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次世代のスケール感を味わいつくす 『Test Drive Unlimited』



広大なメモリが可能にする次世代ゲーム空間

XBOX360やPS3のような高性能型次世代ゲーム機の売りというと、グラフィック性能による美麗な映像表現や、高いCPU性能による物理計算が挙がりがち。でもメモリ空間の広大さも大きな魅力である。

実際ハイエンドPCやXBOX360向けに発売されているゲームには、
非常に広大な空間を自由な動き回れるものが増えている。そうしたゲーム群を遊ぶと、もはや「箱庭」という言葉は完全に死語となったと感じる。実際には「世界の果て」は存在するが、それを意識することはほとんど無い。次世代ゲーム空間はボーダーレス、シームレス、エンドレスの3点を兼ね備えている。

欧米ではマルチプラットフォーム展開が盛んなため、PS2版がリリースされることもあるが、正直お薦めできない。ただ広いだけなら、前世代機でもある程度実現できるが、見通しが悪く、快適さが落ちる。メモリの制限(と描画能力の限界)から、オブジェクトや背景が格段にチープになり、ただ広いだけのつまらない空間になってしまう。「美麗さ」は不要でも、そこがどういう場所を再現したかが伝わってくる程度の「詳細さ」は欲しい。


グーグルの未来を先取りしたようなゲーム

そうしたソフト群の中で、『Test Drive Unlimited』(アタリ社)はハワイのオアフ島をゲーム機の中に再現した、意欲的な野心作である。海外では去年発売されていて、ボクも以前のブログで1度紹介しているが、日本語版がめでたく発売されたこともあり、再度紹介しておきたい。

島を1周ゆったりドライブするだけで、数時間はかかる。島内レースで全力疾走しても、1時間弱かかる。すさまじい広さ。はるか上空から島全体を俯瞰でき、好きなポイントに移動可能。3Dのグーグルマップの上で遊べたら、きっとこんな感じなんだろうな、という体験を存分に満喫できる。

ハワイのオアフ島に制限されているとはいえ、グーグルマップの未来像を一足先に楽しめる。もし地球全土が3D化されたらどうなるか、考えただけでワクワク感が止まらない。まさに「次世代ゲーム」という言葉に恥じることの無い未来感。グーグルは『Test Drive Unlimited』のシステムで、地球全体を再現するプロジェクトを始めたらどうか。

『Test Drive Unlimited』はレースゲームではなく、シミュレータでもなく、カーライフオンラインゲームである。島の中で自分のガレージを持ち、自由にドライブしてもいいし、ツーリングを楽しんでもいいし、レースを競ってもいい。あらゆるゲームモードはシームレスにつながっている。車ゲームのある種の完成形が提示されたといっても過言ではない。

オンライン上でカーライフを楽しむという点で、『GT』や『Forza』をはるかにしのぐ先進性である。まぁこの2作はシミュレータ色が強く、「車好き」に向けたゲームで、方向性が違うから単純に比較はできないが、「従来路線のクオリティアップ」ではない、問答無用の新しさを感じた。

XBOX360をお持ちの方は、体験版がダウンロードできるので、ぜひ1度遊んでみてほしい。遊べるのは島のごく一部に制限されているが、それでも従来機とはまったく異なる広大さを味わえるはずだ。


米国企業に期待するもの

最近、欧米のゲーム企業の元気が無い。次世代機の性能アップにともない、開発費が高騰。高性能路線に対して、迷いが生じ始めている。かつてPS2時代に、日本のゲーム企業は開発費削減に苦しんだが、同じ罠にはまりつつある。

古くからの読者はご存知のとおり、ボクは「欧米ゲーム開発優位論」を徹底的に嫌っている。技術も何もわからない素人が、ちょっと聞きかじっただけの知識で、技術論を語っているからだ。グラフィックの美麗さを追求する競争で、日本が欧米に負けるとは思ってないし、技術力が低いと思ったこともない。

けれどもグーグルの「地球上の情報をすべて整理し尽くしてやる」という強烈な欲望や、『Test Drive Unlimited』から感じる現実を仮想空間で再現することへの飽くなき情熱には、率直にいって脱帽する。この点だけは、日本のゲーム制作者は勝てないと思う。

WiiがMiiという優れたアバターシステムを備え、PS3がhomeというアバター+仮想空間サービスを立ち上げようとしている一方で、XBOX360はこの部分が非常に弱い。対抗するサービスを準備しているという憶測も流れているが、ぜひともマイクロソフトには「地球再現」ぐらいの大花火を打ち上げていただきたい。

グーグルに対抗して、自社の地図検索サービスをもつマイクロソフトなら、きっとそれができるのだから。全世界のWindows PCと連携可能なマイクロソフトには、グーグルにも、アップルにも、任天堂にも、ソニーにもできない何かを実現できるチャンスが絶対にある。

北米市場で敗者の座を確定しつつあるPS3なぞ意識せず、homeごとき小物の夢に惑わされず、worldを具現化していただきたい。XBOX360の世代ではたどり着ききれないかもしれない。しかしXBOX Liveは初代から360、そして次も、次の次も続く。ならば次で到達すればいいし、届かぬなら次の次で届けばいい。
マイクロソフトにはできるのだから。

ここ数年、欧米のゲーム制作者が力をつけてきたのは確かだが、あえて悪く言えば、小利口で小器用になっただけに見える。大して脅威だとは思わない。実際、欧米企業は自分たちの信じていた大作路線を抑えて、2年前、1年前とは打って変わり、DSやWiiの路線にも注力し始めている。Wiiに力を入れていたUbiSoftを追って、EAもWiiへのラインナップを増強し始めた。またHDゲーム機は普及速度が鈍く、市場が拡大する前に日本のゲーム会社のキャッチアップが間に合った。「欧米ゲーム開発優位論」はすでに崩壊した。

結局、本当に恐ろしいのは、小手先の技術力でも、ソロバンの巧みさでもない。世界すべてを飲み込まんとするスケール感である。恐ろしいが、面白くて、飲み込まれざるを得ない。北米ゲーム産業の実質的なリーダーになりつつあるマイクロソフトに期待するのは、それの実現である。

テーマ:▼ゲームの話 - ジャンル:ゲーム

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