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何故DSの実用ソフトバブルは弾け、Wiiチャンネルは失敗したのか? 『600万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス』

タイトルは煽りだが、嘘ではない。この本を読めば、その理由がよくわかるはずだ。

不景気な話が多い中、去年のグリー上場はネット業界にとって明るいニュースだった。それに比れば規模は小さいが、来月のクックパッド上場も、UGCサイトにとって明るい知らせと言えるだろう。

600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)

さて、クックパッドって何かっていうと、600万人の会員をほこる日本最大のレシピサイトだ。女性ユーザーの比率は96.5%。何より人口に占める割合がすごい。30代女性の4人に1人が晩ご飯のおかずを検索している。女性ユーザーの既婚率は74.6%。もはや日本の主婦にとって、不可欠のインフラ・サイトに成長している。

この数字を見れば、『お料理ナビ』にはまだまだ伸びる余地があったことがよくわかる。では、どうしてレシピソフトは徐々に売れなくなったのか? 当時、ネット上には「実用ソフト(の需要)なんて、1テーマにつき1本あれば十分なんだよ常考」みたいな意見も見られた。

でもそれって本当だろうか?

だって本屋に行けば、相変わらず、料理本はしっかり1コーナーを確保してる(それも割といい位置を)。レシピってのは1冊あれば要らないもんじゃないし、1本あればソフトが要らないもんでもない。主婦にとって献立を決めるのは悩みの種の1つで、それはブームで無くなるもんじゃない。

答えをいえば、コミュニティを形成できなかったからだろう。


DSの実用ソフトの普及、Wifiコネクション、そしてWiiチャンネルにおいて任天堂が重視したのは、リアルの友達や家族だった。Wifiコネクションはご存じのとおり、見知らぬ相手とのコミュニケーションの自由度を強く制限している。

ネット以外でも、この方針は貫かれている。
例えば、脳トレは1本のソフトに複数のセーブファイルがあり、ファイルを選択する画面で家族の脳年齢が確認できた。岩田社長はゲーム機に家族何人が接触しているかをプレゼンのたびに発表している。『Wiiの間』チャンネルなどを見るにつれ、その方針は現在、さらに強固になっているように見える。

その考え方は当時のゲーム会社やネット企業に対してインパクトがあった。ネットは見知らぬ人間どうしが集まることで、思いがけない何かが生まれる面白さがある一方で、予想もつかないトラブルが起きていたからだ。見知った人間同士なら、トラブルは自然と少なくなる。

ちょうどSNSの拡大期だったこともあって、Wifiコネクションの「あんしん」「かんたん」「無料」は高く評価され、オンラインゲームにおける新しい潮流を作り出した。当時は本当に画期的だったのだ、当時は。まさか、それから数年が経ち、Wiiという新しいハードが登場したにも関わらず、一歩も進化しないなんて・・・・。

家族や友達というリアルのコミュニティにこだわるのはいい。
けれどもそれだけでは弱いのだ。

もう少しかみ砕こう。この本の序章から引用してみる。
世の中には料理が好きな人はたくさんいるわけだが、ではなぜ彼女たちは料理が好きなのかといえば、やはり食べてくれる人が「おいしい」といってくれるからだ。食べる人もいないのに、料理を作ってうれしい、という声はあまり聞かない。「おいしい」といってもらえることこそ、料理を作る喜びであり、楽しさなのだ。

だが、実際にはどうだろう。「おいしい」といってもらえる機会は、日々の生活でどれほどあるだろう。家庭で家庭のために料理を作る。それを食べる家族が「おいしい」と毎日きちんと反応してくれるかどうか。友だちを招いてパーティをし、友だちに料理をふるまう機会もある。しかし、そんなことが年に何度あるだろう。

これは「料理」だけの問題ではない。たとえば音楽。
『WiiMusic』は家族で演奏を楽しめる。いいアプローチだ。ミュージッククリップとして記録に残して、後で再生したり、Wifiコネクションで友達に送ることもできる。子供の演奏なら、たとえ下手でも誉めてやりたいのが親心だ。見知った相手がつくった作品は、見知らぬ誰かがつくった作品とは異なる価値がある。

しかし、だ。
そんなの、何度も聞きたいだろうか? 3ヶ月に1回、娘のピアノの演奏発表があるとする。両親は喜んで聞きに行くだろう。1月に1回でも熱心な親なら、喜んで行く。しかし週に1回、3日に1回、毎日となったら・・・・?

絵画もしかり、英語もしかり、健康もしかり。テーマによって多少の差異はあるが、いずれも同じ展開になると予想できる。DSの実用ソフトブームが収束してしまった、WiiチャンネルやWiiのUGCがうまくいかなかった理由は、リアルな人間関係から外に広がらなかったからではないか?

それこそ自分なりのちょっとした工夫で、おいしくできた料理。それをたくさんの人に味わってもらいたいというのは、料理を作る人すべての「夢」ではないか。そしてクックパッドの「レシピを載せる」とは、まさにこの思いを遂げられる機能だったのである。
クックパッドを利用している主婦たちは、リアルに家族を持ち、料理を食べさせる相手がいる。それでは満たされない欲求を満たす相手がネットにはいる。リアルだけでも、ネットだけでも、足りないのだ。


勘違いしてほしくないが、単にネットでレシピサイトを運営すればいい、という事ではない。レシピサイトは数多く、書店にもレシピ本が山積みだ。競合はいくらでもいる。しかしクックパッドはNo.1になっている。

また広告における成功例としても見逃せない。
マスメディア的な広告とは一線を画し、ユーザーが自分から進んで広告を見に行くサイト、広告を見た人から「ありがとう」といわれるサイトはここぐらいではないか? どこかで聞いたようなテーマだが、クックパッドはすでに実現し、600万人の主婦と彼女たちが料理を作っている家族を笑顔にしている。

