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彼らは自然に笑えているか 『薔薇のマリアVer2 この歌よ届けとばかりに僕らは歌っていた』

薔薇のマリアVer2 この歌よ届けとばかりに僕らは歌っていた十文字 青

『薔薇のマリア』の外伝シリーズはザ・スニーカーに連載された連作短編を本にまとめたものです。それ自体は、ライトノベルでは珍しくない構成です。ただ『薔薇のマリア』では、長編のように1冊ごとに物語の主人公が決まっていて、あたかも長編小説のように読むことができました。

でもこの巻は1巻、2巻と異なり、純粋に短編集として構成され、短編ごとに主人公は異なっています。描かれるのは、トマトクン、ピンパーネル、カタリ、マリアローズの4人の過去。その中でも、ZOOのリーダーにして謎の多い男トマトクンと、いつも無口なピンパーネルの昔話はファンなら読み逃せません!

ZOOのメンバーの中で、いまだ本編に姿を現さないリルコが登場するのも、興味深いところです。一億人に一人の不運を背負ったサフィニア、森に生きる少女ロム・フォウ、妖艶な魔女リルコ。トマトクンって、朴念仁を絵に描いたような男なのに、やたらとモテまくりです。

圧倒的に強い彼も、精神的にはかなり欠けた所の多い人間。長い時間を生きるなか、しだいに生きることの意味を見失っていました。戦い続ける意義を感じなくなった彼は弱くなりました。けれども、そのかわりに確かに何かを得たのです。何を?
 俺はろくすっぽ動けず、こどもにあれこれ尋ねられ、それにぽつぽつ答えるくらいが精一杯だった。それさえも正直つらかったが、こどもはたまに冗談らしきことを言って、笑えよ、と俺に要求した。俺にはよくわからなかった。笑う。どうやるんだ。俺はそう尋ねたんだろう。すると、こどもが笑ってみせた。口を左右に思いきり開いて、歯を見せて、目を細めて、「シシシ」とも「ヒヒヒ」ともいえない、そんな音を出す。それが笑うってことなのか。そうだ。おまえも笑えよ。笑ってみせろ。俺は笑ってみた。「ヒヒヒ」「シシシ」「ヒヒヒ」「シシシ」そんなことをやっているうちに、何か胸のつかえがとれたような気分になって、楽になった。
 笑う。
 そうか。笑うってのは、こういうことなのか。
こうして4人の過去を知ると、彼らがパーティを組むようになったのが必然だったかのように思えてきます。彼らは生きるために集まったのだと。もちろん「生きる」とは、ただ生存するという意味ではありません。彼らは自然に笑えているでしょうか? ええ、彼らは自然に笑えています。


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テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

タグ:薔薇のマリア  十文字青  

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