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CANAAN 第1話 洪色魔都
『CANAAN』の第1話を観た。
CANAANとは
まずは作品の解説から始めよう。
『CANAAN』は去年の年末にWiiで発売された『428』のスピンアウト作品で、TYPE-MOONの奈須きのこ氏が書いたボーナスシナリオの世界観をベースにしている。
制作はP.A.ワークス。代表作『true tears』では、富山の田舎町を舞台にした等身大の高校生の恋愛を描いてみせた。主人公たちの恋愛模様だけでなく、田舎町の空気感、美しい風景、そこにある伝統、住む人たちの息遣いを生っぽく表現していた。
「街」の事実上の続編である『428』をアニメ化するに際し、最もふさわしいスタジオかもしれない。実際、期待は裏切られなかった。画面を通して、祭りで高揚している上海の人々の熱気が活き活きと伝わってきた。作画もすばらしく、マリアは天然に磨きが掛かって可愛らしく、アクションシーンもかっこいい。映像面では期待以上の仕上がりだ。マムルのかぶり物をした男など、チュンソフトファンがニヤッとするネタも仕込まれている。
しかし残念な部分もある。
第1話に主要な登場人物を詰め込みすぎたため、『428』をクリアしてない人には、ついていくのが少々つらかっただろう。視点の切り替わりも多く、描き方も「複数の1人称」というより「俯瞰的」で、キャラクターへの感情移入も難しい。
もしかすると「1話切り」する人も結構いるかもしれない。映像的な魅力は十分なので、2話までは観てくれるのではないか、とは思うが・・・・。どうか観てほしい。試写会で2話までやったらしいので、そこまで観れば、話が見えてくるはずだ。
2つの原作を抱えたアニメ
そもそもこのアニメ、実に難題である。
『428』をクリアした人ならご承知だろうが、『428』本編とTYPE-MOONによるボーナスシナリオは空気感がかなり異なっている。クリアしたユーザー、特に『街』ファンの中には、TYPE-MOONシナリオは不要という意見も目立った。
しかし不要どころか、話の構造から言うと、TYPE-MOONシナリオの方こそ本編ではないか、という解釈もありえる。いや、本編ではなく、「本筋」と言うべきか。『428』の真ENDがああなったのは、そのためだ。
2つの異なる原作を持つため、アニメをどこに着地させるかはとてつもなく難しい。『428』本編は、渋谷に生きる/関わる/偶然そこにいた人達の複数の視点で物語が進行する。当初は無関係だった事件が絡み合い、やがて1つの大きな陰謀が浮かび上がってくる。彼らの物語は1つに収束して、渋谷の街を巻き込んだ陰謀に立ち向かい、解決していく。
TYPE-MOONシナリオは、陰謀の黒幕側や舞台裏を描いている。そこは『428』本編のような日常的な世界とは異なり、いかにもライトノベル的な非日常で、超人的な異能をもった人物も登場する世界だ。
『428』本編とTYPE-MOONシナリオは、とある女性を接点にして、つながっている。その部分をクローズアップしてみれば、『428』はある意味ガール・ミーツ・ガールの物語とも言える。二人の絆は『CANAAN』でも気になる部分だ。あやとりの紐は切れるのだろうか。
『CANAAN』は『428』本編の2年後、上海を舞台にしている。
物語はより非日常に近づき、街中で銃撃戦は起きるし、CIAなども最初から前面に出てきている。『428』本編とTYPE-MOONシナリオの中間点、いや、少しTYPE-MOON寄りの地点に、この物語はある。
第3の物語が始まる
カナンとアルファルド、因縁の二人の戦いは第3ラウンドを迎える。
それは分離された2つの物語、『428』本編とTYPE-MOONシナリオの架け橋となるのだろうか。第1話を観た限りでは、『428』の「街」らしさのアニメ化でもなく、TYPE-MOON作品のアニメ化でもない。
『true tears』においてP.A.ワークスは原作のゲームとまったく異なる作品を生み出してみせた。実質あれはオリジナル作品だった。今回はあそこまでオリジナル度が高くはないが、それでも基本的にはP.A.ワークスのオリジナル作品だと思って観たほうがいいだろう。2つの原作からキャラクターや世界観を借りて描き出された第3の物語。まあ面白ければ、それはそれでいいのかもしれない。今は第2話の放送を待ちたい。
まずは作品の解説から始めよう。
『CANAAN』は去年の年末にWiiで発売された『428』のスピンアウト作品で、TYPE-MOONの奈須きのこ氏が書いたボーナスシナリオの世界観をベースにしている。
制作はP.A.ワークス。代表作『true tears』では、富山の田舎町を舞台にした等身大の高校生の恋愛を描いてみせた。主人公たちの恋愛模様だけでなく、田舎町の空気感、美しい風景、そこにある伝統、住む人たちの息遣いを生っぽく表現していた。
「街」の事実上の続編である『428』をアニメ化するに際し、最もふさわしいスタジオかもしれない。実際、期待は裏切られなかった。画面を通して、祭りで高揚している上海の人々の熱気が活き活きと伝わってきた。作画もすばらしく、マリアは天然に磨きが掛かって可愛らしく、アクションシーンもかっこいい。映像面では期待以上の仕上がりだ。マムルのかぶり物をした男など、チュンソフトファンがニヤッとするネタも仕込まれている。
しかし残念な部分もある。
第1話に主要な登場人物を詰め込みすぎたため、『428』をクリアしてない人には、ついていくのが少々つらかっただろう。視点の切り替わりも多く、描き方も「複数の1人称」というより「俯瞰的」で、キャラクターへの感情移入も難しい。
