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ゲーマー必読の名著。ゲームが上手くなる過程を小説化した 『連射王』

連射王 上川上 稔
連射王 下

世界最高に熱いゲーム小説である。
ファミコンブームの頃にゲーム漫画はいくつもあった。しかしどれもこれも、いい加減で、デタラメなものばかり。なにしろ、小学生がゲームを上手くなるために、筋トレをしたり、滝に打たれたり、瞑想したり、養成ギプスをはめるのだ。

ああいう漫画を読んで、ゲームが上手くなった小学生は全国に1人もいないはずだ。何故なら、ああいう漫画は題材がミニ四駆でも、ベイブレードでも成り立つような内容だからだ。ゲームを題材にしているくせに、じつはゲームに無関係な事ばかりを描いていた。

しかしこの本を読んだら、シューティングゲームが上手くなるかもしれない。作者の川上稔は、ゲームが上手くなるとはどういうことかをしっかり掴んでいる。多くのゲーマーが身を持って知っているように、ゲームの上達の早道はゲームのプログラム(仕様)を理解することにある

野球部のエースであるにも関わらず、野球に本気で打ち込めない高村コウは、ある時、『大連射』というシューティングゲームに出会う。高村はそれまでシューティングをほとんど遊んだ事がない。ただの素人。その彼が『大連射』というゲームに挑み、上手くなっていく。この小説は、それだけを書いている。彼の所属する野球部や、幼なじみのラーメン屋の一人娘といったギミックも存在するが、そんな物は飾りである。青春小説っぽい見せかけを被るための要素にすぎない。

コウは悩む。ゲームで真剣に悩む。
シューティングは、弾に当たらないように自機を動かし続ければ、死ぬことはない。しかし気がついたら、被弾して死ぬ。なぜ死ぬのか、なぜ避けられないのかが理解できない。彼はそんな所から出発する。
 慎重に考えよう、と高村は思った。何故ならば、シューティングゲームというものと自分が、ここから先を付き合っていけるか否か、そういう問題が関わっているように感じたからだ。これが解れば、シューティングゲームを上手くなれるのではないか、と。
それを越えても、次の壁が待っている。3ウェイの弾幕で殺される。悩んだ末、どう避けるのが効率的かを理解する。すると今度は、敵弾に当たっているのに当たらない現象にぶち当たる。絵を動かしてるんじゃなく、「当たり判定」を動かしてるのだと知る。

その次にボスという物が何かを知る。スティックには、格ゲー向きの握り方とシューティングゲーム向きの握り方があるのを知る。知る。知る。知る。彼は壁にぶち当たり、悩み、考え、達人に教えを請ううちに、徐々にゲームを知っていく。プログラムを、仕様を理解していく。
「ゲームの王道はRPGにあります。ゲームの知略はパズルゲームに、ゲームの俊敏は格闘ゲームに、ゲームの速度はレースゲームに有ります」
 だが、
「ゲームの本質はシューティングゲームに有ります」
上巻において、彼はついに『大連射』をクリアしてみせる。ではそこでゲームは終わりなのだろうか。否。断じて否である。そこは新しい出発点に他ならない。ゲーマーのみんなはよく承知しているはずだ。クリアなど、通過点に過ぎないことを。

コウは次の高みを上り始める。下巻において彼が目指す高みは、あまりに高い。まさしく恐るべき挑戦である。しかし彼は本気で特訓を始める。本気で作戦を練り、自分の弱点を鍛え、意図的に過酷なシチュエーションを準備してそこから抜ける方法を練習する。
その果てに、コウとある1本のゲームの本気の戦いが幕を明ける。結末は読者みずから見届けていただきたい。
「そのためにも、最高のプレイが出来る人間でありたいと僕は思います。ゲームの本質であるシューティングゲームが教えてくれた僕の感情と本気に対し、いつかきっと現れる決着の時のために、最高の自分をぶつけるために」
 一息。
「シューティングゲームのプレイヤーは、いつか来る己の決着のために、ずっとずっと本気で戦い続けねばならない」

ゲームに本気になる。高校野球よりも格好の悪いことかもしれない。しかしそれがどうした! 本気になれる何かを見つけた。それがたまたまゲームであったとして、誰にはばかることがある。

例えば今、空前のDSブームで市場が盛り上がっている。日本はゲーム離れ現象から脱却した。多くの人々が参加し、ゲームを笑顔で楽しんでいる。実用ゲーム万歳! 軽いゲーム万歳! 生活を邪魔しないゲーム万歳! ゲーム人口拡大万歳! 万歳! 万歳! 万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳万歳!

だが、うざったい話である。
ネットを見ていると、そう思っている人もいらっしゃるようだ。
一昨年、去年とあれだけライトユーザー市場万歳と唱えたボクが言うのもなんだが、「万歳、万歳」うるさい万歳バカに水でも砂でもぶっかけてやりたいと思っている人もいるのではないか。

「生活を邪魔しないゲーム? そんなもんゲームじゃねえよ、バカ野郎」と思っている人もいるのではないか。暴力ゲーム上等、ゲーム脳上等、ゲームバッシング上等、上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等上等。

自分が本気になれる何かを見つけた人間にとって、それが何人から支持されているかは、実にどうでもいい話である。100万本売れているゲームだから本気になるのか、10万本や1万本では本気になれないのか。そんな馬鹿げた話はどこにも無い。本気のゲーマーにとって、ゲーム人口なんぞ、気に止める話ではないのだ。

流行っている人気の職業に就く人がいる。堅実で安定した職業に就く人がいる。あるいは伝統工芸のような人数の限られた世界に進む人もいる。進むべき業種ごとに、それぞれ就業人口の多寡はある。でもそのいずれにも、貴賎は無いし、上下も無い。人間の「本気」に上下は無いのだ。

100万人が笑顔になったゲームであれ、ただあなた1人が遊ぶゲームであれ、上下は無い。本気になったあなたとゲームをつなぐ「本気」の線上には、何物も入り込めないのだから。

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:連射王  川上稔  

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>清涼銀河さん

ゲーム漫画は当時ボクも楽しんだ一人です。
別に悪く言うつもりはありません。
ただ、ファミコンロッキー、ファミ拳リュウ、ゲームセンターあらしなどは、「いい加減で、デタラメなもの」であったとは思いますし、そのデタラメさ加減が面白かった部分でもあると思っています。具体例を挙げたほうが誤読される怖れは無かったかもしれません。

>名無しの投稿の方へ
コメントの際は、ハンドル名で構いませんので名前をご記入ください。
よろしくお願いいたします。

ネタバレの件は、1つの意見として受け止めておきます。
書評系ではその性質上、まったく内容に触れないのは不可能ではありますね。

ボクが内容にふれる際には、基本的には、「あらすじ」を参考にしています。
この小説の下巻に関してふれているのは、
「コウは次の高みを上り始める。下巻において彼が目指す高みは・・・・・その果てに、コウとある1本のゲームの本気の戦いが幕を明ける。結末は読者みずから見届けていただきたい。 」
の1段落のみで、一般的な意味でのネタバレに該当するほど、内容を明かしているとは判断していません。引用文もすべて上巻のものです。

もっとも、その辺の線引きは、人それぞれあると思いますので、そういう意見もあるのだな、と今後の参考にさせていただきます。

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