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GDC2007の裏テーマはユーザー・クリエイティビティー

いやーっ、今年のGDCは日本人講演者が本当に目立ちましたね。日本のメディアも例年以上に多くの記事を掲載していました。日本のゲーム業界が再び勢いを取り戻しつつあることの証左ですし、各企業が欧米で自社アピールを行う重要性を認識してきた結果でしょう。

ユーザーのクリエイティビティーが大きなテーマ

世界各国からゲーム制作者が集まってくるGDCを1つのテーマでくくることは不可能ですが、あえて今年の裏テーマを見つけるなら、ボクは「ユーザー・クリエイティビティーをどう取り込んでいくか」という事だったんじゃないか、と思います。

特にプラットフォームホルダーであるSCEと任天堂の基調講演に、それがよく表れていました。
PS3の「home」構想は、ハビタットを思わせますね。また『Little Big Planet』は、ユーザー同士で作ったステージを共有し、楽しめる野心的な作品です。一方、宮本茂氏の「顔を作る遊び」はディスクシステムの頃からの20年越しのアイデアでした。どちらもかつての夢物語。いよいよ20年前の夢が具現化できる時代になったのです。

1つにはどちらも本体に内蔵されるソフトで、ゲームソフトとして単体で商売する必要が無いこと。また1つにはゲーム機がオンライン接続機能を標準搭載し、常時接続を前提にできるようになったためです。

西川善司の3Dゲームファンのための「XNA Game Studio Express」講座
一方、マイクロソフトはSCEや任天堂のようなアバターは特に提供していませんが、XNA Game Studio Expressのような形で、ユーザーのクリエイティビティーを取り込もうとしています。

“Game God”Raph Koster氏が語るゲームの行方
プラットフォームホルダーの講演者ではありませんが、ラフ・コスター氏の講演もまたクリエイティビティーについてでした。2005年あたりから、日本のゲーム業界ではWeb2.0に注目が集まりました。それは欧米でも同じで、著名なゲーム制作者のラフ・コスター氏も、Web2.0から学べることは多いと熱心に語っています。というのも、日米問わず、少なくないオンラインゲーム関係者がWeb2.0にしてやられたと感じているからです。

奥谷海人のAccess Accepted 第108回 MMORPGの未来「メタバース」
かつてネットワークにおけるエンターテインメントの最先端を走っていたMMORPGも,今では世界でアカウント数1億を超えたMySpace.comや,日本で1000万以上のユーザーを持つといわれるmixiなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に,「未来型コンテンツ」のイメージを奪われてしまっている。
「メタバース」については、後藤氏がHomeについて書いた記事でも触れられていたため、すでにご存知の方も多いとはず。定義については奥谷氏の記事のほうが詳しいですね。


プラットフォームホルダー各社のユーザー・クリエイティビティー戦略

プラットフォームホルダー3社の、ユーザー・クリエイティビティーに対するアプローチはそれぞれ異なっています。SCEはPS3の高度な映像表現力をいかした路線を取っています。現実に近い仮想世界Homeにしても、ユーザーが自分でステージを作れる『Little Big Planet』にしても、HDゲーム機らしいハイクオリティな世界です。

しかし一般に、映像がハイクオリティになればなるほど、ユーザーが作る敷居は高くなり、ユーザーの参加数は減っていく傾向があります。にもかかわらず、クオリティにこだわったのは、PCを意識したからでしょう。手軽さでは普通のWebや、PCに勝てるはずがありませんから、クオリティの高さで差別化を図るという戦略ですね。PCは性能がまちまちですから、PS3の優位点はベースラインの高さにあります。

任天堂のMiiはほとんど誰でも作れる手軽さがあり、リアル路線ではないといっても、3Dモデルであり、ゲームの中でも使用可能なため、オンラインポータルのアバターと比べても、先進的なレベルにあります。クオリティでPCと差別化したSCEとは逆に、PCに習熟していない人でも使えるレベルに仕上げています。