もしかすると「1話切り」する人も結構いるかもしれない。映像的な魅力は十分なので、2話までは観てくれるのではないか、とは思うが・・・・。どうか観てほしい。試写会で2話までやったらしいので、そこまで観れば、話が見えてくるはずだ。
そもそもこのアニメ、実に難題である。
『428』をクリアした人ならご承知だろうが、『428』本編とTYPE-MOONによるボーナスシナリオは空気感がかなり異なっている。クリアしたユーザー、特に『街』ファンの中には、TYPE-MOONシナリオは不要という意見も目立った。
しかし不要どころか、話の構造から言うと、TYPE-MOONシナリオの方こそ本編ではないか、という解釈もありえる。いや、本編ではなく、「本筋」と言うべきか。『428』の真ENDがああなったのは、そのためだ。
2つの異なる原作を持つため、アニメをどこに着地させるかはとてつもなく難しい。『428』本編は、渋谷に生きる/関わる/偶然そこにいた人達の複数の視点で物語が進行する。当初は無関係だった事件が絡み合い、やがて1つの大きな陰謀が浮かび上がってくる。彼らの物語は1つに収束して、渋谷の街を巻き込んだ陰謀に立ち向かい、解決していく。
TYPE-MOONシナリオは、陰謀の黒幕側や舞台裏を描いている。そこは『428』本編のような日常的な世界とは異なり、いかにもライトノベル的な非日常で、超人的な異能をもった人物も登場する世界だ。
『428』本編とTYPE-MOONシナリオは、とある女性を接点にして、つながっている。その部分をクローズアップしてみれば、『428』はある意味ガール・ミーツ・ガールの物語とも言える。二人の絆は『CANAAN』でも気になる部分だ。あやとりの紐は切れるのだろうか。
『CANAAN』は『428』本編の2年後、上海を舞台にしている。
物語はより非日常に近づき、街中で銃撃戦は起きるし、CIAなども最初から前面に出てきている。『428』本編とTYPE-MOONシナリオの中間点、いや、少しTYPE-MOON寄りの地点に、この物語はある。
カナンとアルファルド、因縁の二人の戦いは第3ラウンドを迎える。
それは分離された2つの物語、『428』本編とTYPE-MOONシナリオの架け橋となるのだろうか。第1話を観た限りでは、『428』の「街」らしさのアニメ化でもなく、TYPE-MOON作品のアニメ化でもない。
『true tears』においてP.A.ワークスは原作のゲームとまったく異なる作品を生み出してみせた。実質あれはオリジナル作品だった。今回はあそこまでオリジナル度が高くはないが、それでも基本的にはP.A.ワークスのオリジナル作品だと思って観たほうがいいだろう。2つの原作からキャラクターや世界観を借りて描き出された第3の物語。まあ面白ければ、それはそれでいいのかもしれない。今は第2話の放送を待ちたい。
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コメント
>どすこい さん
1話については、もうちょっとマリア寄りの視点で物語を進行させるか、あるいはカナンが何らかの小さな事件を解決するだけのエピソードにまとめるか、どちらかにしてほしかったですね。
『CANAAN』は、『428』の2年後の話なので、正確には原作はなく、原案があるのみ、という感じです。奈須きのこ氏はシナリオを書いてません。そもそも芸風が違う。『CANAAN』のような「俯瞰」的なシナリオは違和感をおぼえます。が、確かに映像面では『空の境界』に次ぐ、と思います。さすがP.A.ワークスですね。
1話については、もうちょっとマリア寄りの視点で物語を進行させるか、あるいはカナンが何らかの小さな事件を解決するだけのエピソードにまとめるか、どちらかにしてほしかったですね。
『CANAAN』は、『428』の2年後の話なので、正確には原作はなく、原案があるのみ、という感じです。奈須きのこ氏はシナリオを書いてません。そもそも芸風が違う。『CANAAN』のような「俯瞰」的なシナリオは違和感をおぼえます。が、確かに映像面では『空の境界』に次ぐ、と思います。さすがP.A.ワークスですね。
428は未プレイなので、1話では何がなんだか分からないが感想でしょうか?428の舞台は渋谷だからCANAANも渋谷の話と思っていたら、何故か中国!この時点で訳がわからず、そして登場人物が既に顔見知りな状況もゲーム未プレイ者には「?」と置いてけぼり感が。
これは最近多い1話に盛り上がる部分を持ってきて、2話がストリー上の1話となる構成なのか。それともゲームプレイ者を前提とした説明無しで一気に突き進む構成なのか。できれば前者であると嬉しいのですが。
少し否定的な事を書きましたが、TypeMoon原作のアニメ化としては十分な質でした。内容は詰め込まれ過ぎて初見者の頭には入ってきませんでしたが、月姫やFateにあった「話がまったく進まねー」という苛立ちは皆無でしたので。月姫、Fateの1~4話ぐらいは盛り上がりもなく淡々と進みましたからから・・・。
月姫は視聴可能な環境にいなかった為、DVDを買っちゃいました(涙)。「6000円払って話が進まないって何?」「これ13話だよな?もう3巻目なんだけど・・・」なんて思いも懐かしい。終盤は惰性と義務感で全巻購入しました(苦笑)
まだ1話ですから何ともいえませんが、CANAANは期待値を込めて空の境界に次ぐクオリティかなと思います。空の境界も原作既読だったのでアニメ1話も十分に楽しめたのですが、未読者にあの1話はつらいでしょうね。原作の1話自体が時系列入れ替えで、初読時には「?、?、?」となりましたから。
それと、428が街を受け継いだゲームであるなら、たしかに428とCANAANシナリオのコラボは賛否が分かれますね。アニメを見た感じでは、世界観がまるで違います。
街ファンもType-Moonファンも満足しないコラボという感想に納得しました。