それをどのようにして実現したのか?
この本には、全国600万人の主婦の支持を得るために、クックパッドが積み重ねた工夫と技術の一部が記されている。10年を越える長い、苦しい時代の一端がつづられている。
Webサービスに関心のある人は、ぜひご一読を。


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コメント

任天堂は今急速にWiiで料理映像を増やしていますが
ただ動画をアップしてるだけでそこからコミュニティーは生まれませんからね
VCにしてもただアップしてるだけ

ここにコミュニティーが加わるともっとWiiは売れると思うんですけどね
ファミコンやスーファミなんて思い出いっぱいで懐古ユーザーにとっては
一言言いたい人は多いんだからコメント付けさせてくれ~と思いますし

料理の映像なんかにも主婦がコレおいしいです、作りやすかったなど
情報交換が出来れば活用のしがいがあると思いますね。

岩田社長はいままでのゲームメーカーの社長とは一線を画す人だと思っているので
この辺の問題にはすでに気が付いてると思います
VCのコンテンツ検索のしにくさにも株主総会で言及しており
SDメモリーカードのように問題解決に向かってくれる思っています
 
WiiやDSはまだまだローカルネットが主体ですが、マックでDSや学校でDSなど
コミュニティーは広がろうとしています。
対戦や協力という要素にこだわる任天堂が
ネットワークを使いこなすようになればもっと成長できる企業だと思いますね。

>ヒカリ さん
任天堂にさらに成長できる余地があるという指摘は同意しますし、その鍵の1つはおっしゃるとおり、ネットワークを使いこなせるかどうかでしょうね。 Wiiチャンネルという構想自体が、体験型のゲームでWiiを立ち上げて、その間にネットサービスでユーザーを定着させていくことにあった、と思われますし。

しかしこれまでのWiiチャンネルは、必ずしもミッションを果たせていないように見えます。特に『Wiiの間』は、これまでのチャンネルの反省を活かしてくるかと思ったら、悪い流れの集大成みたいなものだったので、本当に失望させられました。骨董品みたいなサービスを今更提示されてもね・・・・。

Wiiのライフサイクルの中盤から終盤にかけて、どう立て直してくるかが興味深いですね。

任天堂に関しての懸念は、DSiとWiiの両方でサービスを立ち上げなければならないため、サービスの開発が遅れがちという事です。nintendozoneも随分待たされました。

そういう意味では、「ネットサービスにおけるサードパーティ制」を本気で構築しなければならない時期が迫っているように思います。料理についても、今更クックパッドと戦っても仕方が無くて、組んじゃった方が早いわけですよ。別に料理コミュニティで儲けるのが目的の会社じゃないんだし。

>対戦や協力という要素にこだわる任天堂が
対戦ゲームは多いんだけど、協力ゲームはあまりパッとしないんですよね。
PSPのほうがよほど上手くいってるという。

今年出るゲーム(DSゼルダ、Wiiマリオ)は協力を取り入れてますが、どちらも前作は対戦型でした。業界のトレンドからすれば遅い方ですね。まあ小学生向けのゲームは、対戦型のほうが良い、と言われてるから、かもしれませんが。

(ファミコン時代には、マリオブラザーズ、アイスクライマー等々、協力型の名作が多かったんですけどね。『4つの剣』は実りきらない感じでしたね・・・・。GC版は3モード中2モードが対戦で、全体として対戦要素が強くなってしまったし。

まあ2Dスクロール&3Dマリオも、2D&3Dゼルダも、1人用のゲームとして進化&定型化してしまったので、協力ゲームに持っていくにしても限界がありますよね。ワイワイ一緒に遊んで、ちょっと楽しい程度じゃないですか。協力型ゲームとして、1から設計したゲームを出してほしい気がしますね)

業界のトレンドとして、どうして協力型が増えているかというと、まあ『モンハン』の影響が大きいといえばそれまでですが、プレイヤーが多様化してきたため、対戦型ゲームでプレイヤーどうしの腕の差を吸収するのが難しくなってきたんですよね。

協力型ゲームだと、多少腕の差があっても一緒に遊べますから。
(ゲームは全体的には、プレイヤーのスキルの多様化に対しておおらかになる方向で進化してきた歴史を持ちます。)

クックパッドのいいところは、同じ料理であっても、アップする人によってちょっとずつ使う材料や調理方法が違っているところですね。
自分に合ったレシピをチョイスする事が出来ます。
これは1料理に対して1レシピが基本の料理本や、レシピソフトではない事です。


ご紹介されている本は、チラッと書店で立ち読みで見た程度なので、はっきりとは分からないけど、確かに分析は詳しくていいところついてるなって思ったんですが、最後まで男性視点だった気がして、実際に使ってる人間としては、そんな事で利用している訳じゃないんだけど?という記述が、意外と目についた(全部が全部ではないですよ)という印象でしょうか。

でも、特定層に訴求力のある物に対しての分析は、当然していかなくてはならないでしょうし、それはネットやゲームに限らず、どんな物にも言えますもんね。

>Inai さん
> これは1料理に対して1レシピが基本の料理本や、レシピソフトではない事です。
まさにおっしゃるとおりですね。

> 分析は詳しくていいところついてるなって思ったんですが、
> 最後まで男性視点だった気が
想定読者も男性が多いでしょうから、男性にもわかりやすい部分を重視して書いているように思いました。サービスの肌触り的な部分には、あまり触れてませんね。

IT企業としての技術的側面にも触れていましたが、その部分は取材を受けたクックパッド側が強調していたように感じました。こういった本が出る際には、運営当事者としては、裏の部分も触れてほしいと思うのが自然なのかも。縁の下の力持ちって、なかなか評価されないですからね。

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