、時価総額500億ドルへ。
http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2011/01/facebook5500-5c.html

岩田社長は、いわゆるSNSゲーム=ソーシャルゲームを任天堂はやらないが、ソーシャル性という点では昔から複数ユーザーが楽しめるソフトを作ってきたし、任天堂も取り組んできた、と語っています。それは事実だし、Wiiにもソーシャル性は確かにあります。

その主張を100パーセント受け入れて、任天堂をいわば「ソーシャル大戦」の参加者のひとりと考えましょう。しかし、であれば、任天堂はソーシャル大戦において企業価値を落とした、ただの敗者という事になります。積極的に敗者アピールしたがる姿勢は、滑稽と言わざるを得ません。アップルのジョブズは、そこまで馬鹿馬鹿しい発言をしませんね。当たり前の事です。

任天堂がDeNAやグリーを買収するという考えも見ている側としては面白そうですね、業界的には活発な行動をしている会社の芽が摘まれる事になって残念な事なんでしょうが。

PSN問題は一連の流れを見ていると個人情報をトレンド・マイクロ等のネットセキュリティ会社に管理してもらう事になるのかな?

> 匿名 さん
DeNAからすれば、現在の任天堂との間にシナジーは無いでしょうし、グリーは株式比率を見れば実質オーナー企業ですから、買収は難しいでしょうね。のぼる太陽は、沈む太陽に買収されたいとは決して思わないでしょう。

任天堂側としても、ほぼ国内のみのDeNAとグリーを買収しても、メリットは薄いでしょう。任天堂の売上の大半は海外ですから。買収するとしたら、会員数目的ではなく、技術や開発力を強化するためで、もっと小さな所を買うんじゃないかと思います。

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