しかし誰もが参加できる反面、ディープに作っていくには表現の幅が狭く、そこから新しい未知のビジネスが勝手に生まれてくるかというと、かなり疑問があります。『Second Life』的な面白さはほとんど無いといっていいでしょう。

マイクロソフトはXBOX360単体でクリエイトさせようとは考えていません。彼らにはWindows(PC)があるからです。クリエイティブな作業をするのに最強の環境はPCです。だからPCで作って、それをXBOX360に持ってくればいいというスタンスを取っています。XBOX360は創作物の享受者(ゲーマー)のための機械だと割り切っているのですね。これは彼らのビジネスを考えれば、じつに妥当な切り分け方だと思います。

プラットフォームホルダー3社の違いを簡単に図示すると、以下のようになります。
creative_platform
この図は率直にいって、ややラフなものです。
例えば、日本ではこの図で問題ありませんし、北米でもある程度は有効ですが、中国などのアジア圏ではゲーム機の普及率が低いため、PCこそが最もお手軽で、参加者の多いアプローチになります。

また、ハイエンドPCならPS3よりも高度な表現が可能だという突っ込みもありそうです。しかしPCは性能差がまちまちで、作った物をみんなで共有するという観点でいえば、ベースラインが高いPS3の方が優れています。


ゲーム機はコミュニティの入口

プラットフォームホルダー各社は、プラットフォーム=サービスという考え方を強めています。実際、この世代のゲーム機はいずれも内臓ストレージを搭載し、本体ソフトウェアの機能も規模も、前世代に比べて、はるかに巨大になっています。

ゲーム機ビジネスは、ロイヤリティを取るかわりに自社のハードで動くソフトの開発、販売を許可する方式です。しかしハードウェアそのものの性能差が相対的に縮まっていて、マルチプラットフォーム開発が増えているのが実情です。そのため、ただの機械としての価値は低下しているのです。

ゲーム機はいわば、サービスの入口としてのメタファーです。XBOX360やPS3やWiiという機械の普及台数はもちろん、重要です。しかしもう1つ大切なのが、XBOX LiveやhomeやMiiといった各社のサービスへの参加率なのです。今世代の競争は、ハードのレイヤーと、ハードを越えたサービスのレイヤーの2つで争われるのです。

ゲーム機ビジネスは不思議なもので、5年ごとに世代交代を迎えて、普及台数シェアがリセットされてしまいます。トップシェアのプラットフォームホルダーが必ず次もトップとは限らないのです。それがPCとの最大の違いです。前世代の機種との互換性は、ある程度の効果をもちますが、決定的な要因にはなりえません。

パッケージソフトその物よりも、ユーザーのセーブデータの方に価値があります。ユーザーのデータがゲーム機の内蔵ストレージに蓄積されていくことで、ゲーム機の価値が高まっていくのです。そして最も価値あるセーブデータは何か? それはユーザーが自分で作り出したコンテンツであり、コミュニケーションの道具や結果としてのコンテンツです。

家庭の中で据置ゲーム機の居場所を確保するには、毎日電源を入れてもらう必要があります。そのためには毎日変化があるのが望ましく、PS3の『まいにちいっしょ』やWiiの『ニュースチャンネル』はそのための良い仕かけです。しかし毎日変化させ続けるのは、それなりにコストがかかります。テレビだってスポンサーからの莫大な広告費があるから回せるわけです。そういえば、マイクロソフトが以前ゲーム広告のベンチャーを買収していましたが、いずれは何らかの形で、ゲーム機を通して広告を提供するようになるんじゃないか、と予想されます。

また、サービスの提供側の負担が少ない形で、毎日の変化が生み出せれば、それに越したことはありません。ユーザーが勝手にコンテンツを作って、それで盛り上がってくれれば、ありがたい話です。サービス提供者のコンテンツと、ユーザーのコンテンツがバッティングせずに、うまくお互いの利益を高められる形でサービスを設計し、コミュニティを運営する。これが今後のゲーム(サービス)に求められるデザイン上の課題です。


