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真摯な対話を核にした恋愛物語 『レインツリーの国』
レインツリーの国(有川 浩)
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その文章に熱く共感した伸行は、サイトの管理人である女性へのメールを一気に書き上げて送りました。次の日、さっそく彼女からの返事が届いていて――二人のメールのやり取りが始まるのです。そんな所から、この二人の恋は始まります。
ネット上の文通で親しくなるうちに、伸行はひとみと直接会いたいと思うようになりますが、彼女はなかなか会おうとしてくれません。会うのを拒むのには理由があったのです。実は、彼女はある障害を抱えていたのです。
この小説の中盤以降は、その障害をめぐっての伸行と彼女の対話がメインになります。二人のやり取りはどこまでも真摯で、時にお互いの心を抉りだし、血を流し合うような応酬になることもあります。表層的な対話にとどまらず、深く踏み入っていく二人の議論には、凄みがあります。
それでも二人はコミュニケーションをやめようとはしません。すれ違い、傷つけあったとしても、自分の非は謝罪して、でも相手の非も指摘して、前に進むのです。そして、徐々に彼と彼女は、心を縛っていたものから自由になっていきます。
今時こんな二人珍しいよ、とも思うのですが、この真面目な二人を見ていると応援したくなります。それは恋愛小説として、とても大切な要素だと思います。

なぁんだ、とミサコはつまらなさそうに呟いた。若手サラリーマンの向坂伸行はふと、昔読んだ小説のことを思い出し、他人の感想を求めてネットを検索。やがて1つのサイトにたどり着きます。「レインツリーの国」という名のそのサイトには、穏やかながら熱い、作品への真摯な思いが伝わってくる感想が書かれていました。
「結局そのめんどくさい彼女のこと好きなんじゃない」
その文章に熱く共感した伸行は、サイトの管理人である女性へのメールを一気に書き上げて送りました。次の日、さっそく彼女からの返事が届いていて――二人のメールのやり取りが始まるのです。そんな所から、この二人の恋は始まります。
ネット上の文通で親しくなるうちに、伸行はひとみと直接会いたいと思うようになりますが、彼女はなかなか会おうとしてくれません。会うのを拒むのには理由があったのです。実は、彼女はある障害を抱えていたのです。
この小説の中盤以降は、その障害をめぐっての伸行と彼女の対話がメインになります。二人のやり取りはどこまでも真摯で、時にお互いの心を抉りだし、血を流し合うような応酬になることもあります。表層的な対話にとどまらず、深く踏み入っていく二人の議論には、凄みがあります。
それでも二人はコミュニケーションをやめようとはしません。すれ違い、傷つけあったとしても、自分の非は謝罪して、でも相手の非も指摘して、前に進むのです。そして、徐々に彼と彼女は、心を縛っていたものから自由になっていきます。
今時こんな二人珍しいよ、とも思うのですが、この真面目な二人を見ていると応援したくなります。それは恋愛小説として、とても大切な要素だと思います。
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