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今こそ本当の「戦略」を

世界的なアウトソーシングの増加がもたらす、米国の利益

米国サービス分野はなぜ強いのか
なかなか興味深い記事ですね。アウトソーシングを進めながらも、米国がサービス業務のグローバル化の恩恵を満喫しているという話。
 もっとも米国企業のアウトソーシング活用に関して言うと、一般にはインドにおけるコールセンター運営やソフトウエア開発など、海外へのアウトソーシング(オフショアリング)が話題になることが多いが、実のところ米企業のアウトソーシング全体に占めるオフショアリングの割合はごくわずかなものに過ぎない。

 全米行政アカデミーの調査報告によると、米企業によるサービス業務のアウトソーシングの大半は米国内にある他の企業へのものであり、オフショアリングは国内アウトソーシングの20分の1程度に過ぎないとされている。例えばコールセンターで言えば、インドよりもむしろユタ州など国内の低コスト地域へのアウトソーシングの方が規模的にははるかに大きい。
海外へのアウトソーシングの話題はゲーム業界でもよく出ますが、インドや中国といった事例ばかりが目立ち、「このままだと、人件費の安い地域に仕事が琉出して、日本のゲーム開発スタジオはお払い箱になっちやうよ!」といったセンセーショナルな分析モドキが横行しています。そのくせ「日本も海外の開発スタジオを使って低コストで作れる体制にならないと!」と、欧米琉の開発手法ばかりを持ち上げる人たちがいらっしゃる。


日本のゲーム産業がなぜ世界的に成功したのか

しかし欧米のゲーム会社が得意な手法を持ち込んで、本当に日本のゲーム産業の競争力が増大するのでしょうか? 誰が本当に得をするのでしょうか? グローバルなアウトソーシングが結局は米国に巨大な恩恵をもたらしているように、欧米琉の開発手法が無批判に世界各地で浸透すれば、結局得をするのは欧米のゲーム産業なのではないでしょうか。とりわけ米国は「合理的な手法を世界各地で広める→実は米国がウマー」という構造を作るのが非常に巧みです。

数あるコンテンツ産業の中で、輸出面で成功しているのがゲームです。それは何故かと言えば、日本が有利なビジネスモデルを世界各地に浸透させてきたからです。ゲーム機のロイヤリティー制度は、ソフトメーカーからお金がプラットフォームホルダーに流れ込む仕組みです。欧米のソフトメーカーが売れるゲームを作れば作るほど、日本企業にお金が入る構造です。

またPCの浸透度が低かった日本では、ゲームプラットフォームの中心がゲーム機のほうが都合がよかった。日本人の長所である「作りこみ」体質も、ハード性能が5年は固定されるゲーム機に向いています。PCの性能が不十分な時代には、日本の作りこまれたゲームは全世界を席巻していました。


誤った技術格差論

ここ最近、欧米の方が技術力が高いという主張を見かけることがあります。しかし欧米企業は半年、1年で性能が上がっていくPC向けにゲームを作っているから、現世代機から次世代機へのジャンプが短くて済んでいるだけなのです。別段彼らの能力が高いというわけではありません。日本のゲーム会社は5年に1回技術的にジャンプする必要があり、多少タイムラグが生じるというだけの事です。

でもそれって、昔からなんですよ。
にもかかわらず、どうして最近そういう事が言われるようになったのか? 理由は各地域でのゲーム機の発売タイミングが近づいたためです。昔はゲーム機の発売タイミングは、日本、米国、欧州で大きくずれていました。日本で発売された次の年に米国、その次の年に欧州。なんてことが当たり前でした。

ソフト開発はハード発売に合わせますから、自然と日本のゲーム会社の方が早いスタートを切ります。そのため5年分のジャンプをする時開があったわけです。ところがゲーム機各社の競争が激しくなるにつれて、複数の地域で同時に発売されるようになり、日本企業の時間的な優位性が無くなってしまったのです。XBOX360やPS3の立ち上げにおいて、日米の技術力格差が話題になったのはそのためです。

XBOX360でも、発売から1年もすればカプコンの『デッドライジング』『ロストプラネット』、バンダイナムコの『アイドルマスター』など、こなれたタイトルが登場し、日米の技術格差など微塵も感じません。


アーケードゲームの衰退

さて、実はもう1つ要因があって、それはアーケードの衰退です。日本ではPCよりもむしろアーケードゲームが技術開発を促進してきました。アーケードゲームメーカーは、家庭用ゲーム機よりも優れた性能をもつ自社開発の基盤を用いて、先行して最新技術に取り組んできました。

それはPS1時代の前半までは有効に機能していました。しかしアーケードが衰退していくにつれて、基板の自社開発を中止して、家庭用ゲーム機の互換基板に切り替えるメーカーが増えてきました。その結果、アーケードゲームは「家庭用ゲーム機の先行技術研究」という役割を失ったのです。

グラフィック性能という軸で考えればそうなるのですが、インターフェイス性能という軸では、また違った様相が見えてきます。アーケードヘのタッチパネルの導入はDSの登場前からですし、カードゲームや体験型ゲームが活発に開発されています。

DS が大成功し、Wiiが堅調に立ち上がってきたことで、国内のアーケードゲームメーカーは自社の先行技術を活かすチャンスを再びつかんだのです。インターフェイスを活かしたゲーム開発、玩具的なゲーム作りは日本が伝統的に得意で、DSとWiiが全世界に広がれば広がるほど、日本のゲーム会社に有利な土壌、文化が世界に普及していきます。


本当の「戦略」を考える時期

事実、UbiSoftやEAといった欧米の強力なパブリッシャーはDSやWii向けのラインナップを増強しています。欧米企業は、次世代機競争が当初思い描いた通りに推移していないことを認めつつあります。

勘違いしていただきたくないのですが、別段ボクは「グラフィック性能路線は米国企業を利するだけのグローバル戦略。インターフェイス性能路線が日本企業を有利にするグローバル戦略」と主張する気はありません。

けれども産業論の見地からいえば、将来自国が有利になるような状況を作り出すために努力すべきで、他国を有利にする状況のために努力しても不毛でしょう。それでは頑張れば頑張るほど、ますます相対的に自分が苦労するだけなのです。

ある時期は溺れないように必死にバタ足を続けなければならないとしても、その努力はもっと泳ぎやすい状況を生み出すために最適化されるべきです。会社が有利な状況を生み出すのが経営者の仕事です。プロジェクトやプロダクトが有利な状況を生み出すのがプロデューサーやディレクターの仕事です。

もちろん国という単位にこだわる必要はありません。
ゲーム機ビジネスはプラットフォームホルダーに利益が集中しやすい構造ですから、ソフトメーカー各社はゲーム機ビジネスから脱して、自社に有利な構造を作ることを常に意識すべきです。強い企業は常に勝ち続けているわけでも、常に強いわけでもありませんが、自社が有利になる状況を生み出すために常に努力しています。戦う前から自分が有利な状況を作る、そのために努力する。それを「戦略」と言うのです。

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テーマ:▼ゲームの話 - ジャンル:ゲーム

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