補足:ソフトメーカーの戦略の失敗

ついでにソフトメーカーの話にも触れておきます。
日本だけではないのですが、ある時期、大手ソフトメーカーがPC向けのMMORPGやポータルビジネスに傾倒していたのは、ユーザーを囲い込み、自分だけのプラットフォームを手に入れられるからです。前世代ではゲーム機にネットワーク機能が標準搭載されていなかったため、SCEも任天堂もオンラインビジネスにはさほど積極的ではなく、ハードメーカーに対してリードを稼げるチャンスでした。

けれどもゲーム機向けのゲームで食っていた大手企業は、開発リソースをゲーム機向けのタイトルに集中せざるを得ず、ほとんど大した成果を挙げられていません。ハンゲームを擁するNHN Japanや、ガンホーに置いてかれているのが実情です。

またゲーム機にネットワーク機能が標準搭載された今、マイクロソフト、SCE、任天堂といった資本力の強いプラットフォームホルダーが、急速にオンラインサービスを整備し始めています。すでにポータルビジネスを軌道に乗せているならともかく、これから構築しなければならないのに、プラットフォームホルダーと真正面から競争するのはかなり困難です。

したがって大手ソフトメーカーは、自社でポータルサイト=プラットフォームを築くのを諦めつつあります。ナムコがファミスタオンラインをハンゲームに提供し、スクウェアエニックスもアイテム課金のMMORPGを提供するに至りました。5年前、2002年頃には、彼らはハンゲームなんて歯牙にもかけなかったでしょう。

一方、アーケードメーカーは、自分でルールを決めてビジネスできる領域(アーケード)を抱えているので、非アーケードメーカーのスクウェアエニックスやコーエーほど、オンラインゲームに積極的ではありませんでした。またセガもコナミも、アミューズメントで高い利益を稼ぎ出しています。
(『FF11』以外のタイトルが育たず、オンラインゲームで行き詰まり感を見せていたスクウェアエニックスがタイトーを買収して、ロケーションに乗り出したのは面白い動きです。コーエーのゲームレンタルも、まぁ大失敗に終わりましたが、ロケーションビジネスへの野心と見られます)

プラットフォームホルダーがオンラインサービスに大々的に乗り出し、ネット企業がポータルサイトにユーザーを囲い込む中、5年近くの歳月を費やして、結局ただのコンテンツ提供者でしかないソフトメーカー各社は、どういう戦略を取るべきなのか。答え(方向性)は1つです。ボクのブログの常連の読者なら、ある程度察せられるかもしれませんね。しかし具現化の形は、各社の環境によって若干異なってくるでしょう。

個別に議論したい方がいらっしゃれば、「管理者にだけ表示を許可する」をチェックしてコメントしていただいても結構ですし、メールでも構いません。ボクからのリプライが可能という点では、メールがベターでしょう。

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コメント

オンラインも普及してるし、もうハードビジネスは終わったんでしょうかねー。
サービスでユーザーを満足さして、収益を得ることができるシステムを造れば成功だって感じで。
うまく回転させるようにすればどのハードで出しても良いんじゃないかなと。
そう考えればユーザー的には360は成功なんでしょうかねー、北米との温度差はありますけど。
しかし、ダウンロードアイテムがあの値段ってのは倫理的にヤバ気ですね(笑)

従来型の普及台数競争と、サービス競争の2つが同時に起こっているのは確かですね。ゲーム機はもはやサービスのメタファーとなっています。XBOX360はネット接続率の高さでいえば断トツな印象がありますね。

まぁしかしネット接続台数では、携帯機の方が高いでしょうし、携帯機の良いのはネットにつなげていなくても、スポットに持っていったり、友達とローカル通信することで、データの受け渡しができて、サービスにある程度参加可能なことです。サービスベースで考えても、携帯機のほうが据え置き機よりも適応力が高いです。

据置機はデータの蓄積基地のようなものにならざるを得ないのかなと思いますね。ホームサーバーでもなんでも呼び方は色々あるのですが